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FEATURE
男性の服を女性が作る意味。
L'ECHOPPE × MADISONBLUE

男性の服を女性が作る意味。

「レショップ」のコンセプター金子恵治さんが企画して、〈マディソンブルー〉のデザイナー中山まりこさんがデザインする服が完成した。レディス向けに作られた服をメンズに落とし込んだら面白い、男性のセオリーと女性の感覚が同率で共存する洋服は新しい、そんな風に2人だからこその新しいバランスを大切にした、唯一無二のアイテムだ。誕生秘話から異性に“モテる”服の話、今後の展望についてなどを聞いた。

  • Photo_Yusuke Yamatani
  • Text_Kaori Watanabe(FW)
  • Edit_Ryo Komuta

PROFILE

金子恵治

レショップ コンセプター。セレクトショップ「エディフィス」にてバイヤーを務めた後に独立。自身の活動を経て、2015年に「レショップ」を立ち上げる。オープンから4年半の構想を経て、オリジナルレーベル〈LE〉を始動。

PROFILE

中山まりこ

マディソンブルー デザイナー。1980年代よりスタイリストとして活動。広告・雑誌・音楽のスタイリングをメインに活動。2014年、自身のブランド〈マディソンブルー(MADISONBLUE)〉を立ち上げた。

ー まずは今回のコラボレーションアイテム誕生に至る経緯を教えてください。

金子:もともと、まりこさんが「レショップ」のお客様で、よく店に来てくれていたんです。

中山:上顧客です、爆買い。「レショップ」に入ると、なんかすごくお金使っちゃうからね、なるべく入らないように…。

金子:最近、入ってくれなくなりました(笑)。というのは冗談ですけれど、いつの日か「話を聞きたい!」とまりこさんの事務所に呼び出されたんですよね、確か。

中山:うん、3年くらい前かな。「レショップ」のセレクトがとにかく面白かったのがきっかけ。私はメンズの洋服やユニフォームがすごく好きなんだけど、金子さんが〈マディソンブルー〉のコレクションを見てもらって、感想を聞きたかったんですよ。

金子:過剰なまでにつくりがよかったです。生地もパターンも。女性が作るメンズの洋服でここまでのものはとても珍しいし、僕自身、その“女性デザイナーによるメンズウエア”というものに興味があって、いつしかなにか一緒にできないかなという想いを3年間抱いていたんです。

中山:自然と、そろそろ一緒にやってみるか、という感じだったよね。金子さんにはワークシャツとかが響くのかと思いきや、カーディガンのように着用できる、クレープ素材の上襟のないレディスのタキシードジャケットにすごい反応していたことを覚えてる。

金子:はい、こんなアイテムがメンズであったら面白いのにって。それは自分の中にはない発想でしたからね。

ー 実際に動き出したのはいつ頃だったのですか?

金子:2019-20年秋冬に、まず別注のPコートをお願いしているんです。レディスアイテムのビッグシルエットのP コートなんで、サイズだけじゃなくて全体のバランスも、こう、なんていうか、本当に衝撃で…。

ー 金子さんの心をそんなにも動かした理由が知りたいですねー。

中山:私も知りたい(笑)。

金子:昨今、ビッグシルエットというのはよくある話だったんですが、僕が着ても大きいのに、これをレディスで作るんだ、大胆だなーって。想像をはるかに超える、規格外の“ビッグ感”でしたから。女性用に作られた規定外のビッグPコートを男性がそのまま着るバランスが面白いなと思ったんです。それで次に、僕が製作の過程でもう少し深く入って、メンズアイテムを作るのはどうかなと。インラインアイテムの別注でスタートして、「レショップ」でまりこさんのA面を見せたところで、次はB面の姿を引き出したいなと。

ー なるほど。そして今回のコラボアイテムとして、ジャケットとカーディガン、セットアップで着られるシャツとパンツの4型が誕生したというわけですね。

ジャケット ¥125,000+TAX

金子:はい。まずはジャケットです。ビッグPコートのパターンをジャケットに落とし込むという、結構新しいスタイルなんです。カーディガンもビッグサイズで作りました。

中山:金子さんが作りたいものに、私が意見を出して相談しながら進めていった感じだよね。

ー 面白いですね。男性が着たいものを女性が作る。服の歴史や背景から入る金子さんと、感覚やトレンドを大切にするまりこさん。そのミックス感やバランスが新しい服に導いたんでしょうね。

