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FEATURE|SWITCH INTERVIEW 尾崎雄飛 × 金子恵治 服に命を捧げる、愛すべき服バカたち。前編

ーお二人はバイイングするとき、自分の好きなものを買うっていう意識は強いんですか? 他のひととは違う提案をしてやろうという気持ちというか。

尾崎:当時は人が見たことないものを買い付けたら勝ちみたいな。それで評価も上がって、あいつやばい!このブランドやばい!っていう。今思うと、後々流行るブランドも結構ありましたよね。

金子:だいたいおいしい時期は逃してるけどね(笑)。早すぎるっていう。

ー果実が蒼いうちにとってきちゃうんですね。

尾崎:そう、蒼いんですけど、熟れるまで待てないんです(笑)。

金子:尾崎くんから見て、今の「レショップ」はどう? そんなに変わってない?

尾崎:今日話し聞くまでは、昔とは意識変えてやってるんですか?という風に思ってたけど、やっぱり気持ちの部分ではあんまり変わってないわけですよね(笑)。むしろ止めるひとがいないから、よけいひどくなってるんじゃないかっていう。

金子:そうかもしれないね。あと、こないだ出張行ってて思ったことがあって。自分は、お客さんの代わりに世界を回って、ものを見て、面白いものを買ってきてるんだっていう意識が強いんだよね。「レショップ」としてこういう提案をしたいとかではなくて、「こんなに面白いものを見つけちゃったんだけど、どうですか?」っていう。

尾崎:それすごくわかります。今の金子さんって、ひたすら超人的に”バイヤー”なんですよね。機械的に見えるくらい、目の前にある面白いものを買いまくっていく。彼の歩いた後に面白いものは残らない、みたいな。だからちょっと怖いんですよ。

金子:それは自分でもちょっとわかるかもしれない。

尾崎:生粋な感じがすごいんです。

ーということは、自分が見つけたものが売れたぞというよりも「こんなに面白いもの見つけたぞ」という方が、気持ち良いなということですか?

金子:はい。その方がずっと嬉しいですね。

ーそれ、すごいですね(笑)。豪腕ですよ。

金子:ただ、もちろん買い付けるときに、お客さんに届けるためのストーリーは考えてますよ。むやみやたらにやってもダメなのはさすがにわかってきてるんで。アイテムだけを見たら理解できないひとも、こういう風に演出したら理解できるんじゃないかとか、そういうことをなるべく瞬時に考えてパッと買っていく感じですね。

尾崎:最近思うんですけど、バイヤーを中心に据えたお店って、あんまりなくないですか? いわゆる名物バイヤーが買ってきた珍しいものが並んでて、そこに興味がある人が集まってくるようなお店。それよりも、どういうテーマで、何を扱うかっていうお店の方が多いと思うんです。生活全般をカバーして、趣味が良くて、みたいな。

ー確かにそうですね。

尾崎:地方とかに行けば、かっこいいおじさんがやってるお店ってあるんですが、ある程度の規模感でっていうことになるとあんまりないんですよね。その点「レショップ」はバイヤーである金子さんが中心のお店だから、すごく面白いんです。おそらく食わず嫌いのグルマンさんも多いと思うので、「レショップ」が好きなひとってもっとたくさんいるはずです。あと、これは完全に僕の解釈なんですけど、いろいろ尖ったものを買ってくるじゃないですか。それをあまり尖らせすぎないためのものが、古着だったりしますか?

金子:そういうところはあるよね。古着もそうだし、買い付け先で普通にお金出して買う“現物”もそうだね。そういうアイテムで中和するじゃないけど、尖ったものも優しいものにするというか。足し算、引き算のバランスは考えてると思う。

尾崎:今日、僕は「レショップ」で買った、〈ヘド・メイナー(HED MAYNER)〉というパンツを履いています。足元には白い靴を履いて、これでさらにトップスもビシッと決めたりすれば、それはそれで青山っぽいのかもしれませんが、それは少し強いなって思ってしまうんです。なので、旅に行ったときに現地のロブスター屋さんで買ったTシャツを着ています。こうしたバランスの取り方は金子さんに教わったような気がします。

金子:僕がやっていることの、ものすごく理想的な説明の仕方ですね(笑)。

尾崎:自分で何を身に付けるかっていうのは、料理を作る上で食材を選ぶようなものだと思うんです。おいしい食材をたくさん使えば、必ずおいしいものができるわけではないわけじゃないですか。

ーそうですね。高い食材だけを使えばいいっていうわけではないですね。

尾崎:一晩寝かせた方がおいしかったり、なんの変哲もないんだけど、老舗のこの醤油を使うと一番味が整うみたいな。僕、料理しないんですけど、そういう感じが似てるなって。「レショップ」のコンセプトである「遊びゴコロある着崩しを楽しむファッショングルマンの店」って、そういう意味でもあるんですか?

