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FEATURE|Let’s Try Trail Running!
トレイルランナー鏑木さん、山を走るってそんなに面白いんですか?

富士山をぐるり一周160km走る。そこには他にないロマンがある。

ー続いて、鏑木さんが実行委員長を務めるUTMF(ULTRA-TRAIL Mt.FUJI。富士山のまわりをぐるりと走る約160kmのトレイルランニングレース)についてお聞かせください。2012年にスタートして、今年で5年目。これまでの歩みを振り返ってみて、今どのような思いですか?

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2012年に開催された第一回大会UTMFの模様。晴天に恵まれ、富士山がくっきり

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こちらは2014年大会の様子。日没以降、ランナーたちはヘッドランプで足元を照らしながら夜の山道を走る

鏑木:UTMFは、日本でも本格的かつ国際的な100マイルのレースをつくりたいという思いで2012年にスタートしました。トレイルランニングは競技じゃなくて遊びだから大会は必要ない、という考え方もあるかもしれませんが、それはそれとして、スポーツとして盛り上げていくには最終的に目指すべきところとして、日本の頂点としての大会の存在が欠かせません。そういう意味では、UTMFはいいかたちで役目は果たしつつあるかなと思います。まだまだ道半ばではありますし、今年は悪天候の影響で残念な結果になってしまいましたが。

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2016年のUTMFは悪天候の影響で距離が169km→44kmと大幅に短縮して開催された

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UTMFのハーフ版であるSTYは大雨のなかスタートし、開始から約3時間で中止となった

—UTMFは抽選になるほど人気の大会ですよね。トレイルランニングに興味がない人からすると、山の中を160km走るとか意味不明だと思うのですが、なぜそれほど多くの人を惹きつけているのでしょうか?

鏑木:ロマンがあるから、じゃないでしょうか? 自分も初めてUTMB(Ultra Trail du Mont Blanc。ヨーロッパアルプスの最高峰モンブランのまわりをぐるりと走る約160kmのトレイルランニングレース)に出たとき、シャモニの街から雄大なモンブランが見えて、これからそこを一周するのかと思うと、強烈な物語性を感じてわくわくしました。と同時に、走っている最中はものすごくツラかったけれど、走り終えて、トレイルランニングって距離が長いほうが面白いな、とも感じました。自分はそれを日本でやるなら富士山だろうと思ってUTMFを始めましたわけですが、モンブランや富士山のような巨大な山をぐるっとラウンドするというのは、他にはないロマンがありますよね。

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2007年、UTMBに初挑戦したときの鏑木さん

やればやるほど奥が深く、飽きることがない。

ー鏑木さん自身、走るときのギアやスタイルへのこだわりはありますか?

鏑木:走っているときにストレスがかからないことがいちばん大切。そして、機能はもちろんですが、見た目も重要です。カラーやデザインによってモチベーションが左右されるので、気持ちが高ぶるものを選ぶようにしています。

ートレイルランニングは「競技」であると同時に、「遊び」としての側面がありますよね。

鏑木:そうですね。競技者としてはともかく、遊びとしてのトレイルランニングは死ぬまでやり続けていると思います。僕はもともとロードランナーで、箱根駅伝を目指すような高いレベルでやっていたのですが、それも疲れ果てて、飽き飽きして、3〜4年ほど空白期間があった後に、トレイルランニングと出会いました。それから20年以上経ちますが、やればやるほど奥が深くて、まったく飽きることがありません。

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山を走る快感は、味わった人にしかわからない。

ー鏑木さんにとって、山を走ることの本質的な魅力ってどういったところにありますか?

鏑木:「爽快ですよ」とか「移り変わる景色が素晴らしいよ」とか、人に伝えようとするときの言葉はいろいろあります。けれど、どんなに言葉を尽くしても、結局は、実際に自分でやってみないとわからないと思います。

もちろん、山を走ることはそれなりにハードで、疲れます。でも、山で徹底的に疲れる経験って、すごくポジティブに感じられるんですよ。都会の雑踏で疲れることとはまったくの別物です。

繰り返しになりますが、山を走る快感は、味わった人にしかわからない。やったことがない人は、ぜひやってみてください。

ー最初の一歩はどこから始めればいいですか?

鏑木:ショップやブランドが主催している初心者向けのイベントやセミナーがいろいろあるので、最初はそういったものに参加するのが良いと思います。あるいは経験者に連れて行ってもらうのもいいですし、初心者向けと謳っている短い距離のレースに出てしまうのも手だと思います。

いずれにせよ、僕が始めた20年前に比べたら、トレイルランニングを取り巻く状況も様変わりして、初心者でも始めやすい環境になっていると思います。

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トレイルランニングがもっと社会に受け入れられるために。

ー鏑木さんはトレイルランニングの第一人者として、このアクティビティを今後どのように育てていきたいですか?

鏑木:だいぶ認知はされてきましたが、「山は歩くもの」と考えている人は今も少なくなく、まだまだトレイルランニングは異質なものとして捉えられているのも事実です。山の楽しみ方のひとつとして健全なかたちで根付いていけばと思っています。

そのためには、ハイカーとすれ違うときは立ち止まる、あいさつをするといったマナーやルールの徹底は欠かせませんし、トレイルの整備やクリーンナップイベントといった自然を保護する取り組みも不可欠です。今後も様々なかたちで、トレイルランニングが社会に受け入れられるような流れをつくっていきたいですね。

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