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FEATURE|monessay ─ガラスの天井

monessay ─ガラスの天井

monessay ─ガラスの天井

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。某誌でずいぶん長いこと連載していたコラムが休載し、フイナムにて装いも新たにスタートです。今回は〈オメルサ(OMERSA)〉の「RHINO」。

  • Text_Toshiyuki Sai
  • Photo_Kengo Shimizu
  • Edit_Ryo Komuta
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第二十七回 ガラスの天井

の中はアンフェアにできている。

まれながらに銀のスプーンを口に生まれてくる者もいれば、虐待する親の元に生まれてくる不幸な者もいる。機会の均等という概念はあるが、果たしてどこまでそれが公平に運用されているのか。恣意的な理由によってその公平さがどうもうまく機能してなさそうな事案ばかりが目立つように感じる。ガラスの天井はやはりある。

ういうのに敏感でリベラルなハリウッドは、反応が早い。3年前のアカデミー賞でアフリカ系の俳優が全然いないという問題で批判が集まった翌年の作品賞は『ムーンライト』。アフリカ系アメリカンが主人公で、しかもゲイというまさにLGBT、レイシャルダイバーシティに配慮したような展開。ウォーレン・ベイティが手違いで『ラ・ラ・ランド』と発表した後での大どんでん返しだったから鮮明に記憶に残っている。

ま大ヒット中の『アヴェンジャーズ』も、そのユニバース中の『ブラックパンサー』でアフリカ系ヒーローをフィーチャーした。ヒーローものにしては珍しく今年のアカデミーの作品賞にもノミネートされ、結果作曲賞と衣装デザイン賞と美術賞を受賞した。

なみに今回の『アヴェンジャーズ・エンドゲーム』でも女性ヒーローが一気に並ぶというシーンもある。個人的にはこのシーン、ちょっと鳥肌立った。

にかくいまのこの世の中は、いろんな人に配慮ということである。

の意識、どちらかというと上から目線。つまり持っている人たち史観である。

たアカデミーの話であるが、今年のアカデミー作品賞受賞の『グリーンブック』をスパイク・リーが大いにディスったのも、根底にはこれがある。白人の考える、お涙頂戴友情劇というわけだ。

人的にはそこまで考えず楽しく鑑賞したのだが、そこまで根が深い問題なんだなと感じた次第。

稚園の頃の幼馴染にTくんというのがいた。こちらは昭和の中流家庭で育ったが、彼は広い庭に大きな平屋のそれはそれはとてつもなく大きい家に住んでいた。スクールバスが一緒で比較的家も近くてよく遊んでいたのだが、小学生で別の学校に行きだした頃から向こうの親のこちらに対する態度がどうも冷たい。これはある程度の年になってわかったことで、当時は気が付きもしなかった。やはりこのバイキンまみれの、こ汚いどこかの小倅は学友としては適さなかったのかもしれない。

の家の玄関のホールにあった豚の置物が、まだ目の奥に焼き付いている。

は経ち、とある芸能プロダクション社長の家に招かれた。新築祝いである。

時、トレンディドラマで活躍する新進の俳優さんや女優さんを抱えていた事務所の社長で、エットーレ・ソットサスにでも頼んだかのようなポストモダンな家であった。ちょうどバブル真っ最中だったので土地の値段もとてつもない時代なので、莫大な敷地とは言えなかったが、『ブルータス』の「居住空間学」を地でいくようだった。

このリビングにも豚の置物があった。

代はくだり、ぼくの恩師が広尾にマンションを買ったというのでそちらにもお邪魔した。天現寺交差点からほど近い物件で、一人暮らしの1LDK。でも内装にマホガニー材を使い、ラルフ・ローレンの書斎かといわんばかりの凝りよう。内装にかかった費用だけでも港区に高級物件が買えるほど。

の主人の一人がけソファのオットマンも豚の置物だった。

功者の家には必ず〈オメルサ〉がある。

日、青山で時間が空いたので「シボネ」に入った。

イが目に飛び込んできた。

名が「ライノ」なのでどうしても目がいく。いけ好かないサイ。

ラスの天井を抜けたとは言えないけど、なんとなく成功者の仲間入り気分を味わってみたいな。

¥160,000+TAX

蔡 俊行

フイナム発行人/フイナム・アンプラグド編集長。マガジンハウス・ポパイのフリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

シボネ青山

電話:03-3475-8017

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