HOUYHNHNM

FEATURE|80年代のエレガンスを体現。当事者たちが語るソラリス&コーのファーストコレクション。

80年代のエレガンスを体現。当事者たちが語るソラリス&コーのファーストコレクション。

Focus on SOLARIS&Co.

80年代のエレガンスを体現。当事者たちが語るソラリス&コーのファーストコレクション。

“OLD&NEW”をコンセプトに、ヴィンテージから着想を得たハットを現代の解釈で生み出す〈ソラリス ハットメーカーズ(SOLARIS HATMAKERS&Co.)〉。このブランドが2019年秋冬よりウェアのコレクションを始動させます。その名も〈ソラリス&コー(SOLARIS&Co.)〉。デザイナーである東海林龍一氏のヴィンテージ愛が随所に散りばめられながら、自身が多分にインスパイアを受けたという80年代のエレガンスが惜しみなく表現されています。今回はデザイナー自身のインタビューに加え、ブランド設立時からルックのスタイリングを手がけるスタイリストの山田陵太氏にも話を伺いました。来季よりデビューを飾る新星ブランドの魅力に迫ります。

  • Photo_Kazunobu Yamada
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Yosuke Ishii
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Interview 01 東海林龍一 / デザイナー

手に取ったときに繊細さや丁寧さを感じるハイクオリティーなコレクション。

〈ソラリス ハットメーカーズ〉が掲げる“OLD&NEW”というコンセプトについて教えてください。

東海林もともとヴィンテージの服が好きで、そこからインスピレーションを受けているんですが、古き良きものをそのまま再現するのではなく、自分のフィルターを通して再構築し、現代のファブリックで落とし込むという気持ちが込められています。いまの大量生産されたアイテムには敵わない魅力がヴィンテージにはあるんですけど、それをいまの技術で伝えられたらなと。

そもそもどうして帽子ブランドからスタートさせたのでしょうか?

東海林若い頃から服が好きで、いろんなジャンルの服を買いました。30歳を過ぎて、ひとまわりしたときにまたヴィンテージに落ち着いたんですが、 その服に合わせてかぶりたいと思う帽子が少なかったのがきっかけですね。実際にあったとしてもサイズが合わなかったりして、これは自分でつくるしかないと思ったんです。

なるほど。

東海林ヴィンテージのアイテムって、長く着用できるんですよ。クオリティーの面でも、デザイン的な意味でも。それはなぜかというと、機能が前提としてあるからなんです。それがデザインとしての魅力にもつながっている。そういった機能美のある帽子を〈ソラリス ハットメーカーズ〉で表現しています。

服にある機能美というのはわかりやすいんですが、帽子でそれをどう表現しているんですか?

東海林帽子としての意味合いというか、日差しを遮るためにつくられた帽子、おしゃれのためにつくられた帽子、防寒のためにつくられた帽子など、いろいろあると思うんです。そういった意味に対して忠実にデザインすることを心がけてますね。

ウェアをスタートさせたのはどうしてなんですか?

東海林帽子づくりをしている中でお客さまに、「この帽子はどう合わせるの?」「難しそう」というお声をいただいたとき、自分がイメージしている世界観をどうすればわかりやすく伝えられるのか具体的に考えるようになりました。 自分はもともと服好きということもあったので、ウェアもデザインしてトータルで見せていこう、と決めるのに時間はかかりませんでした。 ただ、ブランドの中の小物としての帽子という考えではなく、〈ソラリス ハットメーカーズ〉という帽子ブランドと、〈ソラリス&コー〉というアパレルブランドが、お互いの良さを引き出せるような展開をしていきたいと思ってます。

ファーストシーズンのテーマについて教えてください。

東海林テーマは「TOKYO」です。正確にはすこし前の時代の人たちが想像したいまの東京です。80年代につくられた近未来系の映画の時代設定って、ちょうど2019とか2020年くらいなんですよ。その当時の映画にはいま使われているフルCGとは異なるおもしろさがありました。また、その登場人物が着用している服がカッコよくて印象に残っているんです。

ナイロンライダースジャケット
「レザーではなくナイロンで色気を表現したライダースジャケットです。生地は光沢を抑えたものにして、落ち着いたムードにしています。自分が持っている50’sのライダースをモチーフにしていて、袖のリブや裾を絞ったりして80年代っぽくアレンジしました」

たとえばどんな映画ですか?

