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スタイリストが提案する、Tジャケットの新しい着こなし。

Styling The T-JACKET by Masaaki Ida.

スタイリストが提案する、Tジャケットの新しい着こなし。

正統派クラシコイタリアのサルトリア技術を有する〈トネッロ(TONELLO)〉が母体となり、より気軽に普段の装いに取り入れられるジャケットスタイルを提案している〈Tジャケット(T-JACKET)〉。カジュアルな仕立てのジャケットに注目が集まる最近の潮流のなかで、ドレスとカジュアルをクロスオーバーさせる〈Tジャケット〉はその先駆者とも言える存在です。今回は雑誌や広告で幅広いスタイリングを手がける井田正明さんを迎えてその魅力を語ってもらいつつ、〈Tジャケット〉を題材に3つのコーディネイトを提案してもらいました。

  • Photo_Shotaro Kikuchi
  • Text_Shunsuke Hirota
  • Edit_Yosuke Ishii
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ドレッシーな気品もあるのに、ラフに着こなせる。

井田さんが〈Tジャケット〉の存在を知ったのはいつ頃ですか?

井田〈Tジャケット〉設立当初から雑誌のスタイリングやアイテム紹介で使わせてもらっていました。クラシコイタリアでは副資材を使わないアンコンジャケットも一般的ですし、なにより縫製の仕様がすごく良いので、最初はクラシックなブランドなんだろうなと思っていました。ですが、ある日「ビームス」のプレスの方から「Tシャツやカーディガン感覚で羽織れるブランドなんですよ」と教えてもらい、それからアイテムに対する見方が変わりましたね。

〈Tジャケット〉では通常のジャケットで使われる生地ではなく、シャツ用の服地やレディースで使われる素材を積極的に使用しているそうです。

井田「Tシャツ感覚で着て欲しいブランド」ということを知ってから、スタリングで使う時の意識も変わってきました。言われてみればラペルの形や全体のシルエットは極めてクラシックで気品があるんですが、ジャケットに使われている素材もストレッチが効いていたり、織りで立体感を出していたりとヒネリが効いている。今回のスタイリングでも、素材感のコントラストはテーマのひとつです。

〈Tジャケット〉ではバックヨークにハンガーループを採用していたり、切羽やボタンを排した袖口に仕立てたりなど、一般的なジャケットとは異なるデザインも採用しています。ディテールの違いで着こなしも変わってきますか?

井田シンプルな袖口のおかげで腕まくりして着られるので、着こなしの幅が増えるように思います。ぼくが今日着ているジャージー素材のジャケットも表はネイビーなんですが裏はブラウンの生地を使っていて、ロールアップした時にカラーコントラストが生まれるように作ってある。このあたりの巧みさは、さすがイタリアンブランドです。

最近はカジュアルでラフに着こなすジャケットが増えてきました。それらと〈Tジャケット〉の違いはどこにあると思いますか?

井田クラシックなバックボーンを有するブランドが手がけたカジュアルなジャケット、という点ではないでしょうか。カーディガン感覚で羽織れるけれど着てみると仕立ての良いテーラードジャケットを着た装いになる。しっかりとしたテーラーリング技術が背景にあるので、カジュアルアップなコーディネイトでもドレスダウンな着こなしでも、テーラードらしい大人な着こなしになるように思います。

ネイビーの〈Tジャケット〉を紺ブレに見立ててインナーに古着のカレッジスウェットを着込み、太幅のデニムパンツとペニーローファーを合わせた。シルエットの妙でヒネリを効かせた、現代的な井田流カレッジスタイル。

今回、改めてスタイリングを手がけてみていかがだったでしょう?

井田驚いたのは、とにかく汎用性の高いブランドだということです。ドレスのように着こなすこともできるし、自分が普段持っているコーディネイトのなかに取り入れても、しっかりとフィットする。王道のジャケットスタイルなら簡単にコーディネイトを組むことが可能なぐらい着こなしの幅が広いブランドです。テーラード、カジュアル、スポーツ、トレンドとあらゆる要素にフィットするジャケットって、ほかにあまり見かけませんよね。

若者のジャケット入門編にも、大人の着崩しアイテムにも。

〈Tジャケット〉はどんな人にお勧めのブランドだと思いましたか?

井田まだジャケットを持っていない20代なら普段から着ている古着やカジュアルのコーディネイトに加えるだけでもスッと馴染みますし、ジャケットスタイルを着崩すのにも慣れてきた30代以降の方ならもっと思い切った着崩しにも挑戦できるブランドだと思います。まさしくジャケットを着るというよりも、カーディガンや羽織りもののような感覚で取り入れられるアイテムですね。

ユーザーのなかには普段からカバンのなかに入れておいて、ジャケットを着なくてはいけない時に羽織る、といった使い方をしている人も多いようです。

井田ラフに扱える仕立てだからなのはもちろん、どんなコーディネイトにでもハマりやすいデザインだからこそできる使い方ですね。ぼくも最近はジャケットを着たい気分なんですが、カッチリとした仕立てのジャケットは吊るして持ち運んだりしなくてはいけないため、面倒臭いと思うことも多い。〈Tジャケット〉のようにラフに扱えるのに品があるアイテムは貴重です。

コーディネイトする時に気をつけておきたいポイントはありますか?

