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FEATURE|ネペンテス、ロンドンに降り立つ。

ネペンテス、ロンドンに降り立つ。

NEPENTHES LONDON STORE OPENING

ネペンテス、ロンドンに降り立つ。

独自のクリエイションにより熱狂的な支持を集める「ネペンテス(NEPENTHES)」。昨年創業30周年を迎え、その勢いは止まることを知りません。そして先日、ニューヨーク店に続く海外二店舗目の「NEPENTHES LONDON」がオープンしました。約200年前に、建築家トーマス・キュービット氏によって建築されたロンドン最古のアーケード「ウォーボーン・ウォーク」の一角に、隠然たる存在感を放ちながらショップは佇んでいます。店内は重厚感の漂う木目調を基調に、落ち着いた空間に。黒塗りの外装とコントラストのある白いウィンドーペーンが特徴的な通りには、インディペンデントストアが立ち並んでいます。英国のEU離脱(ブレクジット)で揺れ動くなか、ヨーロッパの新たな窓口としてロンドンへの出店を決めた経緯と今後の展望を、ネペンテス代表の清水慶三氏とネペンテス ロンドン ディレクターの片庭秀幸氏に訊いてきました。

  • Photo_Asuka Ito
  • Interview&Text_Tatsuo Hino
  • Edit_Ryo Komuta
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(左):清水慶三/ネペンテス代表

昨年創業30周年を迎えた「ネペンテス」を先導する、当代きっての才人。世界中から注目を集めている〈ニードルズ〉のデザイナーも務める。

(右):片庭秀幸 /ネペンテス ロンドン ディレクター

長年「ネペンテス」のバイイングに携わり、世界中を飛び回る日々を過ごす。ロンドン店におけるキーマン。

創業30周年を迎えられたわけですが、なぜニューヨークに続く海外二店舗目を出店されたのでしょうか? またその地にロンドンを選ばれた理由を聞かせてください。

清水海外初店舗となるニューヨーク店がオープンしてから10年ほどが経過して、そこが徐々に軌道に乗ってきたのが理由の一つです。あとは会社が30周年という節目の年で何かをやりたいという気持ちは以前から持っていて、最初はイベント開催という考えもあったのですが、その何かがこの海外二店舗目という形に自然と流れていった感じです。ある程度の段階から次に店舗を出すのであればロンドンと決めていたので、タイミング的にもちょうど良かったですね。

具体的にはいつ頃からロンドン店の構想はあったのですか?

清水随分前からニューヨークやロンドン、そしてLAやパリのような都市にお店を出してみたいという思いはありました。都度、それらの場所での出店を考えたりもしましたが、最終的にはあまり迷うことなくロンドンに決めました。

片庭ヨーロッパを買い付けで廻っていて、自分たちが買い物をしたいメンズのセレクトショップがあまりなかったというのもありますね。

清水そうですね。元々「ネペンテス」はメンズの要素が強いですし。でも、一番の理由はやはりロンドンが好きだということだと思います。

そのなかでユーストン(EUSTON)という商圏から少し離れた場所を選ばれた理由を教えてください。「ネペンテス」らしいとは思うのですが、現地の居住者からすると何故という声が上がりそうですが?

清水ロンドンへは15年ほど前から毎年のように来ており、毎回この辺りに泊まるのでこのエリアには馴染みがあるんです。お店を実際に出す前に色々な場所を廻ったのですが、最終的にはこの通りが良いなと思っていたら、タイミングよく空きが出たんです。東京や他の店舗もそうなのですが、目抜き通りとか目立つ場所ではなくても、「ネペンテス」というブランドを理解して足を運んでくれるところが良いなと思っています。ニューヨーク店も少し中心地から外れた、元々は全く何もない場所でしたし。

片庭この通りの雰囲気と建物の佇まいが、ロンドンでも中心地には見られないものなので気に入っています。アーケードとかロンドンらしいところもある、というのも決め手の一つでしたね。

ロンドンには1990年代から一時期オフィス自体を構えられていましたよね。実際にはロンドンオフィスはどのような機能や役割を果たしていたのですか?

清水当時は主にはバイイング、あとはオリジナルの企画・生産を行っていました。

片庭今後は仕入れもやりつつ、そこからもう少し発展させて、単純に売るだけではなく「ネペンテス」の世界観や概念を広めていこうと思っています。

オフィス設立当時と現在のロンドンとで感じる、1番の変化はなんでしょうか?

