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スタイリストが実践。“ドクターマーチン”で秋スタイル。

STYLIST Meets Dr.Martens

スタイリストが実践。“ドクターマーチン”で秋スタイル。

1960年の創業以来、世界中のミュージシャンから愛され、シューズブランドの域を超えてUKカルチャーを象徴する存在となった〈ドクターマーチン〉。国内でもその人気は衰えることなく、今回登場してくれた3名のスタイリストも御多分に漏れず、ブランドの良き理解者であり、愛好家ばかり。そんな洒落者たちがこの秋の新作コレクションにフォーカスした一足を主役にしたセルフスタイリングを披露してくれました。彼らの旬な着こなしとブランドに対する想いを紡ぎながら、〈ドクターマーチン〉の魅力を伝えていきます。

  • Photo_Takaki Iwata(Lambda Takahashi、TEPPEI)、Haruki Matsui(Masataka Hattori)
  • Text_Yuho Nomura
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STYLIST_01 高橋ラムダ

80年代の当時は、周りはみんなロンドンカルチャーを全身にまとったような人たちばかりだった。

大手セレクトショップでの販売員を経て、2005年にスタイリスト白山春久氏に師事。その後2008年に独立。ファッション雑誌を中心にブランドカタログ、広告、俳優、アーティストなどのスタイリングを手がける。そのオリジナリティ溢れるセンスと経験に裏打ちされた膨大な知識によって表現される独自の世界観は、国内外のファッションシーンから絶大な支持を集める。昨年には、自身のプライベートブランドとして〈R.M GANG〉も始動。また自身、自他共に認める〈ドクターマーチン〉愛好家で、私物で所蔵するシューズは30足を超え、なかには現在では入手困難となった希少なモデルも少なくはない。

膨大な数の〈ドクターマーチン〉のコレクションをお持ちと聞きましたが、いつ頃から収集するようになったのですか?

高橋昔から音楽が好きで、それこそ若い頃からロンドンのカルチャーに影響を受けていたので、必然と言ったら言い過ぎかもしれませんが、自然と集めるようになっていましたね。それこそ本国のイギリスに仕事や旅行で訪れるたびに買ったり、日本でも古着屋を掘ってみたり。

あとは昨年、〈ドクターマーチン〉のコレクションショーのスタイリングを担当した時に、新品を履かせても面白くないなと思って、全てヴィンテージモデルを履かせたことがあったのですが、その時とかは血眼になって全国のヴィンテージを探し周ったりしていましたね。今でもまだ30足以上ありますよ。

その中で初めて〈ドクターマーチン〉のモデルを履いた記憶は残っていますか?

高橋19歳くらいの時だったと思いますね。その頃は僕自身の興味が少しづつアメリカのカルチャーからイギリスのカルチャーに移行し始めていた時期で、音楽もBLURやThe Stone Rosesなんかを聞いていたんですよね。それでやっぱり彼らの足元には3ホールだったり、8ホールのマーチンがあったんですよね。それからですかね、好きで履くようになったのは。

ラムダさん自身の当時の着こなしはどうだったのですか?

高橋当時は新宿のツバキハウスでロンドンナイトが開催されていたり、『i-D』のようなカルチャー誌が日本にも上陸したり、そうしたカルチャーがムーブメントになっていた時期だったので、周りはみんなロンドンカルチャーを全身にまとったような人たちばかりでしたよ。それこそライダースにパンツはロールアップして、マーチンはいわゆるパンク巻きみたいに紐をきつめにして履くみたいなね。

今回選んでいただいたモデルですが、実際に履いてみていかがでしたか?

高橋これまでいわゆる定番のモデルなどは一通り履いてきたので、少しチャレンジともなるようなモデルが良いかなと。特に10ホールのブーツは昔でこそよく履いていましたが、最近はあまり履く機会がなかったので新鮮でしたね。バックルストラップが巻かれているデザインも履き方によってはアレンジもできるので面白いなと。

スタッズを打ったり、キーホルダーをつけたり、そうしたアレンジや遊び心で自分らしい楽しみ方や表現をすること。

さらに今回はセルフスタイリングも組んでいただきましたが、着こなしのポイントはどの辺りでしょうか?

高橋80年代から90年代にかけて、僕ら世代が熱を上げていた当時のパンクスがテーマですね。その象徴となるのはやっぱりバッファローチェックの柄。ジャケットはショート丈でボトムスはハイウエスト気味に合わせるのが今っぽくて、それをあえてセットアップで合わせるっていうのが、最近の気分なんですよね。足元は10ホールならやっぱりブーツイン。存在感が違いますよね。

例えばご自身で着る以外にスタイリングを組む場合などは、どういった着こなしを提案したいですか?

