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FEATURE|電力、エネルギー問題から考えるこれからの社会。

電力、エネルギー問題から考えるこれからの社会。

北村信彦・高橋盾対談

電力、エネルギー問題から考えるこれからの社会。

「みんな電力」という電力小売サービスを知っているだろうか? 電力の生産者がわかり、そのストーリーを感じることができるという、世界でも稀有な“顔の見えるでんき”である。2016年4月の電力自由化以降、ファッション界の電力切り替えが進んでいる。いち早くこのサービスに共感したのが〈ヒステリックグラマー(HYSTERIC GLAMOUR)〉の北村信彦さんと〈アンダーカバー(UNDERCOVER)〉の高橋盾さんだ。電力の問題に意識的な二人に、この度話を聞く機会を得た。場所は群馬県桐生市のクラブ「Block」。お二人がDJ出演、北村さんにいたっては歌も唄う「赤ひげナイト Vol.4」のリハ直後である。このイベントの核である「赤ひげ団」は、高橋さんが小学生時代に仲間4人で立ち上げた政治結社で、北村さんはその最新メンバーであるという。今回、二人に聞いたテーマは“エネルギー”。前述した「みんな電力」の初めてのキャンペーンとして「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」から〈アンダーカバー〉、〈ノンネイティブ(nonnative)〉、〈バル(BAL)〉の特別商品が、スペシャルな価格で受注販売される。目に見えないエネルギーが、やはり目に見えないクリエイティブの根幹にあるものとどのようにリンクし、未来に繋がっていくのか。新しくも普遍的なこれからの社会について。

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北村信彦(以下、北村)エネルギーって言ったときに、電力みたいなエネルギーってなると難しいけど、人間的なエネルギーみたいなものは絶対に必要だよね。ジョニオなんかはパリコレみたいなものに、ものすごいエネルギーを使っていると思うし、自分だって洋服をつくるうえで、直接的ではなくても間接的に気に入っている音楽がないと思考が回らない。もともと音楽が好きで洋服をやっているようなものだからね。ライブを観ていつもパワーをもらってるけど、ジャンル的にはラウドなんで、裏では電力いっぱい使ってるんだろうなって思う(笑)。

高橋盾(以下、高橋)ファッションって結局は娯楽なので、エネルギーとか電力とは少し距離がある。だから自然エネルギーやソーラーパワーを洋服に活かそうとして、例えばパネルを背負ってみたりしても、それを直接ファッションに混ぜようとすると違和感が出てくる。でも原発の事故があって、それに対して「いやこれ本当にマズいよね」みたいなところから始まって、自分も会社の電力を切り替えたりしている。そもそも、自然のエネルギーを使った電力で、ノブさんが今言ったように音楽やファッションの動きをしているし、そういった意味で電力を自分たちで選べる、選択できるということが“今”なわけじゃない? そうしたら選択しなきゃならないし、そこに関しては自分も考えていかなきゃって。

今回のデザインはハートにアナーキーの「A」と思われるものがはめ込まれた、至極シンプルなものです。

UNDERCOVER

nonnative

BAL

高橋いわゆる無政府主義としてだけのアナーキーじゃなくて、エネルギーで原子力か自然なものを選ぶのかって言ったら、間違いなく自然の方なわけじゃない? そこを自分たちで考えて自由を得ていくということはパンクから教わったことだし、間違ったことに対して違うって主張するのもそう。そういうことの象徴としての「A」。あとは平和とかそういうものを示すうえでのハートで、政府をぶっ壊すとか過激なことじゃなくて、自分たちが自由で平和でいるためには、ということをデザインにした感覚だった。

さらにそこには「WIND POWER GENERATION」とありました。日本はソーラーが多いですが、世界では風力が主流です。その時代を生きるオレたち、ということかなと。

高橋そう。あれは別に風力発電だけということではなくて。 

北村次世代の動力の根源みたいなもので、もっと自然からのエネルギーについて考えていこう、ということだよね。

高橋日本ではああいう事故があって、いろいろな人の対応があるなかで、ウチらはそこを深く掘り下げるようなことはしてないけれど、かといって間違ってるということに関しては、完全にわかるわけで。

