会社に行くときに毎日違うスニーカーを履いていた。
BBさんは現在「MFC ストア」のディレクターと〈イグザンプル〉のプロデューサーをやられていますが、どちらもスタートしたのは最近のことですよね?
BB〈イグザンプル〉は今年の8月で1周年を迎えて、「MFC ストア」は今年の5月に知人と一緒にオープンしました。
BB普通に大阪で会社員として働いていました。知人に「一緒にお店を立ち上げたい」と言われたときは悩んだんですが、それでもやっぱり東京へ行くことを決意して。それまでは安定した仕事に就いていたので、友人たちからは「もったいない」って何度も言われましたけどね(笑)。
BB大阪にいた頃から二足のわらじで会社員と〈イグザンプル〉をやっていたんですけど、ブランドのほうにもより力を入れられると思ったのが大きなポイントになりました。東京に来ることでさらにたくさんの人に知ってもらえると思って。
大阪にいた頃からYOUTUBEやインスタグラムで情報を発信していましたよね。それをはじめたきっかけはなんだったんですか?
BB友人のSOSHI MUZICがもともと「SOSHI-NET」というYOUTUBEのチャンネルを持っていたんです。はじめは世界のお菓子とか紹介してたんですけど、途中でスニーカー関連の話題を動画にしてみる提案をして。それでアップしてみたら再生回数が跳ね上がって、以来、スニーカーやファッションに関する動画は一緒に企画をするようになりました。
SOSHIはもともと同僚なんですけど、ぼくは会社に行くときいつも違うスニーカーを履いていたんです。そこに目をつけてくれて仲良くなりました。
インスタグラムでフォロワーが増えたのもYOUTUBEがきっかけですか?
BBそうだと思います。ただ、自分しか撮れない写真を撮ろうと思って努力はしてました。スマホなのか、一眼レフで撮ったのか、ちょっと曖昧な写真を撮るようにしてて。実は全部iPhoneで撮って加工しているんですけど、どうやって撮ったかわからないような写真にして、スニーカーだけじゃなくて撮影方法もコミュニケーションの入り口にしています。
レアなスニーカーだから魅力的に見えるというわけではない。
BBさんがスニーカーを好きになったきっかけを教えてください。
BB中学生になったときにバスケ部に入ったんですけど、部活で履くスニーカーを父親と一緒に買いに行ったんです。そのときに有名なNBA選手のシグネーチャーモデルを購入したんですけど、店員さんに「これはスポーツブランドのなかにレーベルがあって、そのモデルなんだよ」っていうのを教えてもらって、「スニーカーにもいろんなのがあるんだな」って知ってからどんどんのめり込んでいきました。それから雑誌とかもよく見るようになりましたし、先輩が履いているバッシュとかもチェックしてましたね。
その当時はインターネットでさえまだまだ普及していない時代ですか?
BBそうですね。だから情報源は雑誌。靴だけじゃなくてファッションも勉強していました。あとはアメ村へ行って、ショップの店員さんと話したりとか。欲しいスニーカーを手に入れるには店員さんと仲良くならないと買えなかったですね。取り置きとかしてもらわないといけなかったから。
BBとくにコレがいいっていうのはあまりなくて、いい意味で雑食かもしれません。自分に合うか合わないかというのが基準なので、いいと思ったら買いますし、そうでなければ買わない。「このブランドはこういうテイストだから」みたいなことは思わないようにしています。ファッションもスニーカーも、可能な限りニュートラルに楽しむようにしているんです。
「これはレアだから」とか、そういった価値観もあまり関係なく?
BB当然レアなスニーカーには注目が集まると思うんです。誰かが履いているだけで足元に目がいきますし。とはいえ、それに溺れてしまうのはよくないな、とも思う。自分自身の個性がスニーカーに負けてしまったら、それこそ本末転倒な気がするんです。だから、レアだからという理由だけでは買わないですね。
BBかっこよくてレアなスニーカーを履いているからといって、必ずしもその人自身の魅力が向上するとは思わないんです。だったら、自分の好きな服、好きなスニーカーを履いていたほうが自分らしくいられるし、魅力的かなと。自分が好きで気に入っているという前提があった上でレアだったらいいと思うんですけどね。
そもそもBBさんはどんなカルチャーに影響を受けてきたんですか?
