CLOSE
なぜ最近のサロモンはイケてるのか? フランスの本社でその理由を確かめてきた。

SALOMON HQ in Annecy, France

なぜ最近のサロモンはイケてるのか? フランスの本社でその理由を確かめてきた。

スキーやトレイルランニングといったアウトドアアクティビティの分野で圧倒的な存在感を放つ〈サロモン(SALOMON)〉。近年はファッションブランドやセレクトショップと積極的にコラボレーションを行い、感度の高いファッションピープルからも急速に注目を集めています。なぜ最近の〈サロモン〉はイケてるのか? その理由を確かめるため、同社の創業の地であり現在も本社や開発拠点を置くフランスのアヌシーを訪れました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

業界トップクラスの優れた機能を持つ製品群は、ここから生まれる。

ここはフランス南東部の街、アヌシー。世界最高峰のトレイルランニングレース「UTMB」が開催されるシャモニーからクルマで約1時間半、世界屈指の透明度を誇るアヌシー湖を擁し、周囲を山々に囲まれた美しい街です。

〈サロモン〉の開発拠点である「アヌシー・デザインセンター」は街の中心部から5キロほどの場所にあります。

「アヌシー・デザインセンター」では〈サロモン〉のアウトドア、ランニング、スキー用品のほか、自転車の〈マビック(MAVIC)〉など同じグループの製品開発も行われています。

きっかけは、セレクトショップからのアプローチ。

まずはフットウェアのデザイナーに話を聞くことに。無地のTシャツをサラッと着こなす洒落者たちです。

左:サロモン フットウェアデザイナー ベンジャミン・グレネット、右:サロモン ライフスタイル デザインマネージャー ライアン・ラモン

最近の〈サロモン〉はアウトドアのみならずファッションシーンにおいても急速にプレゼンスを高めています。何か理由があるのでしょうか?

ライアン最初のきっかけは、パリのセレクトショップ『ブロークンアーム』とのコラボレーションでしょうか。そこのスタッフが私たちに直接コンタクトを取ってきたのです。「うちのお店に来た女性のお客さんが履いていたシューズがとてもかっこよくて、『そのシューズはなんだ!?』と聞いたら、〈サロモン〉のスノークロスというモデルで。〈サロモン〉にこんなにかっこいいシューズがあるのか! と驚いた。ぜひうちといっしょに何かやらないか?」と。そして『ブロークンアーム』とタッグを組み、500足限定でコラボレーションシューズを製作したところ、私たちの想像を超える大きな反響がありました。2015年のことです。

もともとはセレクトショップからのアプローチだったんですね。

ライアン私たちには30年にわたって高品質なシューズを手掛けてきたノウハウがある。そして『ブロークンアーム』にはファッションにおける卓越したセンスと先見性がある。それらが融合することで、これまでにないユニークなプロダクトが生まれました。

ベンジャミン〈サロモン〉のシューズは、機能性をとことん追求してつくった、アウトドア業界でもトップレベルのプロダクト。私たちにはその自負があります。そして、それがファッションとして受け入れられたことは、私たちにとって非常に新鮮なことでした。アウトドアのスタイルをファッションに取り入れることは、日本ではすっかり当たり前になっていると聞きますが、ここヨーロッパでは比較的新しいトレンドです。

〈サロモン〉は2018年秋冬に〈タカヒロミヤシタザソロイスト.〉ともコラボレーションを展開していますよね。

ライアンはい。『ブロークンアーム』と同様、先方からコンタクトを受けました。そのときの〈タカヒロミヤシタザソロイスト.〉のコレクションのテーマである「The Day The World Went Away」にプロテクション性能の高い〈サロモン〉のシューズがハマったと。それも私たちにとっては新鮮なこととして受け止められました。

2018年秋冬にリリースされた、〈サロモン〉と〈タカヒロミヤシタザソロイスト.〉のコラボレーションモデル。ベースのモデルは〈サロモン〉のトップレンジである「S/LAB.」のアルパインランニングシューズ。

ファッションでも、ライフスタイルでも、機能に妥協なし。

2018年秋冬から始まった〈サロモン・アドヴァンスド(SALOMON ADVANCED)〉について教えてください。

2018年8月にリリースされた、〈サロモン・アドヴァンスド〉第一弾。

ライアン〈サロモン・アドヴァンスド〉はファッションに特化したスペシャルなラインです。アパレルとの親和性を意図したカラーアレンジを施していますが、ベースのシューズはパフォーマンスモデルとまったくいっしょです。ライフスタイルシューズだからといって機能を削ぎ落とすようなことは、私たちはしません。単にファッション性のみを重視し、機能を削ぎ落としたようなものをつくってしまっては、ブランドの価値を損なうことになりかねませんから。

2018年9月にリリースされた、『ブロークンアーム』とのコラボレーションシューズ。

〈サロモン〉のシューズは近年、ファッションやライフスタイルの分野において急速に存在感を高めていますが、今後はいわゆる“スニーカー”のマーケットへの進出を目論んでいるのでしょうか?

