ペーパーボーイは人と人が出会う、カルチャーが感じられる場所なんです(ジェームス)
まず初めに「ペーパーボーイ」のことを聞かせてください。お店はいつどのようにスタートしたんですか?
ジェームス4年前にスタートしました。「ペーパーボーイ」の元々のアイデアは、とても美味しいストリートフードを作りたいというところから始まりました。けれど、今では単なるサンドイッチショップというだけではなく、レーベルのようなものになっているんです。チームにはさまざまなジャンルのスタッフがいて、絵を描く人間もいれば、音楽を作っている人間もいるし、ビデオを撮る人間もいるというように。パリのお店を拠点にはしているんですが、沢山のイベントに関わったり、色々なブランドとコラボレーションすることも多いです。特に〈ナイキ〉とは色々なことをやっています。イベントへのケータリングは勿論、パーティ自体の主催したりしますよ。
ジェームスそうです。パリ生まれのパリ育ちです。父親はチュニジア出身。親世代がアフリカ出身という人は、パリにはとても多いんですよ。
ジェームス僕は日本のカルチャーが大好きなんですが、同時にアメリカも大好きなんです。子供の頃に観ていたどの映画にも、新聞を配る少年( =ペーパーボーイ)が登場していました。90年代のアメリカのなかにはそういう風景があって、誰もが自分をその少年たちに重ねる部分があったんじゃないかと思います。それに、僕が生まれたのは1984年なんですけど、子供の頃に任天堂のPaperBoyっていうゲームもありました。そんな風に、大きな理由があるわけじゃないんですが、いろんな小さな理由や要素が「ペーパーボーイ」という名前には詰まっているんです。ある日、絵を描く友達と一緒にいたときに、ペーパーボーイを描いてみようっていう話になって、このロゴが仕上がったときに、「これだ!」って思いました。
お店があるパリの11区というのはどのようなエリアなのでしょうか?
ジェームスアーティスティックなエリアだと思います。マレのファッション的なエリアとスケートボードのエリアの間で、11区にはストリートアーティストが沢山住んでいますし。現在のパリでホットな場所といったらここじゃないですかね。クールなキッズもアーテイストも沢山いて、常に何かが起きているエリアですね。
「ペーパーボーイ」はファッションシーンとも近しいようですが、どのようなバックグラウンドがあるのでしょう?
ジェームス食べ物が大好きっていうこともあるんですけど、若いときは料理学校に通っていました。料理学校に行ったあとはファッション業界で働いていて、色々な仕事をしていました。フォトグラファーエージェンシーでも、モデルエージェンシーでも働いていましたし、スタイリストもちょっとやってました。NYに6ヶ月住んだあと、ロンドンに2年間住んだり、色々とやってみたんですけど、ある日、何かの場所を持ちたいと思うようになったんです。世界中で見てきたことや、料理のこと、ファッション、全てを混ぜた場所を。「ペーパーボーイ」はサンドイッチショップでありながら、人と人が出会う場所でありカルチャーが感じられるな場所なんです。
新井「ペーパーボーイ」には、本当にいつ行っても誰かしらいるっていう印象なんですよ。
ジェームスつい最近も、ヴァージル・アブローがシカゴから家族を全員連れてサンドイッチを食べに来ていました。とても小さいお店なんだけど、シンゴ(新井さん)が言ってくれたように、常に誰かがいるって感じなんです。お客さんにも友達のように接するし、本当にみんなにとって居心地が良い場所になっているんだと思います。勿論ご飯を食べる場所なんだけど、それだけでは無いカルチャースポットでありたいと思います。
各々のパートに力がある奴がいてその集合体というあり方が「ビームス」と似てる(新井)
新井僕とジェームスの共通の友人がいて、彼から僕が企画に携わっていた、ビームス創業40周年を記念した〈ナイキ〉の「プレスト(PRESTO)」をジェームスっていう奴が欲しがっていて、近々日本に行くから会ってやってくれと言われて、初めて会ったんですよね。そしたら、パリでカフェをやっているということで、自分ももうじきパリに行くっていうタイミングだったので、「ペーパーボーイ」に初めて行ったんですよ。2年前くらいなんですけど、そこから急接近ですね。僕も「ペーパーボーイ」が気になっていたし、ジェームスもとにかく日本が大好きで。本当に僕ら以上に日本のカルチャーを追っていて、そういうところで意気投合しましたね。
そこから一緒に何かやろうよという話に繋がっていったんですね。
新井プライベートで話しているときから、いつか何かできたらいいねっていうことはずっと話していたんですけど、ちょっと真剣にやりたくなってきちゃって。出張でパリに行くときは、「ペーパーボーイ」にいれば面白いやつに会えるんですよ。ミュージシャンだったり、アーティスト、ファッション関係者、スポーツ選手、などなど色んな人たちです。それこそ、ヴァージルが来たりキム・ジョーンズが来たりしていて、本当にファッションと繋がっているんですよ。それにロゴが本当にキャッチーだったので、そこが僕的にも「ビームス」にハマりそうだなと思って、プレゼンしたんです。美味しいサンドイッチ屋さんはいくらでもあると思うんですけど、ショップスタッフたちが魅力的で、それぞれに求心力があるお店は他にはないし、一緒に何かできればきっと面白いなと思って。