東海林『ブラック・レイン』『ブレードランナー』『ガンヘッド』が好きでしたね。あと90年代の映画ですけど『JM』も近未来×日本のヤクザという異質な組み合わせがよかった。 個人的に80’sカルチャーが好きなので、その時代の人達が想像した近未来の東京スタイルを自分なりにデザインに落とし込みました。

オープンカラーシャツ
「このシャツはリヨセルという化繊の生地を使っています。身幅を持たせてアームホールも広げ、どこかドルマンスリーブのような形になってます。あと裾をすこし絞って、タックインしたときにキレイに溜まりが出るようにシルエットを調整しました」

東海林あとはぼくが若い頃に憧れていた上の世代の人たちのファッションも参考にしています。いまの若い子たちが90年代に憧れを抱いているように、ぼくの世代だと80年代がそれにあたります。50’sや60’sのエッセンスを上手に消化して独自の発展を遂げているのが80年代なのかなと思っていて、そこにおもしろさがあると思うんです。

シルバーリング 、14Kリング 、シルバーブレスレット 、14K×シルバーブレスレット
「14金のゴールドと、スターリングシルバーでつくったアクセは、マサスカルプさんというアーティストの方につくってもらったアイテムです。すごく繊細なアクセサリーになっていると思います。蛇の目に入っているのはそれぞれエメラルドとルビーです」

ヴィンテージ好きということから、ヘリテージなムードが強いコレクションを想像していたのですが、それだけに留まらず、どこか艶っぽいキザなアイテムも差し込まれていて、そこに個性を感じました。

東海林ヴィンテージはもちろん大好きなんですが、同じアイテムでもサイズ選びや着こなしかたで全然見えかたが変わると思うんです。自分の中にスタンダードに対してのアンチテーゼがあって、どうしても好きな着方や落とし込み方、表現方法がそうなってしまうんです。『仁義なき戦い』とか、むかしのヤクザ映画も好きだったりして、その影響もあるかもしれません。

マオカラージャケット 、ベスト 、トラウザーズ
「ブラックとホワイトで生地が異なるのですが、ブラックは『クレバクオーレ』、ホワイトは『ボッジョ・ガゼーロ』というイタリアのメーカーの生地を使っています。知人に譲ってもらった90年代の生地で稀少性が高いので、オーダーにも限りがあります」

コレクションなかでキーとなるアイテムはあるんですか?

東海林この3ピースですね。これをいちばん最初にデザインして、それに合わせるように他のアイテムをつくっていきました。80年代の東京で遊んでいる不良のようなイメージです。そこに憧れがありました。当時、DCブランドにもマオカラーのセットアップがあったんですけど、着丈が長くて身長が高くないとかっこよく着こなせなかった。そうなったときに、ちゃんと日本人でも様になるアイテムをつくりたいなということでこれをデザインしたんです。

ラインナップも基本的にホワイトとブラックのモノトーンで統一されています。そこに理由はあるんですか?

東海林自分が抱いている反抗的な黒、その対照の透明感のある白。そのコントラストを表現しました。今回はファーストシーズンなので柄物や色物に振らずに、ディテールをしっかりと伝えたかったのでモノトーンにしました。

縫製や生地のクオリティーなど、見えない部分にこだわったところはありますか? 見たところ、服そのものの品質がすごく高いように思うのですが。

東海林帽子をつくっている頃から、すべて国内生産にしています。先ほどの話に繋がるんですけど、長く着続けられないと意味がないので、しっかりといいものをつくるという意味で国内生産にこだわっています。つくりたいものはたくさんあったんですが、ひとつひとつのアイテムのクオリティーを重視して、型数を抑えて自分の手の届く範囲のものづくりをしました。

東海林さんが思う「しっかりといいもの」というのは、具体的にどんなアイテムを頭の中でイメージしていますか?