高橋〈ドクターマーチン〉自体、僕はそこまで特別視はしていないのでデイリーなアイテムとして取り入れたいですよね。昔はどうしても〈ドクターマーチン〉というとコスプレっぽい着こなしになりがちだったので、そうしたイメージを払拭できるような着こなしにできたらいいですよね。

またラムダさん自身、〈ドクターマーチン〉を履く際のこだわりなどはございますか?

高橋例えばスタッズを打ったり、キーホルダーをつけたり、そうしたアレンジや遊び心で自分らしい楽しみ方や表現をすることですかね。それがスタイルの個性にも繋がっていくし、リアルなパンクスたちからのインスパイアでもある。さらに言えばそれこそがブランドとしての哲学にもリンクしている部分だと思うので。

ラムダさんにとって、〈ドクターマーチン〉はどんなブランドですか?

高橋初めはやっぱりイギリスらしいアンチテーゼなマインドを持ったワークブーツのブランドっていうイメージもありましたけどね。今は〈シュプリーム〉とも コラボレーションしたり、シーズンごとに特色のあるコレクションを打ち出したり、どちらかというとファッションとしてのイメージが強くなってきましたよね。

〈Dr.Martens〉のシューズ「Bevan」 ¥28,000、〈R.M GANG〉のジャケット、〈R.M GANG〉のボトムス、〈Base MFG〉のニットキャップ、〈MYKITA〉のサングラス

Bevan

ブランドの象徴ともなる8ホールよりもさらに長い10ホール寸のロングブーツ。シューレースではなく、ボディにバックルストラップが巻きつけられたデザインが印象的。さらに程よく加工が施されたレザーによって、品のある重厚感を醸出。履く人によってアレンジが楽しめる一足に。

STYLIST_02 服部昌孝

〈ドクターマーチン〉は、くるぶしを出して履くことで自分らしいスタイルが表現できる。

猪塚慶太氏に師事後、2012年に独立。メンズ・レディースの垣根を超えて、ファッション雑誌や広告、ブランドカタログなどのスタイリングをメインに、アーティストのMVやTV・CMに出演する俳優の衣装提供など、その活躍は多岐にわたる。さらに近年では東京コレクションでの〈ウミット ベナン〉やピッティ・ウォモにおける〈BED j.w. FORD〉のランウェイなどでもスタイリングのディレクションを行う。現在引く手数多な人気スタイリストのひとり。スニーカーのコレクターでもある自身にとって、〈ドクターマーチン〉は特別な存在で、履きこなしに関しては一家言を持つほど。

そもそも服部さんがファッションに目覚めたのはいつ頃だったのですか?

服部学生時代から洋服自体は好きで、雑誌やTVなどでアイコンとなる人たちを観ていたけど、出身が静岡の田舎町だったこともあって、その当時は単なる憧れでしかなかったですね。本格的にのめり込むようになったのは上京してきた大学生の時。法律を学びながら、夜間のバスケ部に入っていたんですけど、その合間に渋谷や原宿の洋服屋を散策するようになって、いつか仕事にしたいなって漠然と思うようになった感じですね」。

なるほど。では、それくらいのタイミングからスタイリストを志すようになったと。

服部そうですね。ある時、観ていた雑誌に出演していた慶太さんのページがふと目にとまったんです。独特なオーラを持っていて、他にはないエッジィさがあって、一目で惹かれてしまいました。それですぐに応募しましたね。当時は今とは違ってスタイリストの人たちは皆タレント感があって、アイドル的な人気を博していた時代。ファンっていうと語弊があるかもしれないけど、それに近い感覚でしたね。それからは死に物狂いで5年間アシスタントをやって独立して、今に至るわけですよね。

そのなかで、過去に愛用されていた〈ドクターマーチン〉のモデルなどはありましたか?

服部定番ですけど、やっぱり「1461」の3ホールですね。元々レザーシューズは短靴が好きで、くるぶしを出して履くことで自分らしいスタイルが表現できるんですよね。最近は、ほぼ毎日丈が短めのワイドパンツを履いているので、そうした着こなしとも相性が合いますしね。

初めて履いた〈ドクターマーチン〉はいつ頃だったか覚えていますか?

