Profile
Luby Sparks
メンバーはNatsuki(Ba, Vo)、Erika(Vo)、Sunao(Gt)、Tamio(Gt)、Shin(Dr)。2016年3月、当時現役大学生だった5名によって結成。2017年7月に英国ダービーシャーでのフェス「Indietracks Festival 2017」に唯一の日本人バンドとして出演した。2018年1月に1stアルバム「Luby Sparks」をリリース。レコーディングはロンドン。プロデューサーは親交の深いバンドYuckのマックス・ブルームが担当した。ボーカルに新たにErikaが加入し、新体制となった後、同年11月にEP「(I’m) Lost in Sadness」をリリース。数々の海外アーティストのフロントアクトも務め、幅広い世代に新たなインディーロックとして受け入れられている。www.instagram.com/lubysparksband/
ブリットポップを自分たちなりにイメージしていて。
ルビー・スパークスはファッションの統一感がすごいと思いますが、どうやって着る服を決めているんですか?
Natsuki アー写にしろ、すべて自分たちで決めているんですが、メンバー各々、顔の系統も違うので、自分の雰囲気に合う服を選んで着ています。その上で、モノクロで統一したり、何らかの共通性を出せるようにしていますね。今日の撮影もチェックパンツで揃えたり。それと、ルビー・スパークスは海外バンドのオープニングアクトを務めることも多いので、そういうときはメインとなるバンドや、その人たちのイメージに合わせたりしています。今回はポストパンクっぽくいこう、とか。
Tamio そのなかで絶対に譲れないものといえば、スキニーですね。スキニー以外はあり得ない。
Natsuki ぼくの場合はブーツカットだったり。オーバーサイズの服は着ないですね。基本的にタイトなシルエットです。
Natsuki(Ba, Vo) ストレッチ性のあるピケ素材を使用したポロシャツ。胸元のブランドロゴはボディと同系色で施されており、よりシックな着こなしにもマッチする。ジャケットとも相性抜群の大人な雰囲気が魅力的だ。¥15,000+TAX
そのファッション感には何か裏付けとなるものがあるんですか?
Natsuki 自分たちが影響を受けている音楽は80年代から90年代のUKミュージックなんですが、当時のアーティストのファッションはタイトなんですよ。ジーザス&メリーチェインとかザ・キュアーとか。だから自然と細身の服を好むようになっていったんです。
今日の撮影でもタイトなサイズ感でポロシャツを着こなしていましたね。
Natsuki そうですね。パンツは自前なんですけど、これはぼくらなりに〈ラコステ〉のイメージを考えながら選んだんですよ。ポロシャツって自分にとってはブリットポップのイメージがあるんですが、そんなスタイルに見えればいいな、と思って。さっき、撮影中にメンバーと話してたんですけど、今日のスタイルは初期のブラーみたいな感じですね。
Erika(Vo) このポロシャツの特徴は何といっても変わった襟元。カジュアルさを保ちつつ、どこかドレッシーなデザインとなっている。袖付けからの切り替えがないフレンチスリーブ仕様で、美しいシルエットになっている。¥17,000+TAX
トリコロールのラインとワニがアクセントになった新作スニーカー。コートシューズをベースにした一足はどんなスタイルにも合わせやすい。しっとりとした柔らかさのナッパレザーを使い、履き心地もいい。¥13,000+TAX
Natsuki 懐かしい印象があります。中学生の頃、よく〈ラコステ〉の白いポロシャツを着て学校に行っていたんですよ。ぼくが通っていた学校は制服のトップスが白いシャツかポロシャツであれば、どんなブランドでもよかったので。
Erika 私はおじいちゃんがいつも〈ラコステ〉を着ていた思い出がありますね。実家の横がゴルフ場で、それを着て出掛けていました。オシャレに気を遣う人だったんです。だから今日は撮影中おじいちゃんを思い出しましたね。
Erika だから、紳士が普段着る上品な服ってイメージがあるんです。
80年代から90年代のUKミュージックをルーツに。
なるほど。先ほどファッションについてUKのバンド名が挙がりましたが、ルビー・スパークスの音楽はシューゲイザーだと世間的に言われることが多いと思います。改めて、自分たちの音楽性についてどう考えていますか?
Natsuki 自分たちは作品ごとに違うと考えているんです。2018年1月に出した1stアルバム「Luby Sparks」は80年代後半から90年代前半のUK、例えば、初期のプライマル・スクリームやザ・スミスが表現していたギターポップを目指しつつ、2010年代以降のオルタナティヴ・ロック、シューゲイザー、ドリーム・ポップの要素までを含んだインディーロックというイメージでつくりました。Erika加入後に制作し、11月に発表したEP「(I’m) Lost in Sadness」はちょっと違う方向性を目指していて。コクトー・ツインズやペイル・セインツいった4AD(1979年設立の英国のインディレコードレーベル)に所属していたバンドのゴシック的な要素も入っています。1stと比べるとダークな雰囲気や耽美さを意識してつくったんです。今のモードは…ドリーム・ポップという感じですかね。それも1stの頃とはちょっと異なる意味での。
EP「(I’m) Lost in Sadness」で音楽性が変化したのはErikaさんの存在が大きかったのでしょうか?