北村ツケがまわったって感じはする。だって江戸時代くらいには電力なんてなかったわけだから。それが幕末から明治になって、産業革命で最初にやったことは紡績でしょ。鉄道敷いて、電力引いて、織物をやると。生地をつくりはじめて、イギリスから機械を大量に買って、経済の発展にエネルギーが必要になってきて、大量生産、大量消費、高度成長期を経験するんだけど、やっぱりあの事故が起きて「あれ、このままでいいのかな」って、どこかで疑問に思ってる人はいっぱいいると思うんだ。そのなかからソーラーとか風の電気が出てきて、オレとしてはそこにちょっと、仏教的な発想が生まれているような気もするんだよね。それは自然界とか宇宙規模のことで、産業的なことやテクニックじゃなくて、思想のなかに太陽の力、風の力が強くなってきているというか。

年末にヴィヴィアン・ウェストウッドの自伝映画が公開されます。劇中で彼女が長い間、本気で環境運動をやってきたことを知って、興味深かったです。

北村これはパンクに限った話じゃなくて、パティ・スミスにしたって、必ずしも環境についてではなくても、何らかのかたちで社会問題に携わってるよね。なかには洋服とかアート作品で表現する人もいるだろうけど、自分のやり方はそうじゃない。だけど自分が洋服をつくったり、働いていくなかで、自分にとって重要な考え方ではあると思う。

パンクの系譜にはストレートエッジという考え方があって、それはもっと直接的に、自分たちの生活に反映させていく姿勢と理解しています。

高橋パンクとか、ハードコア、クラストとかも、そうなっていく人たちが結構多いよね。でもウチらはそれとも違うというか。そういう感じじゃないんだけど、そういう人たちがそうなっていくのもわかる。

北村カミさんとも話すんだけど、ウチの夫婦には子どもがいないから、将来的にこの国がどうなって、自然環境がどう変わっていくんだろうかみたいなことを気にする領域が、正直そこまでないわけ。だから自分たちが生きている間に何ができるんだろう、どういう風にしたらいいんだろうと。自分の場合、未来についてよりもルーツや先祖、亡くなった祖父母の供養とか墓参りという方に意識がいっているのは確か。お世話になっているお寺がたまたま真言密教で、その勉強をしていると自然とか宇宙のなかに自分たちが存在してるということを考えたり。だからって「自分はブッディストです」って気持ちはないんだけど(笑)。

これからどんどんスマホが進化していって、AIとかに頼る人たちもいっぱい出てくるだろうし、便利になっていくんだろうけど、一方で2000年くらい前に「こういう考え方があったんだ」ということを知ったり。それが空海が中国から持ってきた密教というものなんだけど、読んでみるとこっちの方が神秘的で面白いなって思えた。自分が歳をとってきたせいなのかわからないけど(笑)。

高橋たしかに歳もあるでしょうけど(笑)。でもそういう話を聞くと、そっちの方が面白いってなりますね。これからスマホみたいなものと付き合っていくことと、どっちかを選ぶんだとしたら、オレは昔の方を選ぶと思う。自然と共存するという方が絶対面白い。

北村曼荼羅とか仏像って、ようは目に見えないものを言葉もわからない、勉強もできない、学校に通えない人たちに、どう説明するかということでの表現なわけ。それでそこに、いろいろと精神論や知恵をつけたりしてきたんだけど、そっちの方が面白いんだよね。

高橋人間同士の意思疎通、「こう思ってた」「こう感じる」という、五感の持っていることが携帯に全部奪われて、必要なくなったり。でもそれって人間なの?という(笑)。

それこそ今日行われるイベントは、普段パリコレなどで発表されている大きな規模のクリエイティブと、ある意味で対局にありそうな楽しみにも見えました。

高橋でも、パリでやってることと、今日ここでやってることは同じ感覚なんだよね。パリでのことも、今日のことも、ノブさんと一緒にやるということも、商業的なことが目的じゃなくて、楽しむとかみんなでつくっていくとか、そういうことにしか興味がない。

北村原子力ビジネスにしたって、結局は人がつくるものだし、そこには誰かしらリーダーがいるわけで、そのなかには世界制覇を考えて「この業界で一番になりたい」みたいな人たちもいるわけよ。そうなると本当はこれくらいでいいものを、もっとマーケットを大きくしていって、より安くより多く、となっていく。そうしたことは才能がないとできないとは思うし、そこまでやったのをすごいなとも思うんだけど、本当にそこまでやる必要あったのかな?って。

