CLOSE
monessay ─cheimaphobia

monessay ─cheimaphobia

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。某誌でずいぶん長いこと連載していたコラムが休載し、フイナムにて装いも新たにスタートです。今回は〈アイランドスリッパ(ISLAND SLIPPER)〉のサンダル。

  • Text_Toshiyuki Sai
  • Photo_Kengo Shimizu
  • Edit_Ryo Komuta
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

第十回 cheimaphobia

りゆく夏。そして8月は終戦の月。あらゆるメディアで先の戦争に関連するコンテンツが活気づく季節だ。この時期になるとやはり命のことを考えさせられる。不本意に、あるいは不条理に奪われた多くの命。

の戦争の犠牲の上に成り立つ今日の平和。ただ毎日を茫洋に過ごすのではなく、大切に生きなければならないとは思う、がなかなかそうはいかない。

んな人生を過ごすか。

い換えれば、250万部を超えたベストセラーのタイトルそのまんま。

う問われるとなかなかぼんやりとしていて、コペルくんでなくても返答に困る。すこし問いが大きすぎるのかもね。

かしこうした根源的な哲学を各自個人は持ったほうがいい。スマホを切って、バスの旅などをしながらそんなことをぼんやり思索するというのもいいかもしれない。

イフスタイルマガジンを標榜するわが媒体としては、そうした問いに答えられるヒントのような内容にもフォーカスした特集をしたほうがいいかとは思うが、やはりより具体的な方がやりやすい。

う。どんな暮らしをしたいか。

っちの方が、得意なフィールドかもしれない。

境に配慮した暮らし。キャンピングカーで移動しながらの暮らし。いい波を追いかけて世界を旅する暮らし。ツリーハウスでの暮らし。いろいろある。

でも憧れる暮らしというものがあるだろう。実現が難しいからこそ憧れでもある。

分の場合も、若い頃から目標にしているスタイルがある。

年中、はだしで過ごしたい。

下が不要な年中温暖な地での生活だ。

道近くの、衛生面でトラブルのない都市と自然が近い街ということになるのだろうか。一年中ビーサンで過ごしたい。

が冷え性ということも関連するかもしれないが、寒いところは本当に苦手。昨日もオンデマンドでジョン・クラカワー原作の『エベレスト』を再度観たが、あんな極寒の極限状態を想像するだけで恐怖である。個人的にはある種のホラー映画ともいえる。この恐怖症、英語でいうと「cheimaphobia」というらしい。どう発音するんだろう。

おわったあと、短パン、Tシャツでやや涼しくなった8月の東京の街を歩く。もうすっかり秋の匂いがする。

や重みのある〈アイランドスリッパ〉の足どりも軽やかである。

蔡 俊行

フイナム発行人/フイナム・アンプラグド編集長。マガジンハウス・ポパイのフリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

アイランドスリッパ

TAG
#FASHION
#ISALND SLIPPER
#monessay
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Page Top