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ファーストダウンと90年代。Vol.01 猪塚慶太 / スタイリスト

Pass through 90’s and now.

ファーストダウンと90年代。Vol.01 猪塚慶太 / スタイリスト

1980年代、アメリカで誕生したダウンジャケットブランド〈ファーストダウン(FIRST DOWN)〉。90年代にはNBAの名だたるプレイヤーや、数々のヒップホップアーティストに愛され、やがて彼らのフォロワーである若者たちのあいだでも急速に広がりを見せました。そんな当時の空気感をまとうアイテムを「フリークスストア(FREAK’S STORE)」がリリース。今回はスタイリストの猪塚慶太さんに、自身の90年代の話やいまの気分、そして〈ファーストダウン〉を使用したコーディネートを披露してもらいました。

  • Photo_Haruki Matsui
  • Edit_Yuichiro Tsuji、Jun Nakada
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猪塚慶太 / スタイリスト

1974年、福岡県生まれ。2003年より、雑誌、広告、アーティストを中心に活動中。

カルチャーのマナーやエチケットを外しすぎないように外す。

猪塚さんは90年代にどんな時間を過ごしていましたか?

90年代は高校、大学、卒業後に師匠である渡辺康裕のアシスタントをしていました。

学生時代はどんなことに興味があったんですか?

高校は、まず野球をやっていたので、3年生の夏まではどっぷり野球ベースの生活をしていました。ただ、うちの高校は制服が無くて私服だったので、ラスタハット被って、スウェットパンツに〈ティンバーランド〉履いて通学したりしていました。典型的な映画、音楽好きのカルチャーっ子でした。

大学の時も変わらず、カルチャーっ子にいそしんでいましたが、周りに全身スーパールーズな本格的なB-BOYの友達がいた影響もあって、エッセンスだけはB-BOYスタイルを取り入れたちょっとひねった格好をしていました。

HIP-HOPはお好きだったんですか?

もちろんHIP-HOPは大好きでしたが、自分は当時の時代感もあってか、雑食的にいろいろなジャンルの音楽を聴いていたし、本格的にラップやDJをやっていた訳でも無かったので、ストレートにB-BOYスタイルでいることには抵抗がありましたね。だから、当時流行ったアウトドアブランドのダウンを着るにしてもユーズドのカーゴパンツや、レザーパンツなんかと合わせていました。

自己流に消化していたんですね。

どんなカルチャーのスタイルにも、マナーやエチケットのようなものがあると思うのですが、それを外し過ぎないように外すということは、当時からずっと思っていることです。そのなかでファッションの楽しさや面白味を追求しています。

90年代のファッションシーンには、どんな空気が流れていたんですか?

いまと比べて様々なジャンルの人が同じ場所、空間に混在していた感じがあります。ぱっと見、趣味の合わなそうな偏った映画や音楽のルーツを持つスタイルの友達が周りにはいたんですが、なぜか遊ぶときはみんな一緒みたいな時代の空気感はありましたね。

猪塚さんはどんなスタイルだったんですか?

自分は雑食的なMIXスタイルが好きだったので、ひとつ覚えているのは〈プラダ〉のナイロンモッズコート、〈チャンピオン〉のリバースウィーブ、〈A.P.C.〉のレザーパンツに〈ティンバーランド〉のイエローヌバックを合わせていました。

いまはそういったブランドのMIX、音楽のルーツ的なアイテムのMIXが普通になっているじゃないですか? たとえば、トラップのアーティストが、ラップしているけどロックスター然としているのと同じで、自分のなかにも、それと似た感覚は当時からありましたね。

いま興味があるのは“アウトドア”。

最近のファッションシーンでは「ストリートとハイブランドの垣根がなくなった」という声が聞こえてきますが、猪塚さんはそういったトレンドをどう眺めていますか?

決して偉そうな事を言うつもりはまったくないんですが、先程も言ったように、当時から自然とMIXカルチャー的感覚で培養されてきているので、だからその感覚はまったく当たり前で、「まあ、そうだよね」としか言えないんです。

ある意味、自分の昔の感覚といまの時代感はとても似ていると思います。〈ラフシモンズ〉に〈ニューエラ〉や、ジョーダンを当時から合わせていたりしたので…。

逆に、いま気になるのはどんなことですか?

いちばん興味があるのは“アウトドアブランドをよりアウトドアっぽく着る”みたいなことに惹かれています。90年代に雑誌を見る側として育って、そのなかに “ヘビーデューティー”という言葉があったんです。アウトドアブランドにツイードアイテムを合わせて、足元はトレッキングブーツみたいな。あのスタイルは雑誌がつくり上げた自分にとっても当時、衝撃を受けたスタイルだったんですが、いまはそれを自分なりにアップデートしたい気分ですね。

なんだかすごく意外な感じがします。

一回、7、8年前に自分のなかでアウトドアブームがあってテントや食料を担いでよく登山していた時期があるんです。その時のムードもリバイバルしています。

アウトドアとはいえ、そのなかにはファッション的な感覚も含まれるんですか?