高橋ない(笑)。

北村もっと、このなかだけで潤うやり方もあるんじゃないのかな?って。自分たちだって自分たちの国のなかで、フォローしてくれる人たちにつくったものを売ってお金をもらっているわけなんだけど、たまに「そこまで拡げるのってどうなの?」と疑問に思うんだよね。たぶんそうすることによっての犠牲者はいると思うんだ。

高橋何でそうしたいのか、果てしなくでかくしたいという欲求しか見えないというか。ウチらの場合は、自分たちが聴いてる音楽とか、そういうものから発想して面白いものを面白くつくって、それを売ったお金で次の面白いことをやるような規模感というか。それでも大きく見えるのかもしれないけど、自分たちがやっていくには、これぐらいのことでいいなって思う。それ以上にすると余計なことになるし、どこかで趣旨が変わってきちゃうと思ってる。

北村日本だって昭和の時代にTOYOTA、日産、東芝などが世界の一流企業と並ぶところまでこれたから日本経済が発展したわけだけど、今はファッションでいうと生産地は海外にあるわけで。今、一人あたりの生活ってものすごくキツいよね。それって何なんだろう?というか10年とか20年先の日本を考えたとき、世界と肩を並べられる企業ってなくなっちゃってるんじゃないかって。

どこかで方向性が変わってしまった。

高橋途中で趣旨が変わっちゃって、とにかく利益優先で「何のために?」がなくなって突っ走っちゃった。

突っ走った象徴としての福島の事故だったのかもしれません。

高橋それでいて最終的な始末の方法は誰も知らないというね。だからエネルギーとファッションを結びつけるというよりも、あくまで自分たちの表現したいこととしての洋服だから、それを自分たちにとってちょうどいいようにつくったり分け合ったりするように、そういうことがエネルギーでもできるんだとしたら、実際に選べるようになったというのは、いいことだよね。ストレートエッジみたいに究極にいっちゃうと、それはそれでいいんだけど、ウチらはプラス自分のやりたいこともあって、もしかするとあの価値観だと、それすらも「いらない」とかになっちゃうかもしれないから(笑)。

でも、自分たちが何かを生み出すときに、そこで使う電力を選択できるんだったら「それはそうだよね」って。今まではそれさえなかったし、知りもしなかったことだったわけで。だからこそ今日の集まりって、小さい頃に友達同士で集まって何かをつくっていくような、当時考えてたことと変わらないというか。今の社会にはそういうことが損なわれているというか、そもそも今の主流にはそういう考えが毛頭ないだろうから、その時点でダメ。

最近お2人でDJをやったりしていますが、動いている経緯や理由を、ノブさんは「ただやってるだけなんだよね」と。

高橋自然なんだよね。

北村そこに人が集まってきて、同じ時間を費やして。

高橋来年でノブさんがヒスを35年、オレが30年やってるわけで、いろいろ失敗して、経営もよくわからないのにやり続けられてるのって、自然にやれてるからだと思うのね。もちろん欲もあるけれども、それが最終的に金とかじゃなくて。

北村昨日も原宿の店で写真集『CUTS』のパーティをしたんだけど、30年以上の付き合いがあるイギリスの友達たちがみんなもう50代後半や60代になってきてる。彼らの子どもたちも30代とかで、ロンドンで活躍してるカメラマンになったりしてて。自分たちが若い頃は上の世代に中指立てて、「オレたちの時代だから」みたいな感覚だったのが、ここ何度かロンドンに行ってると、すごくうまく親の世代の感覚が下の世代に引き継がれているのを感じる。

高橋東京もそうですよ。若い子たちと会ってると「あ、心配ないな」って思ったりもする。繋がってるし。

北村それで業界の話としては、「本、売れなくなってきた」「もう雑誌はダメだ」という風に考えちゃってる人たちも多いんだけど、インターネットは確かに便利でこれからも発展はしていくと思うけど、「それと本は違うでしょう?」って。

