世界遺産のある島。

とある旅行会社が実施したアンケートの中に「旅の目的は?」という質問があった。“リラックスしたい”“美味しいものを食べたい”“日常から逃れたい”というのが上位3つの答え。実はこれ、日本人に調査したアンケート結果で、アメリカ人やイギリス人、中国人にも同様のアンケートを行っている。順位は多少異なるが、前述した3つの答えはどの国でもトップ10に入っていた。ただし、日本人のみ10位以内にランクインした答えがある。それが”世界遺産を回りたい”というものだ。

これを素直に受け止めると、“美味しいものが食べられて、リラックスでき、非日常が味わえる。加えて世界遺産も観光できる”。それこそが、今日の日本人が求める最高の旅なのかもしれない。そして奇しくも、いま旅好きの間で注目を集め、2018年7月には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産登録を果たした「長崎・五島」こそ、それらの欲望を満たしてくれるうってつけの場所なのだ。

大小152もの島々から構成される五島列島は、冬は温かく夏は比較的涼しいという気候と、ほぼ全域が西海国立公園に指定されるほど豊かな自然を残している。なかでも五島列島最大の面積を誇る福江島を有する五島市は、九州本島からのアクセスもよく宿泊施設も多いので、五島列島の旅の拠点にオススメ。何よりリラックスでき、日常から逃れられるスポットと島グルメ・島ごはんと称される美味しいものが充実しているのが五島市の魅力なのだ。
歴史と文化のクロスポイント。

外壁はレンガ造りの楠原教会。

青空に映える水ノ浦教会。

堂崎教会にある銅像。
では、いくつか訪れるべきスポットを紹介していこう。まずは五島市内だけでも20ある教会だ。世界文化遺産となった「久賀島の集落」にある旧五輪教会や「奈留島の江上集落」にある江上天主堂をはじめ、禁教令解除後の五島最初の教会、堂崎教会やロマネスクやゴシック、和風建築が混合した木造教会、水ノ浦教会なども押さえておきたい。


高浜ビーチ。
次は「高浜ビーチ」。天然の海水浴場としては日本一の美しさを誇る白砂の海浜で、遠浅で澄みきった海は息をのむほどに美しい。水色、青色、藍色と深まりゆくグラデーションも秀逸だ。

大瀬崎園地からの展望。

自力で登れる鬼岳。
標高315mで全面が芝生に覆われた火山「鬼岳」は福江島のシンボル。反対側の尾根伝いのトレッキングでは眼下に福江の市街地などを望むことができる。晩夏はコオニユリ、秋にはリンドウなどの植物にも出会えるという。

海岸線の先端にポツンと立つ大瀬崎灯台。
そそり立つ断崖の上に建てられた白亜の灯台「大瀬崎灯台」も見逃せない。東シナ海の大パノラマが広がる日本の灯台50選のひとつ。また展望台から見る「大瀬崎灯台」と東シナ海に沈む夕陽という組み合わせも絶景だ。
肉、魚、野菜など島外に頼らない豊富な食材。


五島うどん。つるっとしたのどごしが特徴。

五島列島では新鮮な魚はもちろん、
肉、野菜を島内で生産するほど、食材が豊富。
食に目を移すと、日本の三大うどんのひとつ「五島うどん」やご当地和牛で長崎県外へはほとんど流通しない稀少な「五島牛」など、五島グルメは病みつきになること間違いなしだ。さらに全国屈指の好漁場で穫れる旬な魚も絶品。旅で“美味しいものを食べたい”人には堪らない。
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