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柔術に魅入られた者たちの証言。ヴァイナル アーカイブ大北幸平
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柔術に魅入られた者たちの証言。ヴァイナル アーカイブ大北幸平

耳が早い人はすでに知っているにちがいない。ブラジリアン柔術(BJJ)という格闘技が、にわかに熱気を帯びていることに。アメリカ本国のグーグルでは社内福利厚生として、柔術クラスが社内で開かれるなどいわゆるホワイトカラーの人たちにも人気があります。ここ日本でも、ファッション関係者、グラフィックのデザイナー、スタイリストや弁護士、建築家などさまざまな職種の人たちが道場へ通い、マットの上で大量の汗をかいています。ハマり方も過剰レベルで、週3回以上稽古する方もザラ、毎日通う猛者もいるほど。いわば“柔術中毒家”たちを量産しています。そして柔術シーンを見渡すと「カルペディエム」という道場が人気実力が抜きん出ていることに、柔術をよく知る人であれば異論はないはず。格闘技やフィットネスとも親和性の高い〈リーボック〉ともパートナーシップを結ぶこの道場の魅力や、「カルペディエム」を率いる石川祐樹さんについて、そして柔術だけがもつオリジナリティ、そして仕事との関係性など、柔術を楽しむ3名に話をじっくりと伺いました。第一弾は〈ヴァイナル アーカイブ〉のデザイナー、大北幸平さん。

  • Photo_Shin Hamada
  • Text_Mayumi Yamase
  • Edit_Shinri Kobayashi

カルペディエム代表の石川さんってどんな人?

ー カルペディエムの道場には、今はどのくらいの頻度で通っているんですか。

大北:週4から6ですね。もちろん仕事もちゃんとしてますよ(笑)。仕事の区切りみたいな感じで行ったりもしますけど、結局は“強くなりたい”という気持ちが強いんだと思います。最初は精神面を鍛えたいと思っていたんですけど、まだぼくくらいの年数でそれを言うのは嘘っぽいですね(笑)。それを(カルペディエム代表の)石川さんに言ったら、苦笑いされましたよ。強い奴は強いし、弱い奴は弱いというシンプルな答えで、自分の期待していた答えとは違いました。でも自分と違うことが面白いなあと。ぼくは結構熱くなりやすくて、感動系も好きで、そうゆう要素も柔術にはあるのかなあと思ってたけど、石川さんはすごく淡々とされているんですよね。格闘技を十数年も続けて、それを仕事にするってやっぱりすごいなと思いました。

ー 石川さんという存在は大きいんでしょうか。

大北:あの人がカルペディエムだと思います。“石川さん=カルペディエム”です。いままでほかの道場がしていないことをされている。でも、破壊はされていないんですよ。最初は周りも驚くかもしれないけど、時が経てば石川さんのされていることがスタンダードになると思います。ほんとこの歳で知り合えてよかったな、と思います。カルペディエムは、先生方がみんな強いんですよね。めちゃくちゃ練習もしていらっしゃる。

ー カルペディエムに入る前は他の道場のことを知っていましたか?

大北:いくつか名前は聞いたことがあるくらいでしたね。僕はもともと寝技が怖かったんですよ。関節技とかって、とても痛そうじゃないですか(笑)。今もキックボクシング続けているのですが、例えばキックって、ワン、ツー、スリーって仕掛けるとそのままワン、ツー、スリーで戻ってくるものだと思ってて、こちらは攻撃のみで終わらせたいと思うのでコンビネーションをバラバラにしたりします。でも、柔術って、そこに入るまでに3つか4つのプロセスを経ていくと言うか。なので、柔術もキックボクシングも両方やっているのはとってもいいですよ。体のバランスも柔術だと下に重心を置くので下半身が強くなりますし、キックボクシングは上に持っていくことが多いので上半身が強くなります。人とは違うスタイルになるかなとも思ってて、両方続けているんですけどね。

ー 柔術の道着もたくさん持っているんですか?

大北:今は靴と古着と道着くらいしか買ってないです。最近(取材時)買ったのは、〈ジョンスメドレー〉のニットと道着ですね(笑)。今は15着くらいあります。言い訳としては、まあ使うので……(笑)。その分もちろん洗う回数も増えるんですけど、カルペディエムは使った後で道場で洗っといてくれるというシステムもあって。道場自体も他のとこに比べて、清潔感がすごいあると思います。

ー ある意味、格闘技や柔術の中では少し、変わった立ち位置の道場なのかもしれないですね。

大北:(石川さんも)いろんな葛藤を抱えていらしたと思いますよ。柔術や格闘技ってこんなにやってる人は多いのに、全然表に出ないっていうのは結構異色じゃないですか。

ー ライフスタイルの話に戻りますが、柔術は大北さんの生活の中でかなりのウェイトを占めてますよね。

大北:そうですね。3日間練習に行かなかったときは、ちょっとヤバかったですね。震え出しそうでしたもん(笑)。行かないと怖くなるんですよね。生徒さんもみんな優しいですけど、格闘技なんでみんなどっかで強くなりたいと思ってますし、そういった気持ちはありますよね。

ー 柔術はその競技の宿命として、人と密着することが多いですよね。そういう部分で何か変わりましたか?

大北:前ほどツンツンしなくなったと思いますね。あとは見た目で判断できないので、実はこんな強いおじさんいるんだなっていうことも改めて実感してます。本当に見た目ではわからない。歳でも判断できない。当たり前だと思ってたことが、いい意味で裏切られますね。

ー 今後はどう柔術と付き合っていくつもりですか?

大北:今年は、自分の技のバリエーションを増やす。まあ、柔術とは長く付き合えるなあ、とは思います。仕事ってルーティンになりがちですが、そのルーティンを破ってくれる。たとえば、服だけやってたら飽きちゃうかもしれない。「ソルトアンドペッパー」もそうだけど、柔術もいろいろなインプットをくれます。服を作るという仕事はアウトプットが多いし、今じゃ服もそんなに買いません。服屋とか行っても什器とか全体のバランスを見たり、スタッフの動きとか見ちゃったり(笑)。こないだのニューヨークも服屋はほぼ行ってません。自分のつくる服は、ベーシックだから、古着見て発見! みたいなことはないんです。本も結構見るから、洋書屋さんに行っても感動とかも薄れてきてますし(笑)。どうパッションをつくっていくか、そんなことを考えています。

INFORMATION

カルペディエム

www.carpediembjj.com


2020年1月8日 ニューオープン!

CARPE DIEM OFUNA カルペディエム 大船

住所:神奈川県鎌倉市大船1-12-10 1F
電話:0467-33-6233
bjjkamakura.com/

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