本そのものが持つ力は、やっぱりネットとも違う。

高橋今、20代とか若い世代はまた、アナログ的なものに戻ってるじゃないですか。そういうものが好きだし、見たり触れたりしながら「やっぱ、すげえ」とか。

北村「昔は何万部売ってました」みたいなこととは違うかもしれないけど、本当にいいモノは500部つくって一冊1万円そこそこしたって、ちゃんと伝わるんだよ。実際に数日間でソールドアウトしてるわけで。

高橋いいモノがいいって変わらないのはいつの時代も一緒だし、いいモノに気づいたり好きなのって、最初は常に少数派なんだよね。

北村その本は、何かの資料としてだったり、アイデアの要素として一人歩きしていくわけだし、無名でもその時代を生きたアーティストの紹介にもなってて、そうなるとそれはそこでまわってる気がするんだ。

カルチャーの世界における循環が成立している。

北村今日みたいに東京から桐生に来て、ジョニオの昔からの仲間たちと一晩を過ごして、それもただ遊んでるんじゃなくて、みんなで音を奏でて、そういう創作がそこにあって。

高橋今日は、わざわざ東京から20代のチームも来るの。みんな「こんな田舎でこういうことがある」ということが、新鮮で楽しいみたいで。オレたちの小中学生時代にも、こういうことに反応するのってすごい少数だったじゃない? 大半は思考停止で流されるだけだったりして。それが今、国レベルで増えてきている感じがするんだよね。敏感な人たちはいつも少数派だけど確かにいる。今は過度期にきている気がするよね。

分散化ということがメディア、エネルギーの世界で起きつつあり、それはその先で銀行や政治の世界でも起きるとして、それがいち早く、やっぱりカルチャーの世界から実現していると言いますか。

北村今はSNSでの何万いいね!とかで判断されがちだけど、でもその何万人の「いいね!」はどういう質のものなのか。逆に500人しかフォロワーがいないんだけど、その500人が実はすごく濃厚で、本当はそっちの方がコアな情報なんじゃないの?って。

高橋自分たちが影響を受けてきたのって、そういうものですよね。いろいろな映画とか、(内田)裕也さんとか(松田)優作さんとかの影響を小学校から受けてきて、当時からすごい少数だったのが、それを自分が成長してパリでやってるときにちょっと匂わせるのがやっぱり面白いわけで(笑)。

北村いつも「この情報知らねえだろう」くらいな感覚がよかったりするしね。

高橋常に自分で何がしたいのか、どう生きたいのか考えてるのって、少数なんだよね。でも、結局はそういうやつらがいろいろ動かしている。だから、電力とかを選択していくのだって、そういうものの一環だよね。

北村ちょっと前に比べて、可能性は生まれてきてる。そこに次世代の若い子たちがどう絡んでいくかも、楽しみだよね。

ZOZOTOWN特設ウェブページ FASHION x ENERGY powered by みんな電力(商品のご購入はこちら)

みんな電力特設ウェブページ FASHION x ENERGY powered by みんな電力(エネルギーの乗り換えはこちら)

minden.co.jp/personal/ZOZO

※今回制作された商品をプレゼントいたします。諸条件は以下の通り。

■プレゼントの品
各ブランドLサイズを3名ずつ(抽選で合計9名様、白黒ある商品は白色となります)

■応募条件
11月30日(金)~12月25日(火)に、みんな電力にお申込みをしてくださった方

■応募方法
みんな電力のウェブサイトからお申し込みください。その際、申し込みフォームの備考欄の「紹介者名」に「フイナム読者プレゼント 、ご希望の商品名(BAL, nonnative, UNDERCOVER)」(例:フイナム読者プレゼント、BAL)とご記入ください。
※ご記入がないとプレゼントの対象外となります。
※ご希望の商品名をご記入頂かなかった場合、こちらでセレクトさせて頂きますので、ご了承くださいませ。

■当選とプレゼントの発送について
応募期間終了後、電力切替のお申込みをいただいたなかから厳選に抽選をさせていただき、9名様にプレゼントをお送りいたします。(切替手続き時にご登録頂いた住所宛にお送りします)。当選者の発表は発送をもって代えさせて頂きますので、あらかじめご了承ください。プレゼントの発送は2019年3月中旬から下旬を予定しております。発送のタイミングが前後する場合もございますので、あらかじめご了承ください。

■注意事項
当選権利の譲渡、換金、売買はできません。

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