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レッド・ウィングのオックスフォードシューズ、二者択一の回答。

POSTMAN OXFORD or MIL-1 BLUCHER OXFORD

レッド・ウィングのオックスフォードシューズ、二者択一の回答。

世界的な注目を集めるアイウェアショップ「グローブ・スペックス」代表の岡田哲哉さんと、『フイナム』をはじめ多くの媒体で活躍中のスタイリストの池田尚輝さん。ともにヒップなファッションに精通したふたりですが、今回は〈レッド・ウィング〉の中でも最もクラシックでドレッシーなアイテムにあたる「ポストマン・オックスフォード」と「ミルワン・ブルーチャー・オックスフォード」を題材に、どちらを選ぶか二者択一を迫ってみました。「ワークブーツメーカーがつくるドレッシーなレザーシューズ」というお題に対し、ふたりが導き出した回答と着こなしは如何に。

  • Photo_Toyoaki Masuda
  • Text_Shunsuke Hirota
  • Edit_Yosuke Ishii
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ポストマン・オックスフォードの選択_岡田哲哉の場合。

メガネ業界を変えるための第一歩を踏み出す相棒として選んだ、思い出のポストマン。

岡田さんがポストマン・オックスフォードを選んだ理由を教えてください。

岡田もともと「ポストマン」はメガネ業界に入りたての20代前半の頃に履いていたんです。当時のメガネ業界はファッション感はまったくなくて、大手の会社ということもあってドレスコードが厳しかったんです。その頃はジャケットスタイルですら許されなくて、みんな堅いスーツを着て、ウィングチップかプレーントゥばかり履いていました。ぼくはメガネ業界を少しでもファッションの方向に変えたかったので、「ポストマン」を履いて少しずつファッション的に崩そうとしたんです。「ポストマン」はドレスコードにマッチしているけれどよく見ると崩した雰囲気に仕上がるので、うってつけの靴でした。

ポストマン・オックスフォードがドレスコードの切り崩し第一歩だったんですね。

岡田崩していかないと面白くないので。その頃履いていた靴は20代後半にNYに転勤になった時に処分したのですが「やっぱり持っていれば良かった」と、後からすごく後悔しましたね。アメリカで本当に「ポストマン」を郵便局員が履いているのを見て、感動したのを覚えていますよ。

岡田さんは靴好きとしても有名ですよね。

岡田ワードローブを占める割合だと、靴が一番多いかもしれません。「VANヂャケット」がアイビーを日本に持ち込んだ10代のとき、色々な雑誌で「靴が一番重要だ」って書かれていたのが頭に刷り込まれているせいか、ぼくは若い頃からファッションの決め手は靴だと思っています。いくら良い服を着ていても変な靴では台無しです。

岡田さんの最近の靴選びの傾向を教えてください。

岡田自分はもうすぐ還暦ですし、あまり大御所感が出すぎるとお客さんが話しかけにくいかなというものもあって、最近はスニーカーを履くことが多いんですが、いまレザーシューズを履くとしたらスニーカーの感覚で履けるレザーシューズを選びたい。その点で、「ポストマン」はいまの気分にピッタリです。

20数年振りに再び「ポストマン・オックスフォード」を履いてみた感想はいかがですか?

岡田ここ最近は毎日のように履いていますが、やはり良いですね。急に雨が降ってきても気にならないし、非常に歩きやすい。海外出張に出かけると物凄い距離を歩くんですが、この靴なら安心ですね。この間もヴィンテージのアイウェア発掘のため、フランスの山奥で舗装していない道を延々と歩いてきたところです。

確かに快適な歩き心地も「ポストマン・オックスフォード」の魅力だと思います。

岡田出張だけでなく、毎日のように店に立っているので履き心地は重要。「ポストマン」は店で長時間立ったまま接客しても疲れにくいですね。それに、歩いているときにコツコツと音がしないのも良いところです。どうしても足音が鳴るとお客様が身構えてしまうのですが、「ポストマン」なら気配を消してくれるので、お客様も気が散らずに買い物が楽しめるかと。

「ポストマン・オックスフォード」ならではの魅力はなんだと思いますか?