東海林手に取ったときに繊細さや丁寧さを感じるものですね。それが着たときに、より強く発揮されるアイテム。パッと見たときに「着てみたい」と思わせることも大事なんですけど、着たときにその魅力がよく分かるものにしたいなと思ってます。

まだファーストシーズンを発表したばかりですが、今後の展望など、東海林さんが描いている目標を教えてください。

東海林次のシーズンの構想が頭のなかにあるので、それをより高い完成度で表現していきたいです。自分のやりたいことを100%できる環境づくりというか、やりたいことの幅を広げる意味でも、表現力と実現力を養っていきたいと思ってます。

東海林龍一 / SOLARIS&Co.、SOLARIS HATMAKERS&Co. デザイナー

1981年生まれ、山形県出身。服飾専門学校の入学と同時に上京。卒業後は様々な職に就き経験を積み、2016SSシーズンにオールド&ニューをコンセプトに掲げた帽子ブランド〈ソラリス ハットメーカーズ(SOLARIS HATMAKERS&Co.)〉を立ち上げる。「L’ECHOPPE」をはじめとしたセレクトショップを中心に展開。2019AWシーズンより満を持してウェアブランド〈ソラリス&コー(SOLARIS&Co.)〉をスタートさせる。

Interview 02 山田陵太 / スタイリスト

こういう80年代のエレガントなムードを押し出したブランドはなかった。

東海林さんとは知り合ってどのくらいなんですか?

山田彼がブランドをはじめるだいぶ前からの知り合いですね。その当時彼はアパレル業界の人ではなかったんですが、服が好きな人たち同士の繋がりで10年くらい前に知り合いました。うろ覚えなんですが(笑)。

山田さんから見た東海林さんの印象を教えてください。

山田いつも飄々としていていますよね。熱意みたいなものをあまり表に出さず、内に秘めているというか。〈ソラリス ハットメイカーズ〉を始めたときも、突然聞かされたので実はそんな計画してたんだって驚きました。

センスの部分ではどんなことを感じていますか?

山田選ぶアイテムのテイストは違うんですが、お互い古いものが好きで。だから会話の中で古着界隈の共通言語は多いですね。ぼくはどちらかというとハズし感が強い鈍い感じが好きで、彼はもう少し不良っぽかったりキザっぽい感じの物を選びますね。そういうムードが良く似合うんで(笑)。今回〈ソラリス&コー〉の服を見て、やはり東海林くんらしいなと。最近買っている私物も色々見ていたので、いまの本人の気分がきちんと編集されて表現されているなと感じました。

確かに、ただのヴィンテージテイストの焼き直しではない魅力があります。東海林さんらしい個性が見え隠れしているといいますか。

山田“80’s”というのもそのエッセンスのひとつかなと。市場で盛り上がっている80’s古着って〈ラルフ ローレン〉や〈トミー ヒルフィガー〉だったりスポーティなものが主流。でも彼がピックアップしているのは同じ時代のハイエンドなブランドのもの。例えば〈アルマーニ〉や〈ヴェルサーチ〉。元々彼の私服のイメージはもっと古い時代、それこそ40’s、50’sのイメージ。80’sのハイブランドって40〜50’sのシルエット感ともシンクロしているんですよね。そのシンクロしている感じがもしかしたら彼にとっての“いま”なんだと思います。

山田さんがディレクション及びスタイリングを手がけた〈ソラリス ハットメーカーズ〉の2019SSシーズンのルック。

山田さんは〈ソラリス ハットメーカーズ〉のスタート時からブランドのヴィジュアル製作を手がけていて、このブランドをどう解釈していますか?

