Interview With Mai Fukagawa
“水” のような深川麻衣の魅力。
今回のファッションシュートをするにあたって、深川さんの透明感のあるキャラクターだったり、名字の深川の字から “水” というキーワードが挙がりました。
深川これまで、キーワードやイメージから連想して構成を組み立ててもらうことが中々なかったので新鮮でした。あと、初雪も体験できたので、雪の上に寝そべったり、童心に戻ったような気持ちになりました。
水というキーワードをもとに、さらに “雪が溶けて川になって春が来る” というテーマで撮影を進めました。春らしいイメージを演出するために、スタイリングも鮮やかなものを多くしてみたり。実際に服を着てみていかがでしたか?
深川いろいろなお洋服が着られてすごくテンションが上がりました! 鮮やかで形やテイストも全然違う服を着たので、着替えるたびに気持ちも変わっていきました。
深川たとえば、真っ白な服も雪と一体化したみたいで楽しかったし、茶色い服のコーディネートも少し男らしくて新鮮でした。髪をまとめ上げることも普段じゃ絶対しない髪型です。
深川あまり飾らず、構えないようにと思って、「どう写っているか」を意識せずに臨みました。今回カメラマンの大辻さんからは “笑顔” とか “カメラを意識して” という指示がなかったので、素でそこに佇んでいるような感覚になれました。
ご一緒したいカメラマンさんに大辻さんの名前を挙げられていたんですよね。
深川そうなんです。ずっと前から写真をこっそりと拝見していて(笑)。淡くて、透明感がある大辻さんの写真が大好きだったから、今回念願叶ってすごい嬉しかったです。
富士五湖のひとつ、本栖湖で撮影をしました。深川さんの地元は同じく富士山を囲む静岡県ですし、少し馴染み深かったりしましたか?
深川私が住んでいた磐田市は名古屋寄りにあって、静岡市内に出るのも1時間くらいかかるので、富士山は少し遠いところにあるんです。だから登ったこともなくて、いつか登頂してみたいと思っていても、そういう機会も中々なくて。乃木坂46の活動中に富士登頂の企画があったのですが、そのメンバーには入れなかったです。
10枚目のシングルヒット祈願の『何度目の青空か』のときですよね。キーワードの “水” にまつわるエピソードをお伺いしたかったんですが、乃木坂46の活動で水といえば、滝行が印象深いです。7枚目シングル『バレッタ』のヒット祈願では、沖縄の滝に行かれてましたよね。
深川まわりからはなぜか楽そうに見られましたが、あの滝行も背中で息ができないくらい水量があって本当に大変だったんですよ(笑)! あと、日常的な “水” のエピソードでいえば、私にとって水は人より欠かせないものかもしれません。普段ジュースは飲まないで水ばかり飲んでいるし、お風呂にも毎日浸かるようにしていますし。
なるほど。ファンが惹かれる深川さんの魅力は、日常的というか、どこか親近感のある水のようなしなやかさにあると確かに感じました。
乃木坂46の活動を通して見つけた、新しい自分。
現在、連続ドラマ『日本ボロ宿紀行(以下:ボロ宿)』の主演を務められています。深川さんは旅行とかは行かれるんですか?
深川仕事以外だとあまり遠くには行けてないです。いまはタイに一人で行きたくて、周りの人たちにリサーチをかけています。マムアンちゃん(イラストレーター・ウィスット・ポンニミットさんが描くキャラクター)のショップもタイにあって、そこに行きたいんです!
絵もお好きですもんね。ほかに一人で行きたいところはありますか?
深川治安がいいところからチャレンジした方が良いよって言われているので、ニューヨークにも行ってみたいですね。美術館も多いし、色々な人種の方がいるので英語が流暢じゃなくても相手も親身になってくれるというのを聞いて。あと、いまはハードルが高いけど将来はインドにも一人で行ってみたいです。
人によっては訪れると人生観が変わるなんて話がありますけど、深川さんは感受性が豊かでしょうし、そういう意味ではインドはうってつけかもしれませんね。
深川人生で一度は行ってみたいですね! 以前、お仕事でフランスに行く機会があって、住んでいる人たちの時間の使い方が日本人とまったく違って。残業しないし、仕事が終わったらセーヌ川に腰掛けて友人や恋人とお話をしてるとか。日本人との感覚の違いや、知らないことだらけの世の中に感情を動かされたことはありました。
深川先月までは朝ドラの撮影だったので、お仕事が早く終わった日は大阪の街をブラブラすることが多かったです。美味しいお店を知っている技術さんがいらっしゃるので、いろいろ聞いてご飯を食べに行ったり、一人で映画を観に行ったり。
一人で映画も行かれるんですね。ほかにハマっていることやものはありますか?