岡田ぼくはメガネにしても靴にしても、あまり攻めすぎたアバンギャルドなデザインは好きじゃなくて、長く続いているオーセンティックなものに惹かれる傾向があるように思います。「ポストマン」はあまりシュッとし過ぎない、丸みのあるシルエットが美しい。20代の頃はカッチリしたアイビーと組み合わせて履いていましたが、いまはもっとクダけた雰囲気で履きたいですね。

2018年仕様にアップデイトした崩しアイビー。

「コーデュロイのセットアップやチルデンセーターなど、20代の頃に着ていたアイビーをベースにしつつ、よりラフに着崩しています」と岡田さん。ネイビー × オフホワイトをキーカラーにしつつ、腕時計のバンドまでしっかりと色目を統一。カジュアルな印象のコーデュロイスーツを、シャツではなくカットソーを合わせる着崩したスタイルに「ポストマン・オックスフォード」が好相性を描きます。

岡田哲哉

1959年、広島県出身。都銀から大手眼鏡販売会社勤務を経て、1998年に「グローブスペックス」を渋谷にオープン。アイウェアの国際的展示会として注目されるMIDO展で、眼鏡店世界一を決めるBESTORE AWORDを2017年に代官山店、2018年に渋谷店が選出され、2年連続受賞。また、〈ルノア〉をはじめとした8つのブランドの日本総代理店業務もおこなっている。

ミルワン・ブルーチャー・オックスフォードの選択_池田尚輝の場合。

面構えから作り、値段設定まで、待ち望んでいたアメリカンドレスシューズの理想形。

池田さんは今回の企画ではじめて「ミルワン・ ブルーチャー・オックスフォード」を知ったそうですが、実際に履いてみていかがでしたか?

池田こんなにほど良いドレスシューズが存在してたんだって、ビックリしました。このつくりで5万円を切ってるっていうのが驚きですし、アメリカ製のドレスシューズで10万円以上出すぐらいなら、こっちを履きたいって思う人も多いと思います。これって比較的新しいモデルなんですよね?

原型になるシューズは1930年代頃からありましたが、「ミルワン・ ブルーチャー・オックスフォード」といういまの名称と形でつくられはじめたのは2016年からですね。

池田ですよね。もし昔から作られている定番モデルだとしたら、なんで知らなかったんだろうってぐらいの名作です。僕は革靴を履くならトップリフト付きのヒールの靴を履きたいんです。足元はカッチリとさせつつ、他のことで崩したい。その点、この「ミルワン・ ブルーチャー・オックスフォード」はドレスシューズだけどワークブーツっぽい雰囲気も備えていて、足元の崩しや外しにぴったりです。

実際に履いてみて歩き心地はどうですか?

池田履きはじめて間もないのでまだ固いところはあるんですけど、いい感じです。最近はレザーシューズを履く機会も減ってたので、身のこなしも行儀よくなりますね。ヒールカウンターがガッチリとしているせいか、足のホールド感も吸い付くような印象です。いまのこなれ具合だと薄手のドレッシーなソックスだとまだ足が靴のなかで泳ぎそうなので、今日は厚手のメランジのソックスと合わせています。

ソックスとの相性も気になるところなんですね。

池田むしろ、ぼくの中ではそこが一番大事だと思っています。生活のなかに取り入れられるかどうかの分かれ目ですから。「ミルワン・ ブルーチャー・オックスフォード」は中肉ぐらいのリブソックスから今日ぼくが履いているような厚手のブーツソックスまで、幅広くフィットすると思います。

もし池田さんがスタイリングに取り入れるなら、「ミルワン・ ブルーチャー・オックスフォード」はどんなコーディネイトに使いたいですか?

池田いわゆる正統派のスーツやドレス系のコーディネイトに使うなら、外羽根だしラバーが貼ってあったりと、ちょっとカジュアルなイメージが強くなる靴だと思います。ドレス系の靴ですが、むしろカジュアルなスタイリングを格上げするような足元として活用すると効果的だと思います。

なるほど。他に気に入ったポイントはありますか?

池田室内だと黒に見えるぐらいの濃いブラウンのアッパーもいいですね。黒とブラウンの2色展開だと、普通はもっと明るいブラウンを使いがちだと思うんです。それをあえて濃いブラウンを使うってのは、なかなかレアなケースだと思います。

確かにコーディネイトを選ばない色合いのアッパーだと思います。

池田アッパーの色合いもそうですし、三本ステッチやワイルドなコバのアウトステッチなど、純粋なドレスシューズと比べるとワークブーツっぽいつくりが残っている点も、いいバランスだと思います。見よう見まねの木型でつくられた安価の靴もありますけど、ああいうのとは面構えが違う。比べるとその差は歴然ですし、履いた時の高揚感がまったく違いますね。