山田ヴィジュアルを製作する上でクラシックというキーワードは意識していますが、あくまで見え方としてはモダンなルックになるように取り組んでいます。手法や質感としてはクラシックだけど、見え方は新鮮、というのが理論としての正解。

新しいけど古い、古いけど新しい。その両方を行き来できる普遍性のような。

山田それがどんなルックなのかって事になるととてつもなく難しいんですが。古い時代のものにも見えるけど、いまそれが新鮮に見える。そんな感覚が理想的な着地点かなと思っています。

タッセルローファー
「このシューズは、ローファーとオペラシューズをミックスしたデザインになっています。日本の職人さんがつくっているもので、たしかなクオリティーなのと、日本人の足に合うような設計になっています。すごく履きやすいですよ」

先ほど「東海林くんらしいコレクション」と話されていましたが、改めて〈ソラリス&コー〉をご覧になられた感想を教えてください。

山田やはり本人らしさ、という一言に尽きますね。既存のボディにプリントしたものだけで展開しているローファイなブランドが増えている時代に、彼は逆のアプローチで細かくてしっかりしたものづくりをしているなと。色展開を潔くモノトーンに絞っているのは意外でした。デビューコレクションとして塊で見た時に印象付けやすいですし、世界観も伝わりやすくて良いと思います。

スウェットシャツ、スウェットパンツ
「スウェットシャツは身幅を広くとりつつ着丈をやや短めにしているので、トラウザーズと合わせた時にタックが綺麗に出るようにバランスをとっています。〈ガルフィー〉や〈サンタフェ〉といった80sの不良の人たちが着ていたようなスウェットをイメージしながら、ディテール自体は野暮ったくならないようアレンジしました」

個人的に気になるアイテムはありますか?

山田このスウェットが気になりました。ラインナップのなかで一番目立っているというか。こういうチャンネルがあるのは意外な印象でした。いままでの〈ソラリス ハットメーカーズ〉のルックでもここまでスポーティな服は一度も使って来なかったので。こんなのもありだったんだなって。

ハット同様に山田さんがスタイリングした〈ソラリス&コー〉の2019AWシーズンのルック。

ハットに引き続き〈ソラリス&コー〉でもヴィジュアルを手がけられました。スタイリングを組む上で意識したことを教えてください。

山田まずは服をしっかり見せたかったので、背景や光などは極力シンプルに。コーディネートもミニマルにして服のシルエットの面白さでバランスをつくりました。スタイリングの意外性ではなく、服にそのものの個性を見せたほうがいいかなと。

ヴィンテージからインスパイアされるブランドが数多あるなかで、〈ソラリス&コー〉にしかない魅力はどんなところにあると思いますか?

山田古い時代の服から形を抜き出していくと、どうしても他のブランドと元ネタがかぶってしまうのですが、〈ソラリス&コー〉に関してはニッチなところからチョイスしているので、それがあまり無さそうですよね。そしてそこが強みになっていると感じました。

確かに、この手の服づくりをしているブランドって、ありそうでないですよね。

山田80年代特有のキッチュな感じを狙うブランドって他にもたくさんあるけど、エレガントなムードを前に押し出したブランドはあまりなかったと思います。ラインナップ全体を見たときに、世界観として伝わってきやすいですよね。言葉で伝えるのは難しいんですが、オリジナリティがきちんと発信されていますよね。

今後、〈ソラリス&コー〉に期待することはありますか?

山田もっといろんな人に知られるといいなと思います。帽子をやっているときから思っていたんですが、モノがしっかりしているのに、人目に触れる機会が少なかった。とくに帽子だと限られた人にしかリーチしませんよね。それがずっと勿体ないなって思ってた。こういうブランドが好きな人は確実にいるとおもうので、そうした人たちとの接点が増えればいいなと思います。

山田陵太 / スタイリスト

1980年生まれ、東京都出身。文化服装学院を卒業後、大手セレクトショップに入社。販売職を経験した後に、スタイリスト小沢宏氏に師事。2007年に独立する。現在は多くのブランドカタログでヴィジュアルディレクション及びスタイリングを担当するほか、ランウェイショーや各種媒体でその手腕を発揮。東京を代表するスタイリストのひとりとして知られる。〈ソラリス ハットメーカーズ〉ではファーストシーズンからルックのヴィジュアルディレクションを手がける。

SOLARIS&Co.

TAG
#SOLARIS
#SOLARIS&Co.
#SOLARIS HAT MAKERS
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Page Top