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FEATURE|フィルザビルが描くモダンなフライトジャケットのカタチ。

フィルザビルが描くモダンなフライトジャケットのカタチ。

FILL THE BILL meets Buzz Rickson’s

フィルザビルが描くモダンなフライトジャケットのカタチ。

ヴィンテージに対する造詣の深さを軸に、さまざまなエッセンスをブレンドして新たなファッションの楽しさを提案してくれる〈フィルザビル(FILL THE BILL)〉。この度、フライトジャケットでおなじみの〈バズリクソンズ(Buzz Rickson’s)〉とコラボレートを果たしました。襟にボアがついたモデルの最終形である「B-15D」をベースに、大胆なバイカラー仕様へと変更した上で、シルエットを現代的に再構築しています。ここでは、デザイナーである金田淳一さんの想いを届けるとともに、スタイリストの髙橋ラムダさん、荒木大輔さん、池田尚輝さんによるコーディネートを披露。モダンな逸品へと進化を遂げたフライトジャケットの魅力を余すことなくお届けします。

  • Photo_Kazunobu Yamada
  • Edit_Yuichiro Tsuji
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金田淳一 / FILL THE BILL デザイナー

石川県金沢市出身。服飾の専門学校を中退後、生地屋、プリント屋、内装業を経て、OEM会社に勤務。数々のドメスティックブランドの生産を手がけ、独立後2012年秋冬より〈フィルザビル〉をスタート。2015年には恵比寿にショップもオープンしている。

年代やテーマにこだわるわけでもなく、あえてごちゃ混ぜにしている。

〈フィルザビル〉がスタートしたのが2012年の秋冬で、その前はOEMの会社にいらしゃったんですよね?

金田そうです。デニムに強い会社で、そこでいろんなセレクトショップのオリジナルアイテムであったり、ドメスティックブランドの生産をやっていました。

有名なブランドですか?

金田ファッションが好きな方なら知っていると思います。いまをときめく人気ブランドや、男性的でこだわりの強いブランドもありました。

そのブランドの、主にデニムの生産を担当していたんですか?

金田カットソーとかも作ってましたし、いろいろですね。その会社に3年半いて、30歳のときに独立して、ひとりで生産を担当していました。ブランドをスタートしたのは32歳のときです。

〈FILL THE BILL〉2018AW コレクションより。スタイリングはこのあとコーディネートを披露してくれる荒木大輔さんが担当。

ファーストシーズンはどこか男らしさがあり、色使いやデザインも控えめな印象でしたが、スタートから6年が経過して、クリエーションの内容がだいぶ変わったように思います。

金田それはよく言われますね。ウィメンズのコレクションもつくるようになったのが大きいと思います。2015年秋冬からかな? わりと最近のことなんですけど、ウィメンズをやるとメンズのデザインも柔らかくなるというか(笑)。

どうしてウィメンズをスタートさせようと思ったんですか?

金田そもそもOEMでウィメンズをやっていたので、ブランドをはじめる当初からウィメンズがやりたかったんです。それに自分の周りにはメンズのブランドをやっている人が多かったし、自分もやっててわかるんですけど、作るのも大変そうだなぁ…(苦笑)、と。

ブランドをはじめたときはもうひとり営業をやっている相方がいて、彼が「ブランドを一緒にやろう」と言ってくれた張本人だったんですが、メンズ畑の人間だったので「じゃあメンズでやるしかないね」ということで、まずはそこからスタートすることになりました。

なるほど。じゃあ頭の片隅にはウィメンズの服がずっとあったわけですね。

金田そうですね。でも、自分的には思ったよりも早くウィメンズをスタートさせることができました。ウィメンズの服はやっぱりデザインしてても楽しいですね。

〈フィルザビル〉のクリエーションでは“ヴィンテージ”というキーワードは避けて通れないものだと思うんですが、香ってくるのはそれだけじゃないような気がするんです。生地の選び方、色使い、シルエットなどに、独特のムードがあるというか。

金田もちろんヴィンテージは好きなんですが、とくに年代にこだわるわけでもなく、幅広く好きで。90年代のものも、30年代のものも全部が好きだから、服をつくるときもそれがごちゃ混ぜになってていいかなと思うんです。

国も問わずですか?

金田あんまり関係ないですね。ただ、ぼくはデザインの参考になる古着をアメリカへよく買いに行くんですけど、それはやっぱりアメリカものが好きだからなんでしょうね。もとを辿ればいろんな人種の人たちがいる場所なので、そのミックス感が好きなんです。

実際にデザインするときは、ひとつのアイテムのなかにいろんな年代のエッセンスが混ざっていたりするんですか?

金田そうですね。デザインをしているうちに「あっ、これいいじゃん」って組み合わせている感じ。だからそこまで意図的やっているわけではなくて、最終的にスタイリングを組む上でそれがかっこよければいいなと。

すごく柔軟な考え方ですね。

金田そうかもしれません。テーマや年代にこだわると、縛りが多くなってしまうので。それよりはもっと自由に楽しみたいし、お客さんにも楽しんで欲しいんです。

とはいえ、ブランドとして“売り”の方向に走っているようにも感じません。

金田それは悩むところではあるんですが…(笑)。デザインをしていて、絶対にこっちのほうが売れるのになぁって思うときがあるんです。わかりやすく言えば、柄を使わずに無地の服をつくったほうが無難ですよね。でも、それをやると服が急につまらなくなるというか、嘘っぽくなってしまう。

ブランドの個性を尊重しているわけですね。

金田そうですね。無地とかは別注でやってくれたらいいなと思うんですけど、まずは自分の内側にあるものを純粋にアウトプットしないとダメですね。

〈FILL THE BILL × BUZZ RICKSON’S〉フライトジャケット ¥110,000+TAX

ボア襟のついたフライトジャケットの最終形である「B-15D」がベース。「B-15C」に使われていたセージグリーンの生地との切り替えにより、インパクトのある仕上がりに。肩を落とし、身幅を広げることで現代的なシルエットに再構築。中綿には「プリマロフト・ゴールド・インサレーション」を使用している。

ミリタリーのイレギュラーものから着想を得たデザイン。

ミリタリーウェアのデザインに関して金田さんはどんな気持ちで取り組んでいますか?