もちろんありますが、アウトドアブランドのダウンジャケットをストリートな感覚で合わせるということではなくて、ギアとしてつくられたということを前提にスタイルを組むことに興味がありますね。まったく伝わらないと思いますが、音のジャンルでいうとテクノっぽい感覚です(笑)。

レイブっぽいファッションとはまた違うんですか?

レイブだともうすこしヒッピーカルチャーのムードがあると思うんですが、それとはまったく違いますね。山のランドスケープ、そこまでの高速道路、テクノの硬い音、アウトドアギアっていう感覚です。なかなか、言葉で表現するのは難しいんですが…。いまはそんな気分ですね。

いまのお話を聞いていると〈ファーストダウン〉は猪塚さんのいまの気分とマッチするような気もします。

そうですね、マッチしていると思います。

〈ファーストダウン〉というブランドに対してどんな印象がありますか?

90’s HIP-HOPですかね。なんとなく、当時、Wu-Tang Clanに会いたくてニューヨークのスタテン島まで行っちゃったこととかを思い出します。

今季「フリークスストア」が〈ファーストダウン〉の別注アイテムをリリースしたんですが、ご覧になられていかがですか?

〈FREAK’S STORE × FIRST DOWN〉ファー2WAYダウン ¥37,000+TAX(ONLINE STORE

このファー付きダウンは、フィルパワーが高い割にシルエットがスッキリしていて都会的な印象があるのでタウンユースで使いやすそうですね。個人的には90’sプラダあたりのベージュ 、グレーのナイロンパンツに茶系のスクウェアトゥなんかを合わせたいですね。“Tech × Techno”みたいな感覚で。

こちらの「ロングダウン」はいかがでしょうか?

〈FREAK’S STORE × FIRST DOWN〉ロングダウン ¥32,000+TAX(ONLINE STORE

こちらは小さいサイズを選びたいです。もちろんオーバーサイズで着てもハマるとは思いますが、あえてめちゃくちゃタイトに着て、フレア気味の黒スラックスでオールブラックにまとめたいです。

どうしてタイトに着たいんですか?

アウトドアというトピックともうひとつ”タイトに着る”というのも自分のなかでいま盛り上がっていることなんです。街中ではまだ、オーバーサイズなスタイルが多いですが、自分は逆に全身ピタピタというのが気分なので、アルファベットの「I」みたいなシルエットがいいんですよね。「IZUKA」の「 I」 です…。

オーバーサイズには飽きてきていると。

意識しているわけではないんですが、普段街にいるなかで自分のスタイルが自然と日々色々な刺激を受けて変化していって、気が付いたらトレンドと全然違うポジションにいる感じです。スタイルをつくるプロとして、無意識のうちにそうなってしまうんだと思います。

ファーストダウンがいまのアウトドアな気分にはまった。

今回は実際に2型のアイテムを着ていただきました。着てみていかがでしたか?

先ほど話した、90’sのニューヨークのイメージとはちょっと違うスタイルにしたいなと思ってスタイリングしました。ちょうど、アウトドアムードなので、バッチリハマった感はありますね。

まず「ショート ダウン」を使ったコーディネートはどんなことを意識されましたか?

〈FREAK’S STORE × FIRST DOWN〉ショートダウン ¥29,800+TAX(ONLINE STORE

ダウンジャケットは敢えてSサイズをチョイスして、全身タイトな感じです。カラーリングが90’s感を醸し出しているので、色のトーンを抑え目にして、ナイロンのバケットハット、タイトなスタプレパンツ、エナメルスニーカーでハイブリットな感じで合わせています。

最後に2つ目の「リバーシブルバブルダウン」を使ったコーディネートに関しても教えてください。

〈FREAK’S STORE × FIRST DOWN〉リバーシブルバブルダウン ¥29,800+TAX(ONLINE STORE

自分が抱いているちょっとクラシックなアウトドアスタイルをイメージしています。現代のテクニカルな手法と時代の空気感を上手くまとった服が好きなので、それらのブランドを合わせています。90’sのフレーバーを残しつつ、いまのアイテムでアップデートした感じです。

フリークス ストア渋谷

住所:東京都渋谷区神南1-13-1
電話:03-6415-7728
営業時間:平日 12:00〜20:00、土日祝 12:00〜20:30
www.freaksstore.com

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