Natsuki そうですね。彼女のビジュアルや個性も踏まえているので。他4人のメンバーは変わらないのに、Erikaが入ったことでバンドとしての見栄えもガラッと変わったと思うんです。そこに合うように音楽性を広げつつ、もちろん軸は大切にしつつ、といった感じでやっています。
Shin(Dr) これ一枚でもレイヤードしてもカジュアルに着こなせるフード付きポロシャツ。ややゆったりとしたシルエットでつくられており、リラックスした着心地を楽しむことができる。¥17,000+TAX
せっかくなので、みなさんがリスペクトしているバンド、もしくは、アーティストをひとり1つずつ教えてください。
Natsuki Shinはメンバーの中でもUKロックではないところを通ってきたんですよ。ビートルズとかじゃない?
Shin まぁ、確かに影響は受けましたね。最初はよさが分からなかったんですけど、聴いているうちにクセになってきて、特にドラムが。何が面白い部分なのかを明確に説明できないんですけど、そこがよくて。リンゴ(・スター)が左利きだからっていうのもあるかもしれませんけど。
Natsuki Shinのドラムは、いわゆるシューゲイザーのそれとは全く異なるものだし、そんな要素が自然に入ってくることで独特な個性が生まれていると思うんです。バンドサウンド自体は90年代UKっぽいのに、ドラムだけをピックアップすると割とシンプルでクラシックなリズムだったりするので。
Tamio(Gt) ポロシャツの原型であり、1933年に誕生した定番「L.12.12」。単一の糸で編み上げた鹿の子には、独特の光沢と耐久性があり、ブランドのアイデンティティが落とし込まれている。¥13,000+TAX
Tamio ぼくはジェイムス・ブレイクが天才だと思っていて。「If The Car Beside You Moves Ahead」という曲はアヴァンギャルドで、まるでツギハギにミックスされているような展開なんです。普段、彼が耳にしている内的体験みたいなものを、音楽として表現できることに尊敬しています。
Sunao ぼくの場合はジャンルの話になってしまうんですがブラックミュージック、特にファンクやディスコですね。もともと、自分とNatsuki、Shinの3人は大学でブラックミュージックしか演奏しちゃいけないサークルに入っていました。カッティングがものすごいナイル・ロジャースっていうギタリストがいるんですが、その人は特に好きです。その要素はバンドにも活かされていますね。
Sunao(Gt) ボーダーでアレンジしたオーセンティックなポロシャツ。シンプルなデザインは存在感があり、普遍的な魅力を放つ。袖のワンラインがアクセントに。¥13,000+TAX
一見、クラシカルなコートシューズでありながら、アウトソールにEVA素材を使っているためとても軽い。サイドパネルに施されたトリコロールのワニが存在感を放つ。柔らかなフィット感も特徴の一足。¥12,000+TAX
Natsuki 一番影響を受けているバンドはジーザス&メリーチェインなんです。音だけではなくファッション、アートワークも含めて。衣装も黒、赤、白などしか使わないような感じで、すごくバンドのイメージが統一されているんです。以前、ライブを見たんですけど、サウンドだけではなくビジュアルや照明にも徹底的にこだわっていて、その世界観にすごく感動しました。
Erika 私は特定のジャンルやアーティストっていうよりもサウンドトラックが好きですね。家族も映画が好きで『ロッキー・ホラー・ショー』のサントラが小さい頃に流れていたりして。特に好きなのが『クロウ/飛翔伝説』のサントラですね。それこそ、さっきNatsukiが言っていたジーザス&メリーチェインも入っているし、ザ・キュアーやナイン・インチ・ネイルズも収録されているんですが、ここに入っているのはジャンル問わず大好きです。
ルビー・スパークスをキッカケに音楽を知ってほしい。
現在のバンドの状況も教えて下さい。1月には初の自主企画ライブ「Thursday I don’t care about you」を渋谷WWWで開催されましたが、これによって何か考えることはありましたか?
Natsuki まず、お客さんがたくさん来てくれたことに一番ビックリしましたね。韓国のバンドSay Sue Meを招いたり、すごく手応えを感じました。
Natsuki Say Sue Meにしても90年代USのオルタナ的なサウンドで、ルビー・スパークスと2マンライブ。かつ渋谷のど真んなかで、平日にも関わらず、それだけのお客さんが来てくれたということは、まだまだ東京にも、こういう音楽が求められているということだと思うんです。
Erika 若い人も多かったしオシャレな人も多くて、そういう世代にもルビー・スパークスの音楽が伝わりつつあると実感できたことが嬉しかったです。
Natsuki いままでを振り返ると、当時、シューゲイザーやオルタナを聴いていた世代の大人が観に来てくれていたんですよ。もちろん、それは何よりも嬉しいことなんですけど、逆に日本のバンドしか聴かなそうな若い子やいまっぽい子が会場にたくさんいて、ぼくらのライブに対して「映画を観てるみたいでした」って感想をくれたりするんです。そういう世代に対しても、ただ単純にインディーロックといってもさまざまな表現があって、ルビー・スパークスのルーツには世界中のさまざまなカッコいい音楽やカルチャーがあるんだってことを伝えていきたいと思っています。彼らにとって、ぼくらが音楽的な視野を広がるキッカケになれればいいなって。