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FEATURE|コム デ ギャルソンがリスペクトした幹田卓司とは?

コム デ ギャルソンがリスペクトした幹田卓司とは?

COMME des GARÇONS × WOLF’S HEAD

コム デ ギャルソンがリスペクトした幹田卓司とは?

〈コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)〉のアーカイブやデザイナー、川久保玲が愛してやまないアーティストの作品が展示・販売される、まさに美術館のような「トレーディング ミュージアム・コム デ ギャルソン」に18年ぶりとなる出来事が起こっている。2000-01年秋冬コレクション以来となる〈コム デ ギャルソン・オム プリュス〉×〈ウルフズヘッド(WOLF’S HEAD)〉のコラボレーションがそれだ。11月にリリースされるなり、話題を集めているという。会期は2019年1月5日まで。

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幹田卓司

1969年、東京都文京区千駄木生まれ。夜間学校在校中に大久保通りにあった伝説のヴィンテージショップ「ギャラクシーロケット」でアルバイトを始め、古着の世界に開眼。1991年、「ダウンタウンロッカーズマート」をオープン(現在は1996年オープンの「ウルフズヘッド」のみ)。“ヴィンテージを超越したオリジナルのスタッズベルトをつくりたい” と1995年にスタッズ製作を本格始動した。

アーカイブを含む10のアイテムをカスタム。

天井が高く、白を基調とした迷路のような店内。無数に乱立するセミクローズドの円柱型のオブジェにコレクションやアーカイブが並ぶ。タイムレスでインディペンデント──そんなコンセプトで徹底して吟味し、ひとつふたつと商品を取り揃えてきた「トレーディング ミュージアム・コム デ ギャルソン」が平成最後の年に白羽の矢を立てたのは幹田卓司が手がける〈ウルフズヘッド〉だった。

1991年に生まれ育った千駄木にレザーを中心としたヴィンテージショップ「ダウンタウンロッカーズマート」、1996年に「ウルフズヘッド」をオープン。新たにスタッズワークをメニューに加えた幹田はいつしかその世界のカリスマと呼ばれる存在になった。

〈コム デ ギャルソン〉からのオファーを受けた幹田はアーカイブから選び抜かれたジャケット、巻きスカート、キャスケットなど10点にスタッズを施し、さらにナロウなスタッズベルト4パターンを完成させた。

〈コム デ ギャルソン〉の担当者は18年の時を経て、まさか再びコラボレーションが実現するなんて思わなかったとおっしゃっていました。

幹田卓司(以下、幹田)確かにこれまでコラボしてきたブランドは多くはないけれど、むやみにやろうとは思わないし、面白そうでなければやろうと思わないだけです。

〈コム デ ギャルソン〉との付き合いは。

幹田〈ヘッド・ポーター〉とのコラボも振っていただいたカツさん(吉田克幸〈ポータークラシック〉会長)の紹介でした。2000年のパリコレ用と店舗での販売用に8種類、スタッズベルトをつくりました。

豪速球をキャッチする快感。

今回が2回目のコラボ、というわけですね。つまり、幹田さんにとって面白いブランドってことですね。

幹田川久保さんはやっぱりものすごい人だなあと思います。天性の動物的な勘のようなものにはドキッとさせられます。そして常に戦っている感じと、楽しんでいるんだろうなという感じが伝わってきます。

記憶を辿ったら高1の頃、その当時DCブームで友人に付き合って行ったセールで、初めて買ったブランドもののジャケットが〈コム デ ギャルソン〉でした。さすがにそのときのジャケットは残っていないけれど、実は古着だらけのワードローブの中にいまも2着、現役の〈コム デ ギャルソン〉を持っています。自分の人生で唯一所有しているハイブランドなんです。

幹田さんが古着以外を着ている姿なんて想像つきません。

幹田スタイリストの大久保(篤志)さんのスタイリングで、〈コム デ ギャルソン〉を着用してモデルとして雑誌に参加したことがありました。そのときに着用した黒ピン(ク)のジャケットは、あれカッコ良かったなと気になってその後購入しました。

で、今回はどのような流れだったんですか。

幹田当初は「トレーディング ミュージアム(・コム デ ギャルソン)」にある1つのショーケースを、〈ウルフズヘッド〉のプライベートストックのケースのように作品を詰め込んでいっぱいにして欲しいという話から始まりました。ただ、〈ウルフズヘッド〉のものをそのまま移して見せるのも違うなと思っていましたし、その場所だからできる何か新しいことがあるはずだと考えていました。その後、〈コム デ ギャルソン〉側といろいろ話し合った結果、〈コム デ ギャルソン〉の過去のコレクションをスタッズでカスタムをするということになりました。

限られたお客さんしか入れないという「プライベート・ストック・ルーム」の陳列ですね。

幹田そうです。ところが、今回、展示開始日の1週間前に突然、円柱(トレーディング ミュージアム・コム デ ギャルソンを象徴する陳列ブース)のスペースで展示したほうが面白いのではと、川久保さんにいきなり豪速球を投げられました(笑)。

1週間前!