金田ミリタリーシャツなどはつくることができるんですが、フライトジャケットなどのアウターに関しては、ぼくらの生産背景ではとてもじゃないけどクオリティーの高いものをつくるのが難しいんです。だから、今回のフライトジャケットも〈バズリクソンズ〉の力をお借りしました。

餅は餅屋に頼むのがいちばんであると。

金田そうですね。こういったアウターは本気でつくりたいという気持ちがあるんです。とはいえ、ファスナーの仕様ひとつにしても、自分たちだけの力じゃ再現できなくて。

金田あとは縫製もそうですね。縫い合わせが波打ったパッカリングの仕様は、工場に相談して「じゃあやりましょう」とは簡単に言ってもらえない。恐らくいろいろ試行錯誤した上でこういったものを再現しているので、自分たちでやろうと思ってもすぐにできるものじゃないんです。

今回どうしてフライトジャケットをつくろうと思ったんですか?

金田もともとスカジャンをつくりたいという気持ちがあって自分でデザインしてたりしてたんですが、どうも本物感が出なかったんです。それで〈バズリクソンズ〉にお願いしようかな? と思いつつも、自分たちはまだ未熟だからなかなかお願いしづらいな、という気持ちもあって…(苦笑)。

今回は思い切ってお願いされたわけですね。

金田このアイテムを企画したタイミングがブランドの5周年の時期で、そろそろいいかなと(笑)。生地を切り替えて、パターンも変えてというアイデアは既に頭のなかにあったので、それを絵型にして〈バズリクソンズ〉へ持って行ったら、一緒にやってもらえることになって。

今回のコラボアイテムは襟にボアがついたフライトジャケットの最終形である「B-15D」をベースにされていますが、このモデルを選んだのはどうしてなんですか?

金田「B-15D」をマリリン・モンローが着ていたんです。先ほども話した通り、ウィメンズのデザインに影響を受けることが多くて、それでマリリン・モンローが着ていたのを見ていいなと。

切り替えのデザインはどんなところから着想を得たんですか?

金田ミリタリーにイレギュラーものってあるじゃないですか。例えば、パンツのベルトループだけ違う色の生地が使われていたりとか。あれと同じニュアンスですね。今回のフライトジャケットは「B-15D」をベースに、「B-15C」の生地も使っているんです。

「B-15D」がオリーブドラブ、「B-15C」がセージグリーンですよね。

金田そうですね。だから、CからDへ移行する時期に生地が混ざっちゃった、みたいなイメージでデザインしました。そして中綿には「プリマロフト・ゴールド・インサレーション」を使用しています。通常の中綿ってすごい重いんですよ。湿気を吸うとさらに重たくなるし、毛布を着て歩くような感覚なので(笑)。肩も落ちにくくなるし、マッチョな感じになっちゃうんです。

そこはあえて現代的かつ柔軟にデザインされたわけですね。

金田やっぱり着やすいほうがいいですから。それにぼく自身もパターンが悪いと着ないですし。だから肩を落としたのと、身幅を広くしていまっぽいシルエットに再構築しました。これで着やすくなったと思います。

ご自身で着るとしたら、どんな風に合わせますか?

金田ジーパンを合わせると、どストレートなスタイルになっちゃうので、その逆の着こなしをしたいですね。

最後に、ブランドとして今後考えていることがあれば教えてください。

金田海外進出かな? いま卸先は国内だけなので。あとはすぐにとは言えないですけど、いつかはショーをやりたいです。東京に来たときからそれをひとつの目標にしているので実現させたいですね。

3人のスタイリストが見せる三者三様のスタイル。

デザイナーの金田さんにブランドのことや今回のコラボアイテムについて思う存分語ってもらったあとは、3名のスタイリストによるセルフスタイリングを披露。金田さん曰く「3名ともそれぞれ異なるスタイルを持っていて、そのどれもに当てはまるアイテムになったと思います」とのこと。ということで、さっそく三者三様のスタイルをご覧ください。

Case 01_髙橋ラムダさん

「写真で見ると派手な印象なんですけど、同系色でまとまりがあるのでそんなにマルチ感もなく意外とすんなり着れるアイテムだと思います。フライトジャケットって肩肘張って着るものじゃないと思うので、今日はあえてデイリーなムードで着ました。中綿がプリマロフトになっているから、軽いし着やすくていいですね」

Case 02_荒木大輔さん

「ボリュームがしっかりとあって、暖かいですね。冬はこれさえあれば、という感じがします。あとボアの色味が絶妙な色合いで洒落てるなぁ、と。ちょっと高級感がありますよね。ジップの色とも合ってるし、そこにデザインの妙を感じます。コーディネートは、このアイテム自体の存在感が強いので、あまり気張らずにシンプルに合わせました。色合わせだけちょっと意識したくらいですね」

Case 03_池田尚輝さん

「オーセンティックなフライトジャケットの印象を残しつつも、シルエットがオーバーサイズになっていて着やすいですね。昔〈バズリクソンズ〉の『B-15D』を着ていたことがあって、なんだか懐かしい気持ちになりました。ミリタリーなので、インナーのサーマルと足元の〈ニューバランス〉でスポーティさを出しつつ、ウール素材のシャツとスラックスで大人っぽさも意識したコーディネートにしました」

FILL THE BILL MERCANTILE

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