金子:まさにそういうことだと思う。

尾崎:やっぱり。ちゃんと聞いたことはなかったけど、そうかなって。

金子:こっちで多くを語らなくても、お客さん自身で感じてくれて買っていくっていうか。だから、尾崎くんは本当に理想のお客様なんですよ(笑)。

尾崎:「レショップ」って、服を買う人に、どうなって欲しいんだっていうのがないんですよね。どういう服装をしてほしいっていうのがない。材料はここに売ってるから、あなたの生活をこれでなんか料理してよ、みたいな。でもそのわりにはバラバラっと適当に色々なものが売ってるわけではない。ただのスーパーマーケットではなくて、厳選された食材屋なんですよね。イタリアとか行くと、食のセレクトショップとかあるじゃないですか。店主がオススメしてるトマトソースがめっちゃうまい、みたいな。

ー確かに「レショップ」にはいい意味で統一感はないですよね。いつ行っても違う雰囲気だし、何々系っていうのがない。

金子:尾崎くんがいま言ったように、こちらから「こうしたらどうですか」という提案は、極力したくないんです。もともとそういう考え方でした。だから初めは、(コーディネイトを着せ付けた)ボディも置かないスタイルで始めたんです。いまは色々な事情があって、置いていますが。あと最初は、接客も一切しないっていうやり方でした。

尾崎:鬼ですね。。

金子:親切すぎることがものの価値を下げてる気がするんですよね。適度に不親切なことで、より買い物を楽しんでもらえるんじゃないかっていう。ECサイトだったら、服はすぐに買えるし、そこでは商品のあらゆることがわかるようになってます。それの真逆をいきたいなと思って、こういう形のお店にしたんです。わざわざ時間をかけてお店に行って、実際に手にとってっていう、そうした一つ一つの楽しみをここでなんとか形にできないかなって。どこまで不親切にできるのか、嫌がられず嫌味じゃないやりかたはどういうものなんだろうと。

ーひとつの挑戦だったんですね。

金子:なので、最初のお店(2015年9月18日にいまの場所に移転)ではストックも全部見せていました。何も隠さない。とくにこちらからは接客しないけど、聞かれればなんでも答えますよというやり方。そんなお店を目指してたんです。

ーなるほど。

金子:ただ、そういうスタイルを続けるには、もっと商品が強くなきゃいけなかったんだろうし、最初のお店に関しては色々反省もあります。

尾崎:最初のお店はそういう感じだったかもしれませんが、最近はインスタグラムとか金子さんのブログなどで色々なひとにリーチしていて、どんどん“服好き”がお店に来るようになりましたよね。個人的に思ってるのは、おしゃれなひと、おしゃれが好きなひとって、ちゃんといるよなっていうことなんです。それをずっと信じて、続けることは大事かなって思います。

金子:まだ発展途上ですからね、このお店は。あと2~3年くらいは試行錯誤しながらかなって思ってます。フイナムでブログを書かせてもらって、いろいろな気づきがありました。ブログで長く説明しなきゃ伝わらないような商品は、ECでは売れないだろうなとか。逆に二言三言書けば伝わるだろうという商品は、ブログじゃ絶対面白く書けないし、ECではすぐに売れるだろうな、とか。

ー金子さんのブログを読んでいると、とにかくお店に行って実物を見たくなるんです。さて、だいぶ話が長くなってしまいましたが、そろそろ前半戦はシメにしたいと思います。尾崎さん、最後になにか質問ありますか?

尾崎:そうですね。。いままで一番面白かった出張とか場所とか出来事ってなんでしたか?

金子:マーファに行ったときはすごいワクワクしたね。

尾崎:マーファ! なるほど。

金子:「レショップ」でやりたかったことのひとつに、何十年も前にセレクトショップという形態が立ち上がったときの、情報がまったくなかった時代のバイイングというのがあったんです。

ーある意味、行き当たりばったりというか。

金子:はい。そういう意味ではやっとマーファで、僕が思い描いてたバイイングができたんです。車を運転しながらキョロキョロして、寂れたウエスタン屋があったら止まって入って、なんか見つけたら買ってみるという。30年前くらいのバイヤーがやっていただろうやりかたを現代でやるっていうのが、自分のひとつのバイイングとしてのテーマだったので。

尾崎:マーファは、醍醐味が全部揃ってますもんね。道といい、人といい、建物といい。僕も行きましたが、なんだかんだ今作ってるものにもかなり影響与えてますね。

金子:泊まったところもかなりよかったよね。

尾崎:前に雑誌『フイナム・アンプラグド』で紹介させてもらった、「エル・コスミコ(El Cosmico)」です。

ーはいはい。

金子:ああいう場所で、出荷とかもしないといけないわけで。

ーたしかに(笑)。

金子:あんなとこで、どこの配送業者に頼めば日本に着くのかわかんないっていう(笑)。結局は大丈夫でしたけど。

尾崎:30年くらい前って、見つけたものをそのまま買うっていう時代だったと思うんです。けど、