ジェームス僕ら的にも「ビームス」は色々な面でベストだと思っていました。日本のことが大好きなんですけど、「ビームス」というお店が、なかでも特別大好きです。ある日シンゴと出会って、ものすごくフィーリングが合って、何度か話しているうちに何か一緒にやろうよって声をかけてもらって、それがきっかけで今回のプロジェクトが実現しました。自分は今はファッションの人間ではなく、フードの世界の人間ですが、ストリートフードとストリートスタイルの服を掛け合わせるっていうのが、とても面白いですよね。とくに、サンドイッチブランドと「ビームス」のような大きなブランドを合わせてみるっていうのが一際面白いです。すごくオリジナルですよね。単にパリのブランドと日本のブランドがコラボというのもいいんですが、今回のはもっと面白い試みだと思います。
実際に企画から実現までにはどのくらいの期間がかかったんですか?
新井本当に急ピッチで3ヶ月です(笑)。だから、今回はできるアイテムもちょっと限られていたんですよね。僕らの生産背景で対応出来る物しか今回は作っていないんです。でも第1弾としてはちょうど良い感じになったかなと思います。
だいぶ急ピッチだったんですね! パリでのローンチはいかがでしたか?
ジェームス本当に沢山の人たちが来てくれたし、良かったよね。プライベートな感じにはしていたんだけど、それでも大勢の人たちが来ていたし。次にやるときはもっと大きな企画にしたいよね。コレクションの評判も良かったし、商品の売れ行きも素晴らしかったです。ほとんど商品も売り切れたし、初めてのコラボの発表だったけど本当に反響が良くてビックリしました。世界中からInstagramなんかを通して、商品を買いたいという連絡も来ましたしね。
ジェームス「ペーパーボーイ」のパッケージングは通常白と黒ですが、色とりどりの新鮮な食べ物を連想させるカラフルなカラーをこのデザインには取り入れました。オレンジは「ビームス」カラーでもありますしね。そして、ビームスとのコラボレーションなので、日本を感じさせるデザインを採用したかったので、カタカナを使用したデザインも取り入れました。パリでも“カタカナ“は人気があり、いつか取り入れてみたいと思っていました。
新井このロゴも全て今回のために製作したものなんです。元々は真っ直ぐだったものをアーチ状にしたり。文字をカラフルにしたのは、もちろん今ジェームスが言ったようなフレッシュな具材という要素もあるんですが、僕らの武器というのは”クレイジー”だったので、ジェームスと繋がるキッカケにもなった「PRESTO」を意識した配色にしました。それに加えて、Bだけ「ビームス」のフォントのBにして、コラボ感を演出しました。
スペシャルな〈ナイキ〉の「Air Force 1」もSNSなどで話題になっていましたよね。あれはパリのみでのリリースなんですか?
新井これは本当に身内に配る為に作られていて。それぞれのシューズケースに一人一人の名前も入っているんですよ。何工程も後染めを施すことでこういう表情になっているみたいですね。
ジェームス〈ナイキ〉がこのプロジェクトをサポートしてくれていたんです。スニーカーを送るから、それをどう使っても良いよっていう風にね。全部で20足くらいしか作っていなくて、僕らと「ビームス」チームしか持っていないんです。
なるほど。新井さんの「ペーパーボーイ」の印象を教えてください。
新井彼らのことは本当に「ビームス」っぽいなって思うんですよね。
新井作り手にもいろんな奴がいるし、各々のパートに力がある奴がいて、その集合体っていうあり方が「ビームス」と似てるなって思うんです。僕らは”ファッション”で彼らは”食”ですけど、この両者で何か作ったら絶対面白いなって思って。とにかく同じ匂いがしたんですよね。
では、ジェームスから見た「ビームス」の印象を教えてください。
ジェームスすごくモダンだと思います。少しストリート寄りでもあるんですけど、モダンな雰囲気もあって。「ビームス」がこれまでにやってきたコラボレーションはどれも素晴らしいですし、本当にスマートなやり方をしていますよね。うまく言い表せないんですが、「ビームス」のことがとにかく大好きです。「ペーパーボーイ」と「ビームス」はとても近い存在だと言えると思います。
フードはアーティスティックなものであると同時にオープンなもの(ジェームス)
日本ではファッション関係の人間が飲食業に携わることはあっても、その表現自体はファッションと飲食が結びついたものになることはあまりないので、「ペーパーボーイ」のようなスタイルは非常に新鮮に感じます。現在のスタンスは、「ペーパーボーイ」を始めたときから意図していたものなのですか?