片庭百貨店のメンズのセレクトはその当時と大幅に変わったと思います。それとイーストロンドンが一時期ハイライトされていましたが、ロンドンオリンピックを境に落ち着き、メンズの洋服、特にカジュアルウェアを取り巻くシーンが変化したように感じます。一昔前だとスキニージーンズを履いている人が多い印象でしたが、よりバリエーションが増えたというか。

清水世界的な兆候ではあると思うのですが、より均質化されたようには感じますね。

自店で販売するものと、卸すものはどのように差別化していくのでしょうか?

清水商品に関しては仕入れブランドもありますが、もともと自社ブランドがメインなのであまり違いはありません。日本もニューヨークも同じで、商品構成の基盤となる骨組みだけは二人で話して進めていく予定です。

片庭商品だけでなく企画も含めて、今後は自社から発信していくものを増やしていきたいと考えています。これまでは海外から日本へ向けて伝えていたものを、日本から海外へ伝えていくステージに差し掛かっているという意識が強くあります。

ロンドン店で働く方にはどのような方がいらっしゃいますか?

片庭皆、リテールやバイイング経験者で、良くブランドを理解している、いわばファンが集まっていると思います。2フロアということもあり、現在は8名が在籍しています。「ネペンテス」のインスタグラムからのダイレクトメッセージによる応募がほとんどでした。手前味噌ですが、彼らは色々なことを知っていて、アイデアも出してくれるし、接していて非常に良い印象を持っています。細かいところにも気が行き届きますし、その多感なところにこちらも良い刺激を受けています。

以前のインタビューでは、清水さんと大器さんの関係性を伺いましたが、片庭さんとのお話をお聞かせください。

片庭何か特筆するべき逸話のようなものはなくて、いつの間にか自然と関係性が構築されていったという感じでしょうか。

清水買い付けで一緒に海外に行くことが多いんです。ヨーロッパを含めて、ロンドンに来るときはほとんど一緒なのではないでしょうか。長年の関係性のなかで、他の人にはわからない部分を理解してくれているので「ネペンテス ロンドン」を立ち上げるにあたっても任せられると思いました。感覚的な好みというか、テイストを理解できているというのは大きいと思います。

現在のロンドンにおけるファッションシーンを見ていて、「ネペンテス」だからこそできることや、今後やっていきたいことはありますか?

片庭やりたいことは“ザ・リテール”なので、ヒトとモノの交差点を作れれば良いなと思っています。それぞれのスタッフが異なる交差点を作って、ヒト・モノ・ミセの三角形をより豊かにしていけると良いですね。規模をあまり大きくするつもりはないので、趣や面白さ、楽しさを見出してもらえるようなお店に成長させていきたいです。今はeコマースに注目されがちですが、やはりリテールビジネスの原点に返ってしっかりとしたお店作りが一番重要だと思っています。

ブレクジットが目前に迫り(取材時は2019年2月)、世界が混沌としている状況下では出店自体がチャレンジだと思うのですが、あえてこの時期を選んだ理由は?

清水たまたまですかね(笑)。その辺りはあまり意識していなくて、30周年という節目もあって「ネペンテス」にとっては、今がちょうどロンドンに出店する良い時期だったということです。〈エンジニアド ガーメンツ(Engineered Garments)〉が段々と世に認められてきて、最近では〈ニードルズ(Needles)〉も知られるようになってきました。実際ヨーロッパでは、約40店舗ぐらいに〈ニードルズ〉を卸していますし、イギリスの取引先も多いんです。

自社で制作されているカタログ『INPRINT』の次号は、ロンドンにフォーカスされると伺いました。どのような内容になるのでしょうか?

清水他の媒体には出ない、ウチなりの偏ったロンドン号にする予定です(笑)。ロンドンのローカルな人たちにも楽しんでもらえるものになると思います。

片庭お店のある「ウォーボーン・ウォーク」も昔ながらのロンドンっぽいというか、アーケードとか下町みたいな感じなんです。この辺りを取り巻く独特なシーンも紹介される予定です。

最後に、これから注力していくモノ・コトを具体的に教えてください。

清水モノはやはりイギリスっぽいものをやりたいです。

片庭そうですね。あとはロンドンレーベルを早めに始めたいなと思っています。以前も少しやっていたのですが、今はそのときとは違うステージのものができると感じています。

清水今回ロンドン店をオープンして、次のステップとしてお店なのかブランドなのか、そのへんはまだ具体的には決まっていません。ですが基本はやはりお店が一番だと思っているので、出店をするならば場所はアメリカなのかヨーロッパなのか、もしくは日本国内なのか、色々な可能性がありますね。

NEPENTHES LONDON


住所:8 WOBURN WALK, LONDON, WC1H 0JL
営業:12:00〜20:00
nepenthes.co.jp

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