金子:そうです。今回は、なるべくそこを同率でやることを意識しました。まりこさんの感覚を男性も納得の作りでやった、超自信作です。

シャツ ¥36,000+TAX

パンツ ¥39,000+TAX

中山:パンツは、マッカーサーが来日した時に穿いていた、通称「マッカーサーチノ」から着想を得たもの。その話を金子さんにしたらいいねって言ってくれてね。かなり股上が深いパンツで、初めにリリースしたのは多分3,4年前かな。レディス向けのパンツだけど、うちの店でも結構男性のお客さんが買ってくれてたりもするんですよね。

金子:それで、僕の方はやっぱりマッカーサーの着ていた服の歴史なんかを調べちゃったりして(笑)。シャツとセットアップで着るのが面白そうだとかね、歴史を踏まえたものを提案する。するとまたまりこさんが、彼のスタイルをそのまま忠実に再現するんじゃなくて、ちゃんと削ぎ落としたり、現代風にアレンジしてくれて、それが可愛かったりするんですよね。

カーディガン ¥52,000+TAX

ー ディスカッションの重ね方が、ある種せめぎ合いですね(笑)。

金子:「レショップ」の僕らだけで作ったら、チノのセットアップになりそうなところですが、確か、まりこさんはじめ、女性陣がシャンブレーの方が可愛いよ!って言い始めて、なんだかやたらと盛り上がって、気がついたら、僕もそれに押されてました(笑)。結果的に軽やかな仕上がりになって、これがね、女性がセットアップで着てもすごく素敵なんですよ。

中山:あのさ、ちょっとここで聞きたいんだけれど、そのすごく素敵なの着てるね、と思う女性のことは好きになる?

ー 急にきましたねー(笑)。でもそれはとても気になりますね。金子さん、どうなんですか?

中山:なんかね、〈マディソンブルー〉の服を着ているとすごく男性に褒められる。だけど自分がモテている感じがしないっていうのを聞くの。男性目線で自分が素敵だと思う洋服を着てる女性って、服が素敵なの? それとも素敵な女性なの?

金子:……。

ー 即答しないところがますます気になりますね。金子さん、どうなんですか!!

金子:好きって色々あるなと思って…。服が素敵と素敵な女性…、恋愛感情とはまたちょっと違う可能性が…。

中山:女性って素敵な服を着ている素敵な男性って直結してて好きになって、ラブラブになれる感じがあるけど、男性は違うのか。

金子:でも、このメンズのシャンブレーのセットアップにパンプスを合わせている女性なんて憧れますよ。でもモテるかと言われるとどうだろう。ああ、しかもうちの店の女性陣もヒールは履かないって頑固だったな…。

中山:女性らしさをプラスするということか。勉強になります(笑)。でもさ、男性がかっこいいと思うもの、女性がかっこいいと思うものって違うから、一緒にやっていて面白いんだと思うな。自分らしさは残るけど、自分にないアイデアが膨らむ感じで、出来上がった時の高揚感は格別です。

ー 今度はぜひ、お二人で“モテる服”を作ってください。絶対噛み合わなさそうだけど(笑)。さて、では最後に、今、過渡期といわれるファッション業界ですが、これからのお二人の展望をお聞かせください。

中山:私は洋服を作り始めたときから変わらずに、洋服を通して、人とコミュニケーションをしていきたい。〈マディソンブルー〉を買ってくれる人に会いたいという気持ちが強いですね。だってお客さんからものすごくエネルギーをもらえるから。それでそのエネルギーで私がまた洋服を作る。そういうことを実直にやっていきます。

金子:僕も同じような感覚です。ここ1年くらい、ポップアップやイベントで全国を回っているんです。SNSもやってますが、実際の商品を自分の声で伝える、そういうリアルな見せ方はここへきて、やっぱり非常に大事だと考えています。今回の企画だって電話やメールじゃ無理で、実際にまりこさんとお会いして話して生まれたことですからね。人と人との直接的なつながりや接客は絶対になくならずに残っていくから、ますます大切にしていきたいです。

INFORMATION

L'ECHOPPE

住所:東京都港区南青山3-17-3 1F
電話:03-5413-4714
lechoppe.jp

MADISONBLUE

madisonblue.net