幹田まずは雰囲気をつかむために現場を見に行きました。その空間に身を置いて、その球をなんとかキャッチしたいと思ったんです。カスタムした服はトルソーに着せることで活きるし、服にビニールを掛けたままの状態で見せてもいいんじゃないかという思いも、この方が活きるなとだんだん空間の使いかたが見えてきました。結果、神経を集中させてなんとかキャッチすると、それがとてつもない球だったんだとしみじみ感じることができました。

縦横に張られた、見る人を拒むようなチェーン。これが作品と密接に絡み合ってとてもいい味を出しています。

幹田チェーンは昔から好きで海外行くたびに重たくてもつい買っちゃうアイテムです。チェーンって国や年代によって形状も重量もいろいろあるんです。見ていると飽きないですよ。手前のチェーンは実家のガレージで使っていたものですけどね(笑)。

川久保玲が納得したほとんど初めてのカスタム。

今回作成された作品がまた、圧巻。静謐ささえ漂う芸術的な佇まいがあります。

幹田実際に袖を通しながら、ジャケット一つひとつ考えうる最高のスタッズワークを追いかけました。ベルトはカスタムしたものとのバランスを念頭に置いてデザインしています。

川久保さんが自らデザインしたコレクションに他の人が手を加えるのは前代未聞と聞きました。

幹田例えば、大きなラウンド・スタッズが連なるデザイン。あれは初めてコラボした後に〈コム デ ギャルソン〉の田中蕾常務から「淫靡をテーマにしたらどうなるか。その答えをいつか見てみたい」と言われたことが強く印象に残っていて、それをその当時から発展させた、いまの自分なりの解釈でかたちにしたものです。〈コム デ ギャルソン〉の世界観にも寄り添えるように。それはワクワクするような、楽しい作業でした。

スタッズ一個一個がまた、素晴らしいです。

幹田うちのスタッズはアメリカで製作したものを日本で仕上げています。アメリカのスタッズはメッキの質が悪い。だからメッキは日本でやっています。大量生産のガラメッキではなくて、一つひとつ吊るしで加工しています。

最後にこの世界を志すきっかけを教えてください。

幹田80年代、大久保通りにあったいまは無き「ギャラクシーロケット」が原点です。知っている人は少ないと思うけど、アメリカの古着や家具を扱うケタ違いの規模の店でした。高校時代にそこでバイトして、たくさん学ばせていただきました。その後、地元千駄木に看板を掲げてかれこれ四半世紀以上が経ちました。

そのたぐい稀な感性は元来備えていたものに思えてなりません。

幹田子供の頃から勉強を含め、やりたくないことは一切と言っていい程やらずに好きなことだけで生きてこられたのは大きいと思います。親父はデザインの仕事をしていて、ぼくも絵を描くことやものをつくることが大好きだったので、多少はそういう血もあるかもしれませんね。

〈コム デ ギャルソン〉のアーカイブコレクションにピースマークやスカル、リップといったオリジナリティあふれるスタッズワークが展開された。店名に冠したミュージアムの名に相応しい、アートピースだ。ジャケット ¥360,000+TAX〜¥560,000+TAX、巻きスカート ¥300,000+TAX〜¥420,000+TAX、キャスケット ¥235,000+TAX〜¥250,000+TAX

〈コム デ ギャルソン・オム プリュス〉に合う細身のベルトを、というオーダーを受けて完成させた20㎜幅の〈コム デ ギャルソン〉スペシャル。スタッズのパーツ&デザインをジャケットにリンクさせているのが特徴。U.K.レザーのマスキュリンな手触りに負けないスタッズワークだ。¥76,000+TAX〜¥82,000+TAX

WOLF’S HEAD at TRADING MUSEUM COMME des GARÇONS

期間:〜2019年1月5日(土)
会場:トレーディング ミュージアム・コム デ ギャルソン
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 2階
電話:03-3486-8590
Mail:tmc-cdg@comme-des-garcons.co.jp
Instagram:trading_museum

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