現代的なカジュアルコーディネイトにも収まるアメリカンレザーシューズ。

コーデュロイのフィッシングジャケットにテーパードシルエットを残すように仕立て直したホワイトジーンズで、クリーンな色合わせを。「色味はアイビーの王道で仕立てつつ、オーバーサイズなアウターや膨らむようなシルエットのジーンズなど、シルエットでいまっぽいヒネりを加えています。こういうスタイリングにマッチする靴を探していたんですが、やっと見つかりました。レジン系のトップコートを施したレザーならではの硬質な輝き感もいまの気分です」と池田さん。

池田尚輝

1977年生まれ、長野県出身。雑誌や広告をはじめ幅広いフィールドで活躍する人気スタイリストで、『フイナム』や『フイナム アンプラグド』でもおなじみ。理論と感性を使い分けたストイックなスタイリングに定評がある。

ポストマンとミルワン・ブルーチャーどっちを選ぶ?

ともに〈レッド・ウィング〉のなかでも最もドレッシーな位置付けである「ポストマン・オックスフォード」と「ミルワン・ブルーチャー・オックスフォード」。この2足を、ラスト、ソール、素材の3種類の観点から因数分解してみよう。

POINT 01_LAST

アメリカ靴のぽってりとした丸みと、フォーマルさを両立する伝統のラスト。

左の「ポストマン・オックスフォード」では郵便配達員や警察官のサービスシューズ&ユニフォーム用として開発された210番ラストを使用。〈レッド・ウィング〉の中では最もスマートなラストとして知られています。右の「ミルワン・ ブルーチャー・オックスフォード」では米軍がオフィサーシューズ用に開発した「Mil-1ラスト」を採用。足指あたりの幅をしっかり取り、爪先を伸ばす事でスマートなシェイプに仕上げており、長時間履いても疲れにくく、万人に合うのが特徴のラストです。

POINT 02_OUTSOLE

ユニフォームウェアとして考え抜かれたソール構成。

左の「ポストマン・オックスフォード」はクッション性に富む柔らかなラバー製のフラットソールを採用。余計な足音を立てず、配達先の芝生を踏み荒らさないようにという配慮からフラットソールを採用しており、歩きやすさもお墨付き。右の「ミルワン・ ブルーチャー・オックスフォード」ではレザーソールにラバーの半張りを取り付け、反りの良さとグリップを両立。半張りは1920年代にレッド・ウィングが好んで使用したグロコード・メダリオン・ソールのパターンを再現しています。

POINT 03_LEATHER

ドレッシーな輝きとラフユースに耐える頑丈さを両立したレッド・ウィング独自の革。

左の「ポストマン・オックスフォード」は品のある光沢を持ち、雨にも強いブラック・シャパラル・レザーを採用。表面を研磨し、顔料と樹脂を塗ることで耐久性としなやかさを強化されている。右の「ミルワン・ブルーチャー・オックスフォード」はキメの細かい肌質が特徴のヘファーハイド(若い未経産の牝牛の革)を染色後、銀面にレジン系のトップコーティングを施したエスカイヤ・レザーを使用。ブラウン系のシガーは2色のコーティングをした後にバフ掛けでかすかな色ムラをもたせ深みを出す、ブラッシュオフ仕上げが施されています。

TPOを守りつつドレスダウンをおこないたい時に。

POSTMAN OXFORD ¥35,000+TAX

1954年にレッド・ウィング社が「ポリスマンとポストマンのために」として発売した「ポストマン・オックスフォード」。最大の特徴はヒールのないフラットソールで、ドレスシューズながらカジュアルな雰囲気を兼ね備えているところ。スニーカーの延長線上で履ける革靴を履きたい人やフォーマルなスタイリングにラフさをプラスしたい人にオススメです。

普段の着こなしをカジュアルアップしてくれる相棒。

MIL-1 BLUCHER OXFORD ¥46,000+TAX

1950年代の米軍が式典儀礼の際に着用していたサービスシューズ用の木型であるMIL-1ラストを使い、現代的にアップデイト。頑強にヒールを補強するTバックや、フルレザーライニングのアッパーなど、ワークブーツメーカーならではの武骨なドレスシューズに仕上がっています。オンタイムにスーツとコーディネイトするのはもちろん、カジュアルなスタイルにドレッシーさを加えたい時にも活躍してくれるはず。

レッド・ウィング・ジャパン

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