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北海道の名店ムーンロイドが生み出し続ける、特別なウェア。Vol.1

Keep Warm with MOONLOID.

北海道の名店ムーンロイドが生み出し続ける、特別なウェア。Vol.1

北海道・札幌から、クルマでおよそ2時間30分の場所にある当麻町は、北海道有数の米どころであり人口およそ7000人という、絵に書いたような田舎街。そこに、道内外からファンが訪れるセレクトショップがあります。名前は「ムーンロイド(MOONLOID)」。人々を引き寄せる理由は、そこでしか買えないモノの宝庫だから。年々進化を続ける〈ロッキーマウンテン フェザーべッド(Rocky Mountain Featherbed)〉の別注商品をはじめ、同店の旗艦レーベル〈ナンガ ホワイトレーベル(NANAGA WHITE LABEL)のこと。さらに、どうして出店場所に当麻町を選んだのか。「ムーンロイド」の哲学と謎に迫ります。

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北海道でしかできない、北海道のモノづくり。

真っ直ぐ伸びたロードサイドに、突如現れる合掌づくりの大きな平屋。ひと際目を引く杉板の外壁。入り口には薪が積み上げられ、セレクトショップというよりは山小屋と言ったほうがしっくりくる佇まいのセレクトショップ「ムーンロイド」。

中央に据えられた暖炉と、コの字に配されたラックに商品が陳列され、梁がむき出しになった天井がなんとも印象的。80年もの時間、北海道大学の施設のひとつとして使われていたという貴重な建物の一部を移築した店舗は、経年劣化ではなく、経年変化を楽しめる素材をどうしても使いたかったというオーナーのこだわりから。けれど、遠方からやってくる人が絶えない理由は、立地でもなく、建物でもなく、そこでしか買えないモノが置いてあるから。

別注、別注、別注。「ムーンロイド」の最大の特徴は、ショップを構成するアイテムのほとんどが別注であるということ。

商品を買い付けて販売するのであれば、インターネット社会のこの時代に売ることは難しい。だから、ここでしか買えないもの、別注の商品がこれでもかと並びます。さらに、それらの別注アイテムは、スタッフたちが繰り返し着心地をたしかめ、つくりあげていく。

たとえば〈スイコック(SUICOKE)〉。極寒の北国において、あたたかく、氷上でも滑らない靴は冬のマストアイテムです。だから、このブーツも中にはムートンを配し、アウトソールには氷上でも滑りにくい寒冷地対応の「ビブラム(Vibram)」のソールを採用。ベージュが別注アイテムです。

KENN MOUTON BOOTS ¥26,000+TAX

100年以上愛される英国の老舗メーカーブランド〈ハイランド2000(HIGHLAND 2000)〉に別注したニットキャップは、シルクのような、しっとりした肌触りが特徴のアルパカ素材を使用し、カラーも豊富に展開しています。これも、ただ単にアルパカを選択したわけではなく、寒いから被るという実用的な側面も考えた結果、チクチクしない同素材にたどりついたとのこと。

ALPAKA BOB CAP ¥4,800+TAX

寒冷地だからこそ生まれる、実用的で魅力的な別注アイテム。なかでも「ムーンロイド」が今年、最も注力しているのが〈ロッキーマウンテン フェザーヘッド(Rocky Mountain Featherbed)〉のダウンなのです。

ムーンロイドの顔となりつつある、ロッキーマウンテン フェザーヘッドの特別なダウン。

かつてはアメリカのカウボーイたちから、絶大な支持を受けた〈ロッキーマウンテン フェザーヘッド(Rocky Mountain Featherbed)〉のダウン。現在もファッション玄人たちから信頼を置かれる同ブランドのアイテムも、2017年から別注をスタート。

THIN DOWN JERKIN NANAME POCKET VEST ¥31,000+TAX

このモデルはただの別注ではありません。〈ロッキーマウンテン フェザーヘッド〉の代表である寺本欣児さん監修によるものなのです。これも「ムーンロイド」がいままで積み上げてきたものがあるからこそ生まれたアイテム羽毛をシート状に加工した「シンダウン」を使用したモデルは、厚さが均一で着膨れしません。そのためレイヤードが非常にしやすい。フロントに斜めに配されたポケットは、スマートフォンやサングラスなど、出し入れが多いものを仕舞うのにとても重宝します。また、同モデルはただの別注アイテムではなく、〈ロッキーマウンテン フェザーヘッド〉の代表である寺本欣児さん監修によるものなのです。これも「ムーンロイド」がいままで積み上げてきたものがあるからこそ生まれたアイテム。

