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FEATURE|バッグデザイナー・佐野賢太の日常とブランドのこと。

バッグデザイナー・佐野賢太の日常とブランドのこと。

Life with beruf baggage

バッグデザイナー・佐野賢太の日常とブランドのこと。

2006年の設立以降、サイクリストのための優れた機能性と日本の職人技術を駆使した抜群のクオリティで、幅広い層に人気を博している〈ベルーフバゲージ〉。そのクリエイティブディレクター兼デザイナーを務める佐野賢太は日々どんな風にバッグと向き合い、そこにどんな想いを込めているのか? 通勤中から仕事場となるアトリエなど、彼の日常に密着して話しを聞きながら、ブランドの魅力を探っていきます。

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上京してすぐ東京のメッセンジャーカルチャーに受けた刺激。

自転車とバッグってそもそも密接な関係ですよね。やっぱり〈ベルーフバゲージ〉にも自転車の要素は欠かせないものですか?

佐野そうですね。僕自身もともと上京してきた時に通勤手段として自転車を乗り始めたんですけど。ちょうど当時はメッセンジャーカルチャーが日本でも盛り上がり始めていた頃でした。その格好良さにやられてしまって、以来ずっと乗り続けてますね。

それがブランド始動前夜の2000年代初頭ですね。

佐野はい。とにかくメッセンジャーっていうモノに対して興味があったので、今でも西麻布にある「T-serv」っていうメッセンジャーの会社に連絡をして、根掘り葉掘り色々教えてもらったんです。いきなり電話して「具体的にどんな仕事をしてるのか」って(笑)。そこから少しずつ交流が生まれていきました。当時からメッセンジャーって少し変わった人が多かったんですね。もちろんそれ一本でやっている人もいるんですけど、メッセンジャーの仕事以外にも例えばカメラマンとか色々やってる人もたくさんいて。そういう人たちとの関わりはすごく刺激的でしたね。今だに繋がりがある人もいます。

実際のメッセンジャーたちとの関わりはバッグ作りへの刺激にもなってますか?

佐野それはすごくあると思います。ただ、彼らに向けたプロモデルを作るのではなく、ブランドとして基本はそこに置きつつも「普通の人が使うならどうだろう」っていうことをすごく考えました。具体的にはサイズをスケールダウンしたり、実生活で必要な機能を足したり引いたり。そういうプロセスを経て〈ベルーフバゲージ〉を立ち上げたのが、2006年の頃ですね。

ブランドの始動。いくつかのプロセスを経て今のスタイルに至るまで。

当時のバッグ市場はどんな感じだったのですか?

佐野それまでは大手系が多かったんですけど、ちょうど同時期ぐらいにインディペンデントなバッグブランドがで始めた頃でした。自転車文化も含みつつ、横乗りカルチャーの背景も一緒に持った新しいブランドがすごく勢いがありましたね。メディアにもカルチャーとして取り上げられ始めて、メッセンジャーの存在自体もそうだし、ストリートカルチャーと自転車がすごく密接にリンクして盛り上がってきたムードがありましたね。

そういった流れの中で自身のブランドを立ち上げる時、他と差別化するために意識したことは?

佐野まずはデザインですね。もともとアパレル業界にいたこともあって、ベーシックな物でありつつも少し味付けを加えたものにしたいという意識は常にありました。具体的にはバッグに入れるロゴ自体を蓄光プリントにして夜光るようにしたり、刺繍でデザインを加えたり。色目も全体的に今より多く使っていました。

そこから派生して、今のプロダクトはすごくソリッドなデザインという印象ですよね。

佐野実は〈ベルーフバゲージ〉としては、5年周期ぐらいでぐいっとブランドのテイストを変えてきているんです。最初の5年はカジュアル要素が強いもので、次の5年間はそれまでのカジュアル路線を継承した”Holiday Collection”、そして自転車向きの機能を足した少しソリッドな”S Collection”と2軸で展開してきました。そこから2016年に10周年という節目を迎えたことをきっかけに、カジュアル要素の強い”Holiday Collection”を減らしつつ、ソリッドで機能的な方向に絞って今に至る流れです。

それは何か自身の中で心境の変化があったのですか?