ジェームスそうですね。最初からカルチュラルな場所を作りたいと思っていました。僕らのやり方というのは、フードをカルチャーと混ぜるっていうことなんです。フードっていうのはアーティスティックなものであると同時にオープンなものでもあるので、他の要素と混ぜるのが実はとても簡単なんです。「ビームス」とのコラボにおいては、色んな(「ビームス」のコーポレートカラーである)オレンジの食べ物を集めたボックスを作りました。自分の仕事の一番楽しいのはそういったところで、サンドイッチにブランドを与えたいんです。何を食べるかというストーリーは、この先とても大事になってくると思うんです。僕は決して著名なシェフが使っているようなキッチンで料理をしているわけじゃないですし、あくまでストリートフードですが、ストリートフードというのは、すごく美味しくてなおかつ手軽なんです。そこにストーリーを込めたいんです。サンドイッチにストーリーを与えるために、中身の具材にも意味を持たせたりしたいですね。
サンドイッチにフォーカスしていたのは最初からなんですか?
ジェームスそうですね。最初から僕らのバックボーンを見せれる場所を作りたいと思っていました。僕らのやり方というのは、フードをカルチャーと混ぜるっていうことなんです。フードっていうのはアーティスティックなものであると同時にオープンなものでもあるので、他の要素と混ぜるのが実はとても簡単なんです。「ビームス」とのコラボにおいては、色んな(「ビームス」のコーポレートカラーである)オレンジの食べ物を集めたボックスを作りました。自分の仕事の一番楽しいのはそういったところで、サンドイッチにブランドを加えたいんです。何を食べるかというストーリーは、この先とても大事になってくると思うんです。僕は決して著名なシェフが使っているようなキッチンで料理をしているわけじゃないですし、あくまでストリートフードですが、ストリートフードというのは、すごく美味しくてなおかつ手軽なのが重要。でもそこにこそストーリーを込めたいんです。サンドイッチにストーリーを加えるために、中身の具材にも意味を持たせたりしたいですね。
ジェームス4つの定番メニューがあります。サーモンのタタキをブリオッシュにのせたもの、スパイシーなパストラミ、たまごサンド、そしてターキーサンドイッチ。この4つは常設メニューで、あとは週替わりや月替わりのメニューがあります。その4つは不動ですね。
新井僕はサーモンのタタキのやつが好きです。あと、フルーツジュースとアサイーボウルも出してて、それも美味しいんですよ。本当に全部美味しいです。
ジェームスヘルシーなだけでなく食事としても満足度が高い、美味しいものっていうバランスを常に目指しているんです。
ジェームス東京でフードイベントをやりたいと思っていますし、東京にお店を作りたいとも思っています。ストリートっぽい雰囲気のお店なんだけど、ストリートウェアではなく、ストリートフードを売っているお店ですね。勿論「ビームス」ともまたコラボをしたいですし、パリでもまた一緒にイベントをやりたいと思っています。9月、10月にかけて、一度お店を閉じて改装期間に入って、より大きなお店にする予定ですので、楽しみにしていてください。
新井僕らとしても今回はスモールパッケージだったんですけど、パリの人たちが何を求めているのか、何を作ったらもっと喜んでもらえるのかっていうのがわかってきたので、次はよりもっと大きなコレクションをより大きなスケールで発表したいですね。それにジェームスは「ペーパーボーイ」を日本で本当にやりたがっているので、そこに「ビームス」がどういった形であれ、うまく絡むことができれば、面白いことになるのかなと。これまでに「ビームス」になかったピースが揃うのかなって思っています。
「ペーパーボーイ × ビームス」コレクション
「PaperBoy×BEAMS」Tシャツ ¥4,800+TAX、ロンT ¥5,800+TAX、パーカ ¥9,800+TAX、キャップ ¥4,500+TAX、バンダナ ¥2,000+TAX、サコッシュ ¥3,500+TAX ※すでに売り切れの商品があります。予めご了承ください。
ビームス 原宿
電話:03-3470-3947
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