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麗しき文化の風が薫る、ビショップ 出西店に行くべき理由。

麗しき文化の風が薫る、ビショップ 出西店に行くべき理由。

暮らしにそっと寄り添うような衣類、雑貨などを幅広く取り揃えるショップ「ビショップ(Bshop)」。昨今、“ていねいな暮らし”という言葉がメディアに頻繁に登場していますが、そのずっと前からグッドリビングな提案を続けている素敵なお店です。そんな「ビショップ」がこの春、島根県は出雲市に新しいお店をオープンさせました。なぜ出雲なのか。そこには「ビショップ」らしい、誠実で芯の通った理由がありました。

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出雲という土地に根ざして。

「ビショップ 出西店」がオープンしたのは、かの有名な出雲の窯元「出西窯」の向かい。「出西窯」のショップである「くらしの陶・無自性館」のベンチに座った「ビショップ」の創業者が、「ここにお店があったらいいな」と夢想したことからこの話はスタートしたそうです。というのも、もともと「ビショップ」では「出西窯」の器を取り扱っており、その付き合いは10数年に及んでいたのです。

長き構想を経て、ついに動き出した「ビショップ 出西店」の開店プロジェクト。お店を作るにあたり、参考にしたのが「ビショップ」の系列ホテル「ホリデー ホーム(HOLIDAY HOME)」。“暮らすように泊まるホテル”というのがテーマだけあって、訪れた誰もが心休まる空間である「ホリデー ホーム」のマインドを、今回は「ビショップ」流にアレンジしています。

お店の前には、2本の柳の木が優雅にそびえ立っており、まるで門のようにしてお客様を出迎えてくれます。幽玄で穏やかなシンボリックツリー、今は新緑がなびいており一見の価値ありです。

建物自体ができたばかりなので、当然真新しいのですが、どこか落ち着いた雰囲気をも感じられるのはなぜでしょうか。聞けば、ショップの一部には古材を使用しており、外の地面に敷かれた木には鉄道の枕木として活躍していたものもあるそうです。

店内には、「ビショップ」が常日頃から大切にしている「everyday classic」のコンセプトを体現するプロダクトがずらり。 “服も雑貨も暮らすための道具と捉え、人々の暮らしの中で長く親しまれ、時を超え、歴史を生き抜いていくもの”という言葉通り、男女分け隔てなく、暮らしにすっと馴染むシンプルでエバーグリーンなアイテムがショップを彩ります。

フイナム的にも気になるブランドがたくさん。〈オーシバル〉、〈ダントン〉、〈オーラリー〉、〈アークテリクス〉、〈ゴールドウイン〉、〈ニードルズ〉、〈サイ〉、〈バックジャック〉、〈オアスロウ〉などなど。

基本的には他の「ビショップ」のお店と変わらないラインナップが揃います。

オープン記念の限定品としては、〈オーラリー〉とつくった、クルーネックTとソックス。色合いがなんとも滋味深くて、〈オーラリー〉らしいし、「ビショップ」らしいし、出雲らしいなぁと。

店内に置かれた什器、家具にはアンティークと新品を混ぜることで、ショップの奥行きを表現しています。時代がバラバラなのに、まったくブレた感じがしないのは「ビショップ」というフィルターをしっかり通しているからに他なりません。

「ビショップ」といえば服のほかに、らしさの象徴であるのが生活雑貨。出西店でも、看板ブランドのひとつであるロンドン発の〈レイバー・アンド・ウエイト〉はもちろん取り扱っています。和な空間のなかに自然と馴染む洋の道具。誰でも取り入れやすい和洋折衷のお手本がここにはありました。

お店の横にはちょっとした広場のスペースがあり、敷地内には桜の木も植えられています。ベンチも置かれているので、後述するベーカリー「ル コションドール出西」でパンを買ってきて、お花見と洒落込むこともできます。

ショップの外側を囲む石垣で使われている石は、江戸時代には松江城や城下町の至るところで使われていたという、島根県の来待石(きまちいし)です。江戸時代には藩主が持ち出しを禁止したくらい貴重なものだそう。こうしたところでも、出雲の歴史が感じられるような設計となっています。

「ビショップ」と「出西窯」の深い関係性については、前述した通り。ここからはこの土地の文化の担い手でもある「出西窯」について、少しだけご紹介していきます。

民藝の巨匠たちの思いを乗せて。

「出西窯」は民藝運動の影響を受けて、戦後に新しくできた民藝の志を持つ窯元です。戦後、地元でなにかものづくりを、しかも美しいものができないかと考えた若者たちが、焼き物に使える粘土がここ出雲にあるということで、陶器づくりを始めたのがきっかけ。そのなかで島根県出身の陶芸家、河井寛次郎との縁があり民藝に出会い、さらに濱田庄司やバーナード・リーチなどの名士たちの指導を受けながら、いまの出西窯の形になっていったわけです。

写真の建物は、明治初期の米蔵を移築、改築して建てられたという「くらしの陶・無自性館」。なかでは数々の陶器が販売されており、「出西窯」の一部に気軽に触れることができます。

この日は「出西窯」の代表であり陶工でもある、多々納真さんに窯場を案内してもらいました。

現在、「出西窯」のスタッフは全部で23名。そのなかで、ものづくりに携わっているのは11名の陶工と2名の研修生だそう。「島根県ではわりと大きい工房ですね」と多々納さんはさらっと話していましたが、人手不足に悩む工房が多いなか、なかなかの盛況ぶりなのではないでしょうか。

民藝の理念を引くまでもなく、ここ「出西窯」では毎日の暮らしで使える、いわゆる普通の食器を日々丁寧につくり続けています。2017年に創業70年を迎えた「出西窯」。今でこそ事業に勢いもあるようですが、それまでには苦境の時代もあったそうです。陶器製造だけではなく、暮らし全体にまつわる価値を提供しなければならない、そう考えるようになった多々納さんが、ブレイクスルーのひとつのきっかけとしてあげるのが、「出西窯」に隣接しているベーカリー「ル コションドール出西」のオープンです。

元々は鳥取に店を構えていた「ル コションドール出西」ですが、店主の倉益孝行さんが初めて「出西窯」を訪れた際に、この出雲の土地に一目惚れしたそう。多々納さんもお土産で食べた「ル コションドール」のパンの旨さに衝撃を受けたそうで、その相思相愛ぶりは、昨年5月にお店がオープンすることで結実しました。

「ル コションドール出西」では、「出西窯」でつくられた器が使われており、食と住が相互に良い影響を与え合う有機的な環境が生まれていました。さらに今回、“衣”を担う「ビショップ 出西店」がオープンしたことで、晴れて衣食住が完成しました。

「ビショップ 出西店」はこうした背景のもとに生まれたショップなのです。

それぞれのショップがあるこの土地は、いまは「出西くらしのvillage」と名付けられ、市内はもちろん、県外からも多くの人を呼び寄せています。ひとつだけでも十分に魅力的なコンテンツなのに、それが三つも寄り集まっているのですから、その盛況ぶりにも納得なのです。この稀代の“文化村“は、わざわざ行く価値のあるディスティネーションスポットであると断言しておきましょう。

Bshop 出西店

住所:島根県出雲市斐川町出西字高林1358-3
電話:0853-25-7332
営業:10:00~18:00火曜休
bshop-inc.com

出西窯 くらしの陶・無自性館

住所:島根県出雲市斐川町出西3368
電話:0853-72-0239
営業:9:30~18:00火曜休

ル コションドール出西

住所:島根県出雲市斐川町出西3368
電話:0853-27-9123
営業:9:30~18:00火曜休 第2・4水曜休

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