井田あくまでサルトリアの技術を盛り込んだブランドですので、着崩す際には靴や時計はエレガントなものを選んだほうがまとまりやすいように思います。あとは「ワークをドレスっぽく」や「アイビーを現代的なシルエットで」など、自分のなかでひとつ筋を決めてから組み合わせるとうまくいくのではないでしょうか。フォーマル寄りに着ても良いのですが、個人的にはトレンド感のあるアイテムとの相性の良さが特に際立っているように思います。

Tシャツ感覚のジャケットを、井田正明が最大限に遊び尽くす。

「タイドアップしてビジネスカジュアルなコーディネイトにマッチすることはわかりきっているので、今回はあえて提案型の着こなしを作りました」と語る井田さん。〈Tジャケット〉を題材に、いま井田さんが気になるアイテムとともに組み合わせることで、トレンドを踏まえた新鮮味を感じるスタイリングが完成しました。

Style_01

Stylist Comment

「ネイビーのワントーンの組み合わせで、ジャケット、インナー、トラウザーズとそれぞれ違う素材感のものを使用することでコントラストをつけています。また、ビッグサイズのニットポロをインナーに合わせて、裾丈で遊びを加えています。レザーのベースボールキャップと厚めの底のスニーカーを小物使いし、品良くスポーティに仕上げました」

About The Jacket

ストレッチ入りのシアサッカー素材を使用した2つ釦ジャケット。シアサッカーならではの縮緬皺も控えめでネイビー×ネイビーの組み合わせのため、ソリッドに着用することが可能です。スーツ用のシアサッカーよりも軽めのオンスの生地を使用し、軽快感を加えています。¥57,000+TAX(三喜商事)

〈Tジャケット〉ジャケット ¥57,000+TAX(三喜商事株式会社 / 03-3470-8237)、〈イズネス〉ポロシャツ ¥26,000+TAX(レショップ / 03-5413-4714)、〈エース〉Tシャツ ¥13,000+TAX(にしのや / 03-6434-0983)、〈トゥモローランド〉パンツ ¥18,000+TAX(トゥモローランド / 0120-983-522)、〈フットストック オリジナルズ〉スニーカー ¥33,000+TAX(エディション 表参道ヒルズ店 / 03-3403-8086)、〈インターナショナルギャラリー ビームス〉キャップ ¥7,500+TAX(インターナショナルギャラリー ビームス / 03-3470-3948)、ヴィンテージ時計 ¥358,000+TAX(江口時計店 / 0422-27-2900)

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Stylist Comment

「あえてオーバーオールと組み合わせてみました。デニム生地ではなくコットンリネン素材のものを使用したり、品の良いレザーのサンダルを組み合わせることでラフになり過ぎないようにしています。キャメルのカーディガンを羽織るような感覚ですが、ラペルのついたジャケットと組み合わせることで、より大人な着こなしになるように思います」

About The Jacket

網目でニュアンスをプラスしたコットンニットの裏側にポリエステルをボンディングすることで生地として成立させたブランド最軽量の素材を使用した2つ釦ジャケット。生地には撥水加工を施してあるため、少々の雨ならば気にせずに着用することができます。¥59,000+TAX(三喜商事)

〈Tジャケット〉ジャケット ¥59,000+TAX(三喜商事株式会社 / 03-3470-8237)、〈クリスタセヤ〉シャツ ¥78,000+TAX、〈ニート〉オーバーオール ¥45,000+TAX、〈リプロダクション オブ ファウンド〉サンダル¥15,800+TAX、〈セイント リタ パーラー〉パスケース¥16,000+TAX(以上すべてレショップ / 03-5413-4714)

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Stylist Comment

「一歩先をいったジーンズのスタイリングをつくりました。いまファッション感度の高い人が注目しつつあるブーツカットの生デニムを、上品なモックネックのニットTシャツやドレッシーな革靴と組み合わせることで、ブーツカットのデニムが外しになり程よいファッション性が生まれます。ダブルでもフロントオープンで着用できる身頃に仕立ててあるので、中に古着のプリントものを組み合わせるのもいいですね」

About The Jacket

赤、白、青のトリコロールカラーの糸を使用してチェック柄を表現。太番手の糸を甘めに打ち込むことで生地そのものに立体感をもたせつつ、通気性も確保。一見すると分厚い生地のように見えますがレディース用の素材のため軽量で、着用感も軽量かと清涼感に溢れています。¥67,000+TAX(三喜商事)

〈Tジャケット〉ジャケット ¥67,000+TAX(三喜商事株式会社 / 03-3470-8237)、〈ジョン スメドレー〉ニットTシャツ ¥25,000+TAX(リーミルズ エージェンシー / 03-5784-1238)、〈ラングラー〉ジーンズ ¥8,200+TAX(ジャンティーク / 03-5704-8188)、〈カルマンソロジー〉シューズ ¥93,000+TAX(ビームス 六本木ヒルズ / 03-5775-1623)、〈アイヴァン 7285〉サングラス ¥49,000+TAX(アイヴァン 7285 トウキョウ / 03-3409-7285)、ヴィンテージ時計 ¥218,000+TAX(江口時計店 / 0422-27-2900)

井田正明 / スタイリスト

1986年生まれ、埼玉生出身。川村都スタイリストスクールを卒業。五十嵐孝智氏に師事したのち、2011年に独立。ファッション雑誌・広告・ブランドのカタログでスタイリングを手がけるほか、各種媒体で連載を持つなどフィールドを問わず幅広く活躍中。

三喜商事株式会社

03-3470-8237
www.sanki-brand.com

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