深川無心になってできる細かいものづくりが好きですね。先日はトルコランプをつくりました。あと、今年は日舞を新しく習おうかなと思っています。
深川趣味として習うつもりなんですけど、時代劇をずっとやりたいって言ってきたので、所作だったり、着物を着たときの佇まいだったりが、ゆくゆくお仕事に活きたらいいなと思っていて。乃木坂時代とはまた違った踊りをやってみたいというのもあります。
たしかに時代劇も似合いそうですね。女優業は乃木坂にいたころからやりたいと考えていたんですか?
深川MVや個人PVをつくる過程や、大変だった舞台のお仕事にやりがいを途中から感じたんです。映像のお仕事はグループのMVがきっかけで好きになりました。
乃木坂のときはシングルごとに個人PVがあったり、映像のお仕事に触れる機会も多かったですよね。
深川応援してくださっている皆さんの目にも届きやすいし、何歳になっても続けていけるお仕事だなと思いました。そのときの自分にしかないものを表現する面白さもあるので、女優のお仕事は積極的に続けていけたらなと思っていました。
深川バラエティも出るし、モデルをする子もいれば、本を書く子もいるし、ラジオをやる子もいて。色んな経験をさせてもらいながら活動をしていく中で自分の道を絞っていったという感じです。
昨年は映画『パンとバスと2度目のハツコイ(以下:パンバス)』に主演されて、いまは『ボロ宿』での主演、さらには朝の連続テレビ小説『まんぷく』にも出演なさってますし、春にはさらに映画の公開が控えています。乃木坂46の卒業からとても順調そうですね。
深川順調そうに見えているのは良いことだなって! 不安は不安なんですけど。
活発な活動が目に見えると、ファンは嬉しいですよね。
『パンバス』は淡々とした役柄でしたけど、今回の『ボロ宿』とかは結構感情の起伏が激しかったりとか、一方で『まんぷく』では関西弁を話したり、本当に幅広い演技が光っていますよね。何にでもなれる水のような魅力がここにもあるのかなって。
深川ありがとうございます! 『パンバス』は日常の中を切り取ったような作品ですし、今泉監督は「ちょっと抑えて」とか「ここは強く」とかそういう演出をされていました。大きな事件は物語の中で起きないけれど、それがリアルで。一方で『ボロ宿』は全12話の中で5人も監督さんがいらっしゃるんです。それぞれの監督さんで演出方法も違う中で、いろいろなものを引き出してくださって。私もあそこまで起伏が激しかったりとか、人にあそこまで物を言う役って初めてだったので、楽しかったです。
確かに、第1話の怒鳴るシーンは衝撃的で、ファンにとっては新しい一面だったと思います。深川さんは『パンバス』と『ボロ宿』と『まんぷく』の人物像どれに近いですか?
深川難しいですけど『パンバス』が近いですかね。むかし美術をやっていたりとか境遇が近いんです。
“聖母” でおなじみの深川さんは、普段怒鳴ったりしないですもんね!
深川そうですね(笑)。だから『ボロ宿』第一話の最後のシーンは苦労しました。全12話の中で一番時間をかけたシーンだったかもしれません。
聖地巡礼というか、実際に撮影地に行かれる方も多いでしょうね。
深川来年には廃業になってしまう宿もあるみたいで…。素敵なところが多かったので、ぜひ行って欲しいです!
最後にファンの方々や『フイナム』の読者にメッセージをお願いします。
深川スクリーンを通して、私の活動がファンの方や色んな人に伝わって、少しでも何か影響を与えられたら良いなと思っています。これからも宜しくお願いします!
深川麻衣(ふかがわ・まい)
1991年生まれ、静岡県出身。 「乃木坂46」の初期メンバーとして数多くのヒット作と共に活動してグループを牽引する存在となる。女優業に専念するべく2016年にグループを卒業。’17年に舞台『スキップ』で初主演、’18年には主演映画『パンとバスと2度目のハツコイ』でTAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。’19年にはNHK連続テレビ小説『まんぷく』に成長した香田吉乃役として出演。また、テレビ東京ドラマ25『日本ボロ宿紀行』で連続ドラマ初主演。映画では『愛がなんだ』(4月19日公開)、『空母いぶき』(5月24日公開)に出演しており、単独主演での朗読劇「柳橋物語」が5月2日に東京・草月ホールにて上演を控える。
Instagram:@fukagawamai.official