佐野僕自身が立ち上げから10年経って、趣味趣向が少しずつ変わってきたというのがまずあります。それで今の自分のライフスタイルに馴染みやすいシンプルでソリッド、機能的なバッグを中心に作ろうと。あとはシンプルにお客様から「仕事で使えるバッグが欲しい」という声が多くなりましたね。当初のカジュアルデザインな物は特に学生の方が本当によく使ってくれていたんですけど、そこから僕自身と同じようにみんなも10年歳を重ねて「このカバンいつ使う?」っていう感覚になってきたと思うんです。そんな風に使ってくださるファンの方達と一緒にブランド自身が成長してこれた事自体はとても幸せなことだと思ってます。そういう流れもあって、10周年という節目がいい機会だと思って一気に舵を切りました。

より明確な用途をイメージして展開する”GEARED”コレクション。

今日使っているバッグもすごく洗練されたデザインですよね。

佐野今日のは”GEARED”というラインで、通常ラインよりさらに用途を絞って機能やデザインを深掘りしているラインです。例えば自転車ひとつとってもロードバイクとマウンテンバイクって全く別物じゃないですか。もちろん求められる機能や形も違うわけで。そういうテーマを一つずつ突き詰めて展開しているものを”GEARED”ラインとして展開しているんです。

より趣味性を強めて、明確なライフスタイルを見据えたバッグだと。

佐野そうですね。今日使っているモデル自体は”TRAVEL”をテーマに開発したものです。内側のパネルが着脱できるようになってるんですけど、例えば飛行機内や新幹線の車内で仕事する時に、座席の前にパネルごとフックにかけたりネットに挿せるようにしています。バッグからいちいちPCやコード、書類などを取り出す必要もないですし、少しでもスマートに動けることを想定した作りになっていて。もちろん滞在先のホテルや日常のオフィスでも丸ごと取り出せた方が便利かなと。あとは旅先で背負ったまま歩きながらでも手が届く位置にファスナーポケットを付けたり。パンツのポケットに物を詰め込まなくてもいいようなデザインも心掛けていますね。

バッグをきっかけにして、新しいライフスタイルの楽しさを提案したい。

そこまで明確にコンセプトと機能をリンクさせるのは難しくなかったですか?

佐野実は、”GEARED”に関してはどの企画にも実在する対象者がいるんですよ。もちろん表に出てはこないんですけど、例えば出張や旅行が多い知人とか、すごくストイックにマウンテンバイクを乗り込んでる友人とか。もちろんある程度はこちら側でイメージを形にしつつ、彼らとの会話の中でそうした細かな機能面をデザインにフィードバッグしていくんです。なので、ほぼ全モデルに対象者がいて生の声がプロダクトに活かせているんです。

想定するライフスタイルを体現している人達がいて、彼らのためのバッグを作り、それを購入したユーザーがそこからまた理想のライフスタイルを広げていくっていう循環は、面白いアプローチですよね。

佐野それはブランドを始めた頃からずっと意識していることなんです。自分が作ったバッグをきっかけにして、「せっかくだからちょっと自転車にも乗ってみようかな」っていう人が1人でも2人でも増えてくれれば、僕らとしてはすごく嬉しい。そのためにも当時当たり前だった自転車用バッグ=スポーツバッグっていう概念を壊したかったし、いかに普通の人が普段着で持ちやすいお洒落なバッグを作れるかっていうことを目指してブランドを続けてきました部分もありますね。

見た目のデザインやコンセプトは変えつつも、そういう根っこの部分はずっと一貫しているんですね。

佐野本当の専門道具を作っているっていう意識は未だに全くないんですよ。あくまでも日常の延長線上にある、でも自分のマインドを変えて手にしてみたら世界が広がっていく。そういう体験ってやっぱりきっかけがないとなかなかできないと思うんです。なので〈ベルーフバゲージ〉が、そういうきっかけの1つになってくれれば、それが1番嬉しいですね。

(左):「brf-GR05-DR」価格:¥32,000+TAX、サイズ:幅30cm, 高さ45cm, 奥行14cm、容量:19L、重量:950g、素材:DURON™ ポリウレタン
(右):「brf-GR05」価格: ¥34,000+TAX、サイズ:幅300cm, 高さ45cm, 奥行14cm、容量:19L、重量:800g、素材:X-PAC™ ナイロン

1197 STORE

住所:東京都渋谷区代々木1-19-7
電話:03-6276-6613
www.1197store.com
www.bm-bag.jp

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