鈴木さんは「ロンハーマン」のバイイングもしていますが、バイヤー目線で〈カナダグース〉はどのように映っているのでしょうか?
鈴木ぼくらが〈カナダグース〉の取り扱いに本腰を入れだしたのが2016年くらいからで、意外と最近なんです。そのきっかけというのが、ブランドのメディアキットでモノづくりの姿勢やこだわりをあらためて知ったこと。それが世間のイメージとまったく違っていたので、すごく興味をそそられたんです。
鈴木そのときぼくが見たのは、カナダの工場で、地元の人たちがひとつひとつ懇切丁寧にダウンをつくっている光景。そういった現場のモノづくりの場面を見せられるブランドはなかなかないので、衝撃でした。
鈴木いまは多種多様なダウンブランドがあって、それぞれ立ち位置が違いますけど、そのなかでどのダウンを取り扱うかぼくらも模索していたんです。で、モノづくりに特化した背景を強く感じられたのが〈カナダグース〉だったんです。
〈ロンハーマン〉のバイイングにおいて、ファンクショナルなブランドを仕入れるというのは珍しいことだと思うのですが。
鈴木ぼくらはまず、立ち上がったばかりのブランドはほとんどバイイングをしません。とくに男性は信頼度が欲しいじゃないですか。だから、バックボーンが表出してきたときの“ここぞ”というタイミングで、いつもバイイングするよう心がけています。
もちろん、ラグジュアリーブランドの仕入れにも力を入れています。ただ、こと防寒着や靴に関してはあまり仕入れないんです。そういったアイテムは、やはり信頼できるブランドでなければいけない。いくらルックスがよくても、アウターとしての機能を十分に備えていないなら仕入れません。その点〈カナダグース〉はすべてクリアしている。
いま〈カナダグース〉が受け入れられている理由をひと言でいうと必要性に尽きると思っています。夏にビーサンが必要なように、冬は〈カナダグース〉が必要でしょ、って。最近はそこに信頼度という付加価値がついたことで、人気に拍車がかかってきなのかなと思います。