服部高校生の頃はスニーカーしか履いていなかったので、大学生の頃ですかね。その時もやっぱり3ホールだったと思います。ただ基本は3ホールですけど、それしか履いたことがないわけではなくて、昔よく古着屋へ行っていた頃なんかは、〈ドクターマーチン〉のモンキーブーツを見つけては即買いして、今でも大事にとってあります。多分ブランドの人が見たらびっくりするくらい希少なモデルのやつもありますよ。

となると今回お選びいただいたモデルが「1461」シリーズというのも納得ですね。実際にアイテムを見てみて、いかがでしたか?

服部〈ドクターマーチン〉といえばイエローステッチが定番だと思うんですけど、このモデルはホワイトステッチ。そこが新鮮だなと思って選びました。モノトーンで履けるっていうのが最近の自分の着こなしとも合いそうだなって。

政治的な意味合いまで持たせられるブランドって〈ドクターマーチン〉以外ではない気がするんです。

さらに今回はセルフスタイリングも組んでいただいて履きこなしてもらいましたが、着こなしのポイントなどはありますか?

服部さっきも話したように3ホールには9分丈くらいのワイドパンツを合わせるのが個人的には気分。それにトラッドなアイテムだから、テーラード風なコートやシャツを取り入れて、秋らしく品のある着こなしを意識しています。あとはシューレースですかね。〈ドクターマーチン〉を履く時は必ずストレートにして結ぶのがが僕のなかでのマイルール。

実際にご自身で履きこなすのと、お仕事などでスタイリングをするのではやはり履きこなしや選ぶモデルも変わってきますか?

服部もちろん変わりますね。自分で履くなら今は3ホールだけだけど、スタイリングなら8ホールもよく使いますね。細身のモデルの時や裾を絞りやすいボトムスがあったら、ギチギチに縛ってブーツインせずにそのまま履かせたりね。

ちなみに普段、〈ドクターマーチン〉を履きたくなる時ってどんな時ですか?

服部僕のなかでは〈ドクターマーチン〉ってスニーカーとレザーシューズのちょうど中間。スニーカー感覚で履ける革靴っていうか、ラフにもフォーマルにも合わせられる一足なんですよね。その証拠に、このエアの入ったバウシングソールがカジュアルさを底上げしてくれる。あと〈ドクターマーチン〉って中毒性があるんですよ。しばらく履いていないと無性に履きたくなったり、気に入ったらしばらく履き続けちゃったり。

最後に服部さんにとって、〈ドクターマーチン〉ってどんなブランドのイメージがありますか?

服部一言で言うなら反骨精神をまとったイギリスの象徴ですかね。今はもうないのかもしれないですけど、昔はシューズのボディと靴紐の色が人種差別を示すものとされていた時代もあると聞いていて、そうした政治的な意味合いまで持たせられるブランドって〈ドクターマーチン〉以外ではない気がするんですよね。そうしたブランドの背景を知っていると知らないとでは、また履きこなし方も変わってきますからね」。

〈Dr.Martens〉のシューズ「1461」 ¥21,000、〈HED MAYNER〉のコート、〈DRIES VAN NOTEN〉のシャツ、〈Yohji Yamamoto〉のボトムス、〈Yohji Yamamoto〉のニットキャップ、〈CHROME HEARTS〉のネックレス

1461

8ホールブーツに次ぐ、ブランドの代表作「1461」シリーズの最新モデル。独自の製法によって実現した、エアークッションの効いたバウシングソールはもちろんのこと、経年変化を楽しめるスムースレザーなど機能美を体感できる。通常イエローのステッチをホワイトに変更し、モノトーンカラーで楽しめるのが大きな特徴。

STYLIST_03 TEPPEI

自分なりの自由な履き方を見つけようと思い、当時から定番モデルを履いていました。

かつて多くのストリートスナップ誌の表紙を飾り、俳優としてもスクリーンデビューを果たした異色の経歴を持つ人気スタイリスト。キャリアスタート時から現在に至るまで様々な著名アーティストのスタイリングを手掛けていることでも知られる。最近ではレディース・メンズ問わず様々なファッション雑誌やブランドカタログ、広告ワークでも辣腕を振るい、活躍の場を常に広げている。古着からハイファッションまで隔たりなく取り入れ、00年代を代表するミクスチャー感のあるスタイリングには定評があり、また自身の表現に対して飽くなき追求心を持ちながらも、ロジカルな思考も兼ね備えた人物でもある。

まず始めにTEPPEIさんの近況についてお伺いできたらと思います。最近はお仕事などでなにか変化などはございましたか?