SINPLE IS V(B)EST ¥31,000+TAX

つなぎ目はもちろん、ジッパーやボタンなどが一切見えない、その名も「シンプル イズ ベスト」は、どんなアウターにも合わせやすいデザインと、見た目以上の温かさが特徴的。横キルトではなく縦キルトなのもポイントです。ダウンが膨らめばステッチの間隔が狭くなり、ダウンが横に引っ張られると身幅が広がるという、縦キルトゆえの伸縮性が見事。

SUEDE LEATHER DOWN JACKET ¥195,000+TAX

そして、〈ロッキーマウンテン フェザーヘッド〉のアイコンであるクリスティベストを彷彿とさせるダウンジャケット。レザーのヨークもそうですが、全体がスエード地です。使用しているスエードも、クリスティベストのヨークに使われているスエードそのもの。ずっしりと重厚感があって、着用するだけで安心感が生まれます。さらに、使い込むほど体に馴染んでくる。

2013年から続くナンガとの共作、ナンガ ホワイトレーベル。

国産ダウンメーカー〈ナンガ〉とタッグを組み、2013年から立ち上がった〈ナンガ ホワイトレーベル〉。「ムーンロイド」でしか販売されないエクスクルーシブラインです。寒冷地で、実際にスタッフが着用し、意見を反映させながらつくられるダウンは「最強ダウン」と銘打たれ、多くの人を魅了しています。

左:ナンガ ホワイトレーベル 最強 ダウンジャケット type1 ¥83,000+TAX、中:ナンガ ホワイトレーベル 最強 ダウンジャケット type2 ¥86,000+TAX、右:ナンガ ホワイトレーベル 最強 ダウンジャケット type3 ¥80,000+TAX

サイズとカラーが集中すると、予約販売開始から5分ももたないというダウン。店長の甲斐さんいわく「レイヤードを前提とするアウトドア仕様のダウンは、さっと羽織っただけでは隙間が出来てしまう。けれど〈ナンガホワイトレーベル〉はレイヤードせずとも、1枚で完結する」。その理由は、940フィルパワーの羽毛を200g以上封入し、袖や首元に風の侵入を防ぐ仕掛けが多くなされているからなのです。

続けて「〈ナンガ〉は羽毛の品質と価格のバランスがいい。あと、国産にこだわりたかったのも〈ナンガ〉を選んだ理由のひとつです。工場での製造工程を見ることができるし、生産側とデザイン側の意図もすり合わせやすい。海外となると、そうはいかないので」。手が届く価格で、最高のダウンを生み出すには〈ナンガ〉しかなかったということです。

交通の便が悪く、ほかにはなにもない。けれど、ムーンロイドがあるから行く。

服を売っているショップなんてひとつもなく、交通の便がいいともいえない「ムーンロイド」。実は当麻町の前には、北海道第2の都市、旭川に拠点を構えていたのです。

「いつでもどこでも買い物ができるネットショップとは真逆のことを実現するため、2017年に旭川から当麻町に移転してきました。移転後はとくに、道外からのお客さんが増えています」。遠くは長崎県から、噂を聞きつけ「ムーンロイド」のためだけに当麻町を訪れる人もいるそうです。

「北海道らしいアイテムを北海道から発信したい。当麻に移転したことで、以前よりもコンセプトに説得力が増したかもしれません。お客さんから直接意見を聞くことができ、それを商品に反映させられるのも強みです」。

ものづくりのプロである工場やメーカーに「ムーンロイド」のフィルターを加え生み出される、数々の別注モデル。本当にいいものだけを追い求めるからこそ、アイテム数は多くないし、発売後間もなく完売してしまうアイテムも多いです。それも卓越した感覚があればこそ。

今年で6年目を迎えた「ムーンロイド」。北海道発の稀有なショップは、今後ますます目が離せない存在になっていくでしょう。

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