BBR&Bやヒップホップの影響が大きいです。むかしからMVを見るのが好きで、それこそYOUTUBEとかがない時代からMTVを食い入るように見てましたね。そうすると服とかスニーカーに目がいって、「あの靴なんやろ?」って自分で調べたりとかしていました。とはいえ、アーティストのスタイルを完コピするのはイヤだったんですよね。
BBやっぱり影響力のあるアーティストのスタイルは誰もが真似るし、みんなと同じになってもしょうがない。影響を受けた上で自分なりにスタイルを消化することが大事なのかなと。例えばヒップホップのアーティストが首からジャラジャラとネックレスを垂らしているのも、あれは意味があってそうしているんですよね。でも自分にそれを当てはめると、ふさわしくないと思うのでそれはやりませんでした。ただファッション的にかっこいいからといって、そのまま受け入れるのもなにか違うじゃないかと思っています。自分自身のカルチャー、背景、価値観をなによりも大事にしていますね。
ボリューム感やパーツの使い方にオリジナリティーがある。
現在のスニーカーシーンのトレンドはどう眺めていますか?
BBこれはファッション全体に言えることだと思うんですが、いまはハイブランドもストリートブランドも全部がごっちゃになってますよね。なにかひとつのトピックが生まれたら、どちらもこぞってそれを取り上げるというか。スニーカーでいえばダッドスニーカーがいい例かもしれません。
BB垣根を超えた自由な雰囲気は感じますけど、オリジナリティーは薄れているような気がします。全部同じに見えちゃうから。前は土俵が違ったじゃないですか。ハイブランドにはハイブランドの、ストリートにはストリートの役割があったと思うんです。現状を否定しているわけではないんですけど、良くも悪くもいまは全部一緒に見えてしまうという印象ですね。
その中で〈セルジオ・タッキーニ〉はどんな役割を担っていると思いますか?
BBすごく80年代の香りがしますよね。このシューズと服を見て、単純にいまのトレンドにハマりそうだなと思いました。個人的なことを言わせてもらうと、ぼくはシャカシャカのブルゾンとかセットアップが好きなので、靴も服も着てみたいなと思ったのが正直な感想です。
もともと〈セルジオ・タッキーニ〉のことはご存知でした?
BBたしかクリス・ブラウンがライブで着ていたんですよ。それで知りました。90年代は〈セルジオ・タッキーニ〉に関わらずいろんなスポーツブランドのアイテムをアーティストが着ていました。その中でもこのブランドはいい意味で古臭さがありますよね。
BBそうですね。どこかレトロな雰囲気があります。むかしのデザインをそのまま復刻したような、そんなムードがいい。古着で探そうと思ってもなかなかこういうのは出てこないと思うんです。
左から〈セルジオ・タッキーニ〉PRIME SHOT PONY ¥15,000+TAX、PRIME SHOT REVIEW ¥15,000
左から〈セルジオ・タッキーニ〉PRIME SHOT MID NYC ¥13,000+TAX、PRIME SHOT MID DENIM ¥13,000+TAX
スニーカーをご覧になられた第一印象を教えてください。
BBこれも80年代にあったテニスシューズの復刻と聞いたんですけど、ぼくはなんだかバッシュを思い出しました。当時のバッシュって思えばこういったデザインが多かったような気がするんです。ボリューム感とか、パーツの使い方とか、ちょっと懐かしい感じがします。すごく履きやすそう。
履きやすそうというのは、履き心地の面ですか? それとも取り入れやすさという意味で?
BBその両方です。スニーカーっていろんなデザインがあると思うんですけど、普段ばきできるアイテムがいちばん優れていると思っています。
BBそうなんですよ。もちろん、気分を変えるためにスパイス的な意味合いでたまに履くスニーカーもあると思うんですけど、このシューズは普段ばきに適したデザインだなと思いますね。適度なボリューム感があって、どっしりと構えた感じがいい。足元にボリュームがあったほうが、全身のバランスがうまく取れるんですよ。
BBあと、最近のスニーカーよりもむかしのスニーカーのほうがお金がかかってますよね。このシューズもそうですけど、意味がわからないパーツとかたくさんあるじゃないですか(笑)。それがいいんですよ、なんか手間がかかっている感じがして。
80年代、90年代はこういうデザインが多かったですよね。
BBなんだかんだでみんな90年代までに作られたスニーカーをよく履いてますよね。たぶんそれは単純に取り入れやすいからだと思うんです。この年代特有のフォルムやデザインにはオリジナリティーがあって、その流れがいまも脈々と続いている。やっぱりオリジナルの強さがありますよね。
最後に、今日はデニム生地のアイテムを選ばれていますが、コーディネートはどんなことを意識されましたか?
BBトリコロールのジャージと合わせて、色に統一感を出してます。ネイビー、レッド、ホワイトって、いちばんバランスのいい配色だと思うんですよ。違和感がなくて手に取りやすいカラリーングですよね。あと、この靴にはヒョウ柄が入ってて大阪っぽい。そんなところで自分らしさが出せるかなと思いました(笑)
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