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FEATURE|monessay ─生活様式の変化

monessay ─生活様式の変化

monessay ─生活様式の変化

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。某誌でずいぶん長いこと連載していたコラムが休載し、フイナムにて装いも新たにスタートです。今回は〈ボタナイズ(BOTANIZE)〉の塊根植物。

  • Text_Toshiyuki Sai
  • Photo_Kengo Shimizu
  • Edit_Ryo Komuta
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第二十八回 生活様式の変化

はライフスタイルのなかで最優先事項ではなくなった。服が以前ほど売れなくなってきたというのは、この要因が大きい。

前は自分を表現する最優先手段というのはアウトフィット、つまり服であった。以前というのは2000年代まで。人気のショップに並んだり、レアものをゲットしたり、人によっては高級ブランドのアイテムを身につけたり。自分は他とは違うんだ、あるいは特定のグループに属したい、なんて気持ちを持っているものにとっての服は、差異化の象徴であり、また制服的なものでもあった。

かし10年代に入って様相ががらりと変わってきた。

ももちろん大事だが、他にも自分を表現できる、つまり人から認められる手段がいろいろできてきた。インスタ映えという言葉が象徴するように、所有物より経験値のほうが、より自分らしさを表現できると。

間とバーベキューしている自分、絶景を楽しんでいる自分、予約困難なレストランで食事している自分。そういうものが服よりも優先順位が高い。で、可処分所得には限りがある。

90年代の裏原宿ブームは、団塊ジュニアというデモグラフィックと、自己愛を肯定してもいいんだという時代背景も組み合わさって爆発したものだと思われる。

まはその反動ともとれる。

行は常に反発であるから、遠くない将来、また服ブームがくるかも。

れはともかく。

くらが若い頃は海苔弁食って、コム デ ギャルソンの服を着るとか、四畳半に住んでフェラーリ的な時代だった。実際やってた人がいたかどうかはともかく、そういう時代だった。いまの若い人の価値観でこんな生き方をしたい人はたぶん少ないと思う。みんなバランスいいライフスタイルを送っているはずだ。

う、バランスのいい暮らし。いま服は安くなってきてそれなりにおしゃれなものも簡単に手に入る。家具やインテリア雑貨も昔に比べ、選択肢は広がり、相対的に価格も安くなった。AV家電やエレクトロニックガジェットはiPhone一台で事足りる。

んな隙間にぴったり入ってきたのがボタニカルブーム。

度に所有欲が満たされるし、おしゃれ感も強く、インテリ的で、他の人と差別化できるインテリア。それなりに手入れもいるからそれなりのコミットも必要。しかしおとなしく、扱いやすいペット。精神安定性にも一役買う。

前うちにいたスタイリストのSは、廃業し植栽職人になった。これは極端な例だけど、なんとなくみんなこっちの方へゆっくりと流れていっているような気がする。

、塊根植物。サボテンなどの多肉植物のブームのあとにやってきた。

でに何度も我がフイナム・アンプラグドでも取り上げた。すこし斜に見ながらだったのだが、なぜかこれにハマった。

ま自分のデスクの後ろの窓辺にとても形のいいパキポディウムがある。

事冬を越し、いまは青々しい葉っぱがピンと張ってきた。

んだかとても楽しい。

かに新しいジャケット買うより、こっちを手にいれたくなる気持ちになる。

(写真左)ペラルゴニウム・カルノーサム ¥17,500+TAX / 鉢:Konect ¥6,500+TAX
(写真中)ペラルゴニウム・トリステ ¥21,000+TAX / 鉢:SHO-DO ¥5,000+TAX
(写真右)アローディア・コモサ ¥10,200+TAX / 鉢:然(ZEN) ¥6,800+TAX

蔡 俊行

フイナム発行人/フイナム・アンプラグド編集長。マガジンハウス・ポパイのフリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

ボタナイズ

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