ベンジャミンそれはすこし違います。私たちはいわゆるスニーカーのマーケットに切り込もうと考えているわけではありません。ファッションやライフスタイル分野に進出しているスポーツブランドやアウトドアブランドはたくさんありますが、〈サロモン〉はあくまでもアスリートのためのパフォーマンスを追求したアウトドア用品ブランドというところが軸としてあり、そこにアーバンな要素やファッションのエッセンスを取り入れている。そこがユニークかなと思います。

ライアン結果としてスニーカーマーケットで受け入れられたとしても、機能性は一切妥協しない。そこが〈サロモン〉の独自性だと思いますし、それによって新しいマーケットを切り拓いていきたいと考えています。

2019年1月にリリースされた、アイウエアブランド〈ディストリクト ビジョン〉とのコラボレーションシューズ。

究極のカスタマイズサービス「S/LAB ME:sh」とは?

続いて訪れたのは、「アヌシー・デザインセンター」の一角にある「ADC ME:sh UNIT」。ここは〈サロモン〉のランニングシューズのカスタムオーダーサービス「S/LAB ME:sh(エスラブ メッシュ)」のショールーム的な役割を備えているとともに、オーダーを受けたシューズを製造するファクトリーも併設されています。

「S/LAB ME:sh」は7年間の開発期間を経て2017年よりスタート。足長や足幅などを計測したうえで、走り方のクセや用途などを専任のスタッフがカウンセリング。無数に用意されたアッパーやソールなどのパーツから好みの組み合わせを選び、自分にぴったりの一足がつくれるという、ランナーにとっては夢のようなサービスです。しかし、残念ながら現時点ではフランス国内のみの展開。グローバルでのサービススタートが待ち遠しい!

トレイルランニング界のスーパースターであり〈サロモン〉の契約アスリートであるキリアン・ジョルネ選手も「S/LAB ME:sh」の開発段階からこのプロジェクトに携わり、そのプロトタイプを着用してレースで優勝するなど輝かしい戦績を残しています。

こちらはそのキリアン・ジョルネ選手が実際に着用したサイン入りシューズです。

そんな「S/LAB ME:sh」を、フイナム副編集長の山本博史が体験してみました。

まずは足型の測定から。専用の器具を用い、足長、足幅、足囲、かかと幅などを丹念に測っていきます。

続いて、専任のスタッフによるカウンセリング。主な用途は? 走る距離は? 重視するのはクッション性? 通気性? 軽量性? などなど、非常に多岐に渡る項目をスタッフと相談しながら、ひとつひとつタブレットで選択していく。それらの回答をもとに、〈サロモン〉による独自のアルゴリズムを加えて、適切なソールの構成を決定します。

最後に色の選択。アッパーのほか、ソール、シューレース、アイレットステイなど、好みの組み合わせを選んでいきます。

そして足型の違いによって無数に用意されたサンプルのなかから自分の足型に近いものを選び、実際に足を通して着用感を試して、完成となります。

以上でカスタマイズは終了となり、オーダーしたシューズは3週間ほどで指定の場所に届けられます。

今回初めて「S/LAB ME:sh」を体験した山本は、その魅力を次のように語ります。

「シューズのカスタマイズサービスは他にもありますが、『S/LAB ME:sh』のすごいところは、単に色を変えたりパーソナルIDを入れられたりするだけでなく、その人の足型、走り方、用途などに応じて最適な一足がつくれるということ。それって一般のランナーがなかなか体験できることではないですよね。“アスリートファースト”を至上とする〈サロモン〉らしいサービスだと思いますし、日本での展開が待ち遠しい限りです」

圧倒的なパフォーマンス性能の高さでトップアスリートの活躍を支えながら、そこで培われた技術や経験を一般ランナー向けへと落とし込みつつ、〈サロモン・アドヴァンスド〉のようなスタイリッシュなコレクションでファッション玄人をも魅了する。そのようなほかにはない強烈な個性を放ち、スポーツ界やアウトドア界でも唯一無二な存在である〈サロモン〉から今後も目が離せません。

サロモン コールセンター

電話:03-6631-0837
www.salomon.com/jp

TAG
#salomon
#trail running
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Page Top