TEPPEI外的な見え方の変化といえば、これまではどうしてもアーティストのスタイリングをしていく中で、そのアーティストのネームバリューが大きく、そうした仕事がフィーチャーされることが多かったのですが、最近は雑誌やカタログなどの広告以外のエディトリアルのお仕事でもようやく認知されるようになってきた気がします。とはいえ昔からそうしたお仕事も変わらずやっていたんですけどね。

最近のお仕事でも〈ドクターマーチン〉のブランドに触れる機会は多かったのでしょうか?

TEPPEIそうですね。例えば、昨年の秋冬にとあるブランドのランウェイで、ショー全編を通してモデルに〈ドクターマーチン〉をスタイリングしたことがありました。そうした機会はもちろん、普段から〈ドクターマーチン〉をスタイリングとして取り入れることは多いですね。個人的にも好きなブランドなので。

TEPPEIさん自身、他には過去どんなモデルを履かれていたんですか?

TEPPEI定番でもある『1461』シリーズももちろんそうですし、ウィングチップのモデルやローファーなんかも愛用していましたね。プライベートでは色違いで履き回すこともありますよ。

初めて〈ドクターマーチン〉を履いた時のことは憶えていますか?

TEPPEI高校時代なのか専門学校なのかは忘れましたが、当時の同級生の友人が、映画の『時計仕掛けのオレンジ』からインスパイアを受けた着こなしをしていて、そのスタイルにはとても衝撃を受けた思い出があります。とはいえ当時の僕はそこまでルーツを持ったスタイルのある履き方がしっくりきていなかったのですが、その衝撃自体は大きかったので、自分なりの自由な履き方を見つけようと思って、当時から定番だった〈ドクターマーチン〉の3ホールを買って履いていた記憶はありますね。自分なりの自由な履き方を見つけようと思って、当時から定番だった〈ドクターマーチン〉の3ホールを買って履いていた記憶はありますね。

シューズ自体にキャラクター性があるからこそ、その個性をしっかりと打ち出すような着こなしがベスト。

ちなみに今回お選びいただいたモデルですが、実際にアイテムを見てみていかがでしたか?

TEPPEI〈ドクターマーチン〉のシューズでこうしたハーネスベルトが施されているモデルって珍しいと思うんですよね。そのデコラティブなデザイン性にまず惹かれたのと、実際に履いてみたらサイドゴアの仕様にもなっていて着脱がとても楽でした。これは、仕事の現場などで脱ぎ履きが多い僕らの職業上、かなり便利なんですよね。

そのモデルを実際にセルフスタイリングと合わせて履いてもらいましたが、着こなしのポイントなどはありますか?

TEPPEIシューズ自体にキャラクター性があるため、その個性をしっかりと打ち出すような着こなしがベストかなと思い、今回はストリートエッセンスを加えたニュートラルなスタイリングを意識しました。個人的にはパンクやトラッドというよりは、こうした、より日常的な普段の着こなしにさらっと合わせるくらいがちょうどいいんですよね。

TEPPEIさんは普段、どんなシーンで〈ドクターマーチン〉のシューズは履きたくなりますか?

TEPPEI普段からよくスニーカーを履くことが多いんですけど、その感覚で履けてしまう数少ないブランドですよね。クラシカルなムードは残しているんですけど、ラフに合わせられるというか。あるいはアイコニックなモデルが多いので、ユニフォーム的な着こなしとして楽しんだりもしますね。

最後にご自身にとって〈ドクターマーチン〉というブランドはどんな存在ですか?

TEPPEIパンクロックをはじめとするロンドンカルチャーが背景にしっかりと根付いているブランドだからこそ、身につけた時の説得力が他のブランドとは異なりますよね。それでいてニュートラルな装いからトラッドな着こなしまでカバーできる汎用性の高さも魅力だと思います。僕の中では日常にしっかりと寄り添ってくれる相棒みたいな存在ですね。

〈Dr.Martens〉のシューズ「Fulmar」 ¥24,000、〈Gosha Rubchinskiy〉のスウェット、〈bal〉のボトムス、USEDのニットキャップ、〈DITA〉のサングラス

Fulmar

言わずと知れた人気銘柄”1461″シリーズをベースに、バイカーブーツやコンバットブーツから着想を得たハーネスベルト使いが特徴的な一足が新登場。頑強で耐久性のあるグットイヤーウェルト製法を採用し、サイドゴアの仕様によって着脱も容易に可能。パンクマインド溢れるデザインながらモダンな仕上がりに。

ドクターマーチン・エアウエア ジャパン

電話:03-5428-4981
www.drmartens.com/jp

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