PROFILE

〈ヴァイナル アーカイブ〉デザイナー、ショップ兼ギャラリー「SALT AND PEPPER」オーナー。自らのブランドのほか、幅広くコラボレーションを手がけるなど多忙を極めるにもかかわらず、足繁く「カルペディエム青山道場」へ稽古に通う。柔術歴は2年と半年。帯の色は青。
個人で始めるのにちょうどいい。

ー 柔術を始める前はどんなイメージがありましたか?
大北:サッカーをずっとやっていたんですが、膝を怪我してしまい、そのリハビリを兼ねてキックボクシングをはじめたんです。有酸素運動だし、足をよく使うので近いかなと思ったんですね。それまでは、勝手に柔術のことは“暗く”て“怖い”というイメージがありました。ベールに包まれている感じ。
ー スポーツってどなたかの紹介で始めるパターンが多いと思うのですが、大北さんの場合はどなたかいましたか?
大北:カメラマンの(石毛)倫太郎くんですね。独特なオーラをもっている人で、その前から少し気になっていたんですが、柔術をやっているというのを聞いて、妙に納得したんです。なので、まず最初に人に興味が湧いて、そこから柔術につながりました。最初は本当に、すこーしやってみようかなあ、という興味本位で話をして、道場に見学に行ったんです。それで、すぐに入会しました。でも、1年行かなかった。やりたい気持ちはあったんですけど、やっぱり怖いっていう印象が勝ってしまったんでしょうね(笑)。見た目外国人や体の大きい人も多かったですし。それで、また縁があって青山の道場に通うようになったんです。でも行く前日とかは結構緊張してましたよ(笑)。


ー では、やり始めるまでは柔術が健康的なスポーツという印象はあまりなかったんですね。
大北:そうですね。自分でブランドもやっているので、虚栄心といいますか、一匹狼のように強がってしまうところが当時あったんです。漠然と強くなりたいというか。格闘技には興味はありましたし。でもPRIDEとかK-1というのではなく、もっと純粋にスポーツとしての興味がありましたね。


ー 柔術につながったキックボクシングを始めたきっかけはなんだったんでしょうか。
大北:これも、また知り合いなんです。いつも展示会に来てくれている方が通い始めたというのを聞いたのがきっかけですね。今も続けてて、まだ始めてから3年ほどです。今までずっとサッカーのようなチームプレーをやっていたんですけど、40歳を過ぎたら個人プレーもいいなと思うようになりました。結果が自分とダイレクトですし、言い訳もできないですし、黙々と一人ですべてやるといいますか。
今の仕事と似ている部分もあると思います。服や売り上げとかの、勝った負けたがあまり明確では無いなって。展示会で自分は気に入っていた服にオーダーがあまりつかなかったとか、予想外のものが人気だったりとか、ちょっと未知の部分が多かったんですよね。でも、柔術だとそうゆう部分がとてもクリア。たとえば組んだ瞬間に、「あ、この人強い」ってすぐわかるんですよね。
ー 仕事への影響も大きいんですね。
大北:自分自身も変わったと思います。仕事の間口で言えば、広げるところは広げるようになりました、おかげさまで。外の仕事も意識してやってますし。ぼくの閉じこもる癖が少し変わりましたね。でも大切な基盤だけは崩さないように、時間をかけて作っていくようにしています。その軸だけしっかりしてれば、あとは変わってもいい。軸の大切さといったあたりも柔術と共通するのかなと。