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東京とニューヨークを架けるモダンでストリートなコラボレーション。

Curtis Kulig=LOVE ME × BEDWIN & THE HEART BREAKERS

東京とニューヨークを架けるモダンでストリートなコラボレーション。

“LOVE ME”のアイコンで世界的にお馴染み、ニューヨークを拠点に活躍するアーティストのカーティス・クリグが、〈ベドウィン・アンド・ザ・ハートブレイカーズ(BEDWIN & THE HEART BREAKERS)〉とコラボレーションを果たし、この冬に2部構成でリリース。第1弾となる「CURTIS & THE HEARTBREAKERS」では、スーツをメインにハイカジュアルファッションを、第2弾ではアイコン“LOVE ME”を使用したストリートカジュアルを展開します。東京、ニューヨークと、洗練された都会の街から生まれたコレクションについて、最近のアート活動の話を交え、来日を果たしたカーティスに聞いてみました。

  • Photo:Ko Tsuchiya
  • Text:Kana Yoshioka
  • Edit:Jun Nakada
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クラシカルからストリートまで、ハイ&ローを極める。

素晴らしいコレクションのリリース、おめでとうございます。ツイードとベロアのセットアップが素敵ですね。

Curtis Kulig(以下、カーティス)ベロアはとくに自分らしいね。ツイードもだけど、ベロアは個人的に好きな生地なんだよ。真っ赤っていうのもいいでしょ!

〈ベドウィン〉の渡辺真史氏とはどのような話をしながら、デザインを進行していったのですか?

カーティスべべタン(渡辺真史氏)とは、かれこれ10年くらいの付き合いになるかな。ここ数年は、友達としても仲良くさせてもらっている。以前、〈ベドウィン〉のオフィスを訪ねたときに、僕が描いたものを置いていったことがあったんだけど、ニューヨークへ戻って3年してから、べべタンからそれを〈ベドウィン〉で使わせてもらえないかと連絡があって、即答でOKして。そこから深い交流が始まった。Tシャツやスウェットと最初はカジュアルなものから始まり、スーツなどのクラシックなものまでハイ&ローな服作りをしてきた。べべタンは東京、僕はニューヨークにいるから、お互いのアイデアを送り合って、今回も各々の良いところをまとめた感じだね。とてもやりやすかったし、僕たちは良いコンビなのではないかと思うよ。

VELORE JACKET ¥58,320

VELORE PANTS ¥32,400

TWEED JKT ¥65,880

TWEED VEST ¥32,400

TWEED PANTS ¥39,960

渡辺さんとは何がきっかけで知り合ったんですか?

カーティスニューヨークで、フォトグラファーのシェイディに紹介されて知り合ったんだ。初めて彼に出会ったとき、とても洗練された人だなと思った。ブランドもそうだし、べべタンはクラシックな部分をキープしつつ、洗練されたものを毎回押し続けながら、新しいものを打ち出しているところがすごいね。

来年1月にリリースされる第2弾「ラブ・ミー× ベドウィン & ザ・ハートブレイカーズ シリーズ(LOVE ME x BEDWIN & THE HEARTBREAKERS Series)」コレクションですが、“LOVE ME”やフォト、アート作品をふんだんに使用していますね。サイドにプリントの入ったパンツも素敵です。

カーティスパンツは〈ディッキーズ(Dickie’s)〉とコラボレーションしたもの。生地が強いから、僕自身も普段からよく穿いているんだ。Tシャツにプリントされている“LOVE ME”ってキャンディを持っている女性は、ロビン・バードという70年代の有名なポルノスターの写真。ドアから覗いている男性は、ルーといってダウンタウンのちょっとした重要人物で、今は70歳くらいなんだけど、ダウンタウンニューヨークで育って、エリザベスストリートにずっと住んでいる生粋のニューヨーカーだね。僕は彼と同じコーヒーショップにいつも通っていたんだけど、ある時「君は誰だい?」って話しかけられて、それから仲良くなった。このTシャツように僕が撮影したんだけど、出来上がったTシャツを渡したら、ものすごく喜んでくれたよ。

DICKIES ¥21,600

SS TEE lady ¥7,020

SS TEE hello ¥7,020

LS TEE target ¥8,640

ターゲットのプリントもいいですね。

カーティスターゲットは、この15年間、毎月描いているシリーズ作品で、Tシャツの写真にあるようなペインティングを始めてからは、3年と11ヵ月経ったかな。ターゲットのアイデアソースは、パンクシーンにでてくるあのターゲットなんだけど、毎月の僕の感情的な部分を表現しているんだ。特にそれぞれの目に託している。もう15年やっているから、180個のターゲットがあるよ。

カーティス自身、普段はどのようなファッションを好んで着ていますか?

カーティス〈リーバイス(Levi’s®)〉のブラックデニムにTシャツ、それにテニスシューズかローファーを合わせてる。すごくシンプルだよ。ローファーはフランス製の〈ジェイ エム ウエストン(J.M. WESTON)〉が好きで履いているんだけど、僕にとってはベストなローファーだね。冬はセーターにジャケット、それとスカーフを巻いている。

最近のアート活動を教えてください。

カーティス今もニューヨークを拠点に活動していているんだけど、2年前にマンハッタンのラファイエットとケンマレストリート……ソーホーのド真ん中にスタジオを越したんだ。以前あったスタジオが、自分の今のスタジオから見える距離にね。

ニューヨークにいるアーティストは、ブルックリンにスタジオを構えている人が多いですが、こだわりがあるからこそ、マンハッタンにスタジオを構えているんですか?

カーティス僕は自分が歩いていける距離にいろいろなものがないとダメなんだよ。マンハッタンはとにかく物価が高いし、住むのには大変な場所。新しくアーティストがニューヨークへやって来ても、住む場所を探すこともできないし、スタジオをダウンタウンのエリアに構えることはかなり難しいことなんだ。アーティストの多くは、同じ値段でもブルックリンの方が広いスペースを借りることができるから移っていったね。だけど、もう長いことこのエリアにいる僕にとっては、このコミュティがとても大切なんだ。スタジオがあるエリア(ソーホーからローワーイーストサイド)は、ニューヨークの中でも別格なエネルギーを持った場所だから、これまでも自分に多大な影響を与えてくれた。今でも、もっとやらないと! という気持ちにさせてくれる場所なんだ。

2018年は、どんなことに興味を持っていましたか?

カーティス今年は、人の身体の動きに興味を持った。なかでもボクサーの動きに興味深くて、その絵を描いたものを今年の11月に「PRIZE by Curtis Kulig」というタイトルで、ニューヨークの〈アニエスベー(agnès b)〉のギャラリーで、約1ヵ月間アートショーをやったんだ。ボクサーのドローイングとスカルプチャーを制作して展示したんだけど、会場では大きなオイルペインティングの前で、映像を流したりもした。そのタイミングで同じ名前の作品集をパシフィック出版から出しているよ。

何故、身体の動きでボクシングを選んだのですか?

カーティス僕自身ヨガをやっているんだけど、ヨガは体をオープンにする動きが多いの対して、ボクシングはその逆で、体を内側へグッとかがめるんだ。その動きの違いを感じたのと、あとはボクサーの体のプロポーションにこの数年魅了されている。今回僕が描きたかったのは、誰かがパンチした後の、崩れ落ちるまで間を描きたかったんだ。お前は倒れたいのか、それとも起き上がりたいのかっていう状態のときを。すべてのドローイングが立っているものではなく、ギリギリ倒れる寸前の、完全にグラウンドに倒れこんでいないものばかりを描いたんだ。目で見ると、とても早い動きの中の一瞬なんだけど。ちなみに僕の父の弟がボクサーで、彼は僕の人生の扉を開いてくれた人。若い頃すごく影響を受けたね。

これまで、人物を全面にプッシュした作品をあまり観たことがなかったですが、今回は人だったんですね。

カーティス人の動きが放つ感情を伝えたくてね。僕は、自分のモチベーションを上げるために絵を描くことに意味があると思っているんだ。

普段は、どんなものにインスピレーションを受けていますか?

カーティス人、ニューヨークという街、旅、本を読むこと、映画を観ること。自分の人生は、常に何かしらに影響を受けているよ。

ここ最近のアートシーンについてどう思いますか?

カーティステクノロジーの進化が、何かしらアーティストや、人々の感覚を変えているような感じはする。世の中の自然な進化の流れに対するアートという存在。良いか悪いかは別として、エキサイティングな時期に来ていることは確かだと思うよ。

今後の予定を教えてください。

カーティスこれからニューヨークへ戻って、クリスマスはニューヨークで過ごして、新年はジャマイカのモンティゴベイとネグリルで休暇を取る予定。休暇が終わったら、コマーシャル系の仕事をやりつつ、平行して夏の展示に向けて作品を制作し始める予定だよ。でも、今は休暇のことで頭がいっぱいだね(笑)

From Masafumi Watanabe(THE BEDWIN & THE HEARTBREAKRES)

カーティスに出会ったきっかけを教えてください。

渡辺ニューヨークにシェイディーというカメラマンがいるんですけど、彼女はユースを大事にしていて、同じコミュニティにいる若い子たちをフックアップしていくような人だったんですね。それで、若くて面白いグラフィティの奴がいるからと紹介されたのがカーティスだったんです。カーティスは昔、マンハッタンの〈シュプリーム(Supreme)〉の店の近くにある「ラ・エスキーナ(La Esquina)」という人気メキシコ料理屋のドアマンをやっていたこともあって。当時、僕は訓ちゃん(野村訓市)とニューヨークへ行って、〈ベドウィン〉の撮影をしていた頃に彼と知り合ったんですけど、たまたま彼が5年前に東京へ遊びに来たときに、事務所へ落書きをしていったんですよ。それを使ってもいいかと後で聞いたら、二つ返事でいいよと。そこからカーティスは、とても面白い感覚を持っているから、アートだけでなく、服のディレクションをやってもらったらどうかなという話になり、コラボレーションシリーズが始まりました。

第1弾「CURTIS & THE HEARTBREAKERS」でリリースされた、真っ赤なベロアのスーツは本当に素敵です。

渡辺ベルベットの感じが、カーティスにすごく似合いますね。彼が夏にこのスーツ着てサンダル履いて歩いていたらかっこよさそうだなって。なんせ彼の世界観の中でできあがったものだから、売ってやろうとか狙って制作しているものではない。流行りではなく、いくつになっても着ることができるスーツだと思いますし、そのうちベルベットがボロボロになってきても、それはそれで味がでてきていいのかなと思ったりもします。このシリーズで、ニューヨークのチェルシーホテルや、ラファイエットホテルのようなクラシカルなホテルで撮影をしたんですけど、カーティス自身のアーティストとしてサバイブしている感じを出せたかなと思っています。写真はフォトグラファーのマリオ・ソレンティの妹で、ヴァニナ・ソレンティという子がいるんですけど、彼女にカーティスのスタジオの若い人たちを使って撮ってもらいました。うちのSNSでも見ることができますよ。

リリースを、第1弾、第2弾の二部に分けたのはなぜですか?

渡辺僕たちは〈ベドウィン〉でTシャツからスーツまで作るし、カーティスもアート作品として、グラフィティからクラシカルなペインティングまで描く。お互いそういった共通点がある中で、最初はベルベッドのスーツや、〈シャネル(CHANEL)〉も使っている生地メーカーのテキスタイルで作ったスーツとか、タイだけだったんですけど、服を作っていく過程の中で、彼のアイコニックな部分を起用した服も作った方がいいんじゃないかとなったんです。カジュアルな第二弾の方は、潔くて、生っぽい感じのするグラフィティとしての持ち味のあるアイテムになったと思います。こういうとき、ブランド側は小刻みでデザインを考えたりしがちなんですけど、彼の場合は「バーンとやっちゃった方がいいでしょう!」って感じなんで、そこは僕も面白かったですね。

The Heartbreakers

住所:東京都渋谷区神宮前2-22-1 1F
電話:03-6447-0361
bedwintokyo.com

第1弾「CURTIS & THE HEARTBREAKERS」発売中
第2弾「LOVE ME x BEDWIN & THE HEARTBREAKERS Series」来年1月中旬発売

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