MINI Interview with 荘子it

これまでなかったカラフルなカラーリングが1980年代に革命を起こした「TOP PLAY」の復刻版。レトロなルックスがいまのトレンドにマッチしている。
ー まず、フイナムの読者にあらためて、Dos Monosの自己紹介をお願いします。
荘子it:はじめまして、ヒップホップグループ・Dos Monosのリーダーの荘子itです。ぼくがつくったビートにTAITAN MANと没というクルーと3人でラップを乗せて活動してます。三人とも中学と高校の同級生です。
ー ロサンゼルスの名門レーベル「Deathbomb Arc」との契約が話題になり、3月20日に1stアルバムをおよそ半年前にリリース。バンドになにか変化はありましたか?
荘子it:このアルバムは、同級生の友達とつるんで培ってきたことの総決算的なアルバムです。たしかな手応えと自信があったので、多くの人に聴かれたりするようになった実感もありつつ、個人的にあんまり浮き足立ったりはしてないです。ですが、色んな素晴らしいアーティストと一緒にやれるようになったり、音楽家として成長するためのいい環境ができてきたと思います。これまでは本当に家族や知人の中でも孤立してて、こんな変な音楽やってて自分は大丈夫なのかみたいな不安は大いにあったので(笑)。その意味ではやっぱりちゃんとアルバムを出して良かったと感じています。
ー 日本のほかのアーティストと接点が見えてこないというか、“自分流” をいっているアーティストだなと感じます。日本のヒップホップシーンの中で客観的にみてDos Monosの立ち位置をどう見てますか?
荘子it:日本のヒップホップシーンではかなり孤立してると思いますが、ジャズやプログレ、アヴァン・ポップからの影響を受けた現代の音楽としては、とても真っ当なことをやってると思ってます。
ー 雨のパレードや向井太一さんへの楽曲提供やリミックスを手がけるなど、荘子itさんのソロの活動も目に止まりますね。と、いうことは別に日本の音楽シーンへの嫌悪感があるわけではないですか?
荘子it:まったく無いです。自分がダサいと思う音楽が嫌いなだけで、ポップなものが嫌いなわけではなくて。そういう意味で自分はあんまり社会的なアティチュードがないのかもしれません。自分が美しい、あるいはせめておもしろいと思えるものならすべてが尊いと思ってます。
ー 初のMVにもなった『in 20XX』もそうですが、バンドの不穏な雰囲気はどこからきているんでしょうか? 何かモチーフがあったり?
荘子it:モチーフというのをあまり決めずに、まず音に集中してビートをつくり上げ、次にそこから自由連想的にラップを書きました。そうして出来上がったものに相応しい映像を検討するという場当たり的な創作の仕方をしていて。作品の自己分析はあまりしないようにしてますが、違和感や不穏な雰囲気の正体は、ぼく自身が既存の音楽に抱いてるイメージがそのまま表出した結果だと考えています。野暮に説明しなくてもぼくに舵取りを任せてくれるのがDos Monosなので、長年の友人関係だからこそつくれたMVですね。

ー セルジオ タッキーニとのはじめての出会いはいつだったのでしょうか? PVで帽子を着用していたり、個人的にも好きだとか。
荘子it:〈ゴーシャ ・ラブチンスキー〉とのコラボ商品をはじめてみたとき、タッキーニの頭文字 “ST” のロゴが顔みたいでめちゃめちゃ可愛いなと思って。そこからスポーツ、特にテニスのブランドとしての印象が強いタッキーニの服を日常の中で着てみるのって面白いなって。ストリートファッションでスポーツブランドって当たり前に流行ってますが、それにそのまま乗っかりつつも、微妙にオルタナティブな感じを出したいっていう自分の気質に合ってるという感じです。
ー 今回はブランドの代表的スニーカー「TOP PLAY」を履いてもらいました。感想を教えてください。
荘子it:カラフルな色使いの靴って服に合わせづらいイメージがあるんですけど、履いてみて「全然いい感じじゃん」って思えたので、今後はどんどん履いていきたいですね。靴だけみて脳内でコーディネートするだけでは浮かばなかったしっくり感があったので、先ずは履いてみることが大事だなと思いました。
ー セルジオ タッキーニとコラボレーションしたDos Monosのアパレルもつくってましたね。どんな仕上がりになりましたか?
荘子it:半袖シャツは、パーカーを着た猿が描かれたDos Monosのアルバムジャケットをつかったオリジナルアイテムがベースになっています。それは胸にDos Monosの手書き風ロゴが刺繍されたデザインだったのですが、このコラボではイラストをポップなイラスト風の〈セルジオ・タッキーニ〉のロゴに差し替えて、特殊な素材で浮き上がらせてプリントしました。刺繍もそうですが、文字やイラストが浮き上がってる服って生々しい感じがしてとても好きなんです。もう一つのアイテムはロンTで、半袖のロゴとは別にあるDos Monosの近未来風ロゴとバックプリントを組み合わせて、こちらは少しメカニックな感じを出しました。どちらも自分からデザインの提案をさせてもらって、それぞれとても気に入ってますね。

ー 最後にDos Monos、そして荘子itさん個人的な展望を教えて下さい。
荘子it:Dos Monosは今年中に新曲をリリースを予定してますが、いまは主にソロアルバムの制作に集中しています。1st アルバムをアメリカのDeathbomb Arcからリリースしたこともあり、海外のリスナーやアーティストから認知される機会を得られたので、今後はさらに広く、世界中のアンダーグラウンドなシーンに新しい火をつけるような音楽活動をしたいですね。大きなヒットとは違う形で、ゲリラ的に、バグのような形で世界中にたしかな刺激を与え、結果的に後世にも残るものをつくっていくぞ、というのが最大のモチベーションになっています。
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