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日本の冬を席巻する、カナダグースの真価。Vol.02 建築家・藤本壮介。

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日本の冬を席巻する、カナダグースの真価。Vol.02 建築家・藤本壮介。

冬を迎えるたびファンを増やし続ける〈カナダグース(CANADA GOOSE)〉。1957年から現在までカナダでの生産を貫き、細微な手仕事でつくられるダウンは冬の風物詩になりつつあります。でも、なぜこんなに多様な選択肢があるなかで、圧倒的な支持を得ているのか。なぜそこまで消費者の購買意欲をくすぐるのか。そのブランドの求心力の根源を探るため〈カナダグース〉の識者に問う3回連載。Vol.2は世界をまたにかけて活躍する建築家・藤本壮介さん。いままで距離のあった両者を結びつけた「デザイナート」とインスタレーション、そして哲学。ゼロからものを構築する建築家に〈カナダグース〉はどう映るのか。藤本さんが制作したインスタレーションとともに、魅力を掘り下げていきます。

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藤本壮介

1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年に藤本壮介建築設計事務所を設立。日本建築大賞やJIA新人賞のほか、WSJ Architecture Innovatorやモンペリエ国際設計競技最優秀賞など受賞歴は数知れず。第13回ベネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館の展示では金獅子賞も受賞。

カナダグースのブランド哲学は、建築に通じるところがある。

2018年10月19日より、10日間に渡って開催された「デザイナート トーキョー 2018(DESIGNART TOKYO 2018)」。街をミュージアムに見立て、店舗や施設などをアート作品やインスタレーションで彩る東京の秋を代表するイベントです。本イベントの一環として、建築家である藤本壮介さんが〈カナダグース〉のショーウインドウでインスタレーションを行いました。※来年の2月末まで展示される予定。

「カナダグース千駄ヶ谷店」に設置された藤本さんのインスタレーション。

早速ですが、どのような経緯でインスタレーションを行うことになったのでしょうか?

藤本「デザイナート」主催の青木昭夫さん(MIRU DESIGN)から電話があって、話をいただいたのがきっかけでした。ただ、正直にお話しすると、そのときは〈カナダグース〉のことを深くは知らなかったんです。建築を生業としているので、実はファッションという分野にそんなに馴染みがない(笑)。なので、プレスルームにお邪魔してブランドについてのお話を伺いました。そのときに、ファッション的な部分もそうですが、背後にあるブランドの哲学や探究心に強く感銘を受けたんです。それならぼくらにも、なにか関わることができそうだなと思い、ぜひやらせてください、という感じで。

とくに感銘を受けた部分は、具体的にどういったところだったんでしょうか?

藤本たとえば、素材を科学的に幅広いレベルで吟味していたり、パーツの作り方も含めて、論理的でありながら感性が組み合わさっていたりという部分。もうひとつ言うなら、ダウンは柔らかくフワフワしていて捉えどころがないけれど、〈カナダグース〉のダウンをサイエンティフィックに見ると非常に緻密に作られているんです。

対話を重ねて完成させたインスタレーション。

今回のインスタレーションはどのように完成させていったのでしょうか。

藤本まずは〈カナダグース〉の世界観を表現したいと考えました。そうすると使う素材は自ずとダウンになってくる。この考えにいたるのにも、ひとつきっかけがあって、それがプレスルームで見させていただいた〈カナダグース〉の60周年を記念して作られた本。そこに、プロダクトのなかに隠れたダウンをX線写真で撮ったような写真があったんです。それがとても印象的でして。

藤本さんにインスピレーションを与えた〈カナダグース〉創設60周年を記念してつくられたブックのいちページ。

そのような理由からダウンそのものを使おうと考えたんですね。

藤本そうです。それからは、ダウンをどう使おうか考えていったんですけど、ダウンを緻密な幾何学の空間に浮かせると、うまく対比を作れるのではと思い至りました。

藤本そして、たどりついたのが、大きなショウウインドウの中に、ダウン一つひとつをグリッド状に、黒いワイヤーで接着して浮いている状態にすること。さらに、そこにコンピューターで制御した照明を当てる。そうすることで、動かないダウンに対して光が動き、全体を揺らめいて見せることができます。

ダウンが黒い空間の中に整列しながら浮いていて、果てしなく続くような風景が印象的でした。

藤本結果的に、2万7000個以上のダウンを使用しました。幾何学性を暗示するような配列にすることでデジタルっぽくもなるので、そういう意味では現代性にも通じますよね。

でも、自然の素材そのものだから、小さなダウンだけれどそこから地球環境まで考えることもできる。そういった振れ幅の大きさも〈カナダグース〉がもっている奥深さになるのではないかと。見えるモノと見えないモノという、僕が感じた〈カナダグース〉のスピリットをうまく表現できたんじゃないかと思っています。

インスタレーションを通して伝えたいこと。

ずばり、藤本さんが今回のインスタレーションを通じて伝えたいこととは、何でしょうか?

藤本やはり〈カナダグース〉の周囲に広がる世界観を感じてほしいというのがいちばんですね。我々の日常着であると同時に、エベレストや北極、南極という極限の状況にも対応していく。そのクオリティを保つためには製品になる前のリサーチや試行錯誤が絶え間なくなされています。一方で扱っている素材は自然そのもの。どういうことかと言うと、〈カナダグース〉のダウンはダウンのために飼育されているグースではなく、食用のグースからしか取らない。毅然としてサスティナブルなモノづくりも行なっているんです。我々を取り巻く世界はあらゆるスケールで全て繋がっているということが、カナダグースを通して伝わるとうれしいです。

藤本さんが選ぶ、カナダグースのおすすめモデル。

「僕は北海道出身で、昔からダウンジャケットをよく着ています。余談ですが、世界中いろいろな国へ行ったなかで、いまのところいちばん寒いと感じるのは実家がある旭川近辺です(笑)。冬のヨーロッパへ行くときはダウンを着ますが、今までは軽いタイプのダウンしか着たことがありませんでした。今回初めてカナダグースを着てみて、その暖かさとフィット感に驚きましたね。手で持つと重いのですが、着るとガチッと体にフィットし、動きやすいうえに安心感があります。これはほかのダウンでは感じられない魅力ではないでしょうか」

カナダグース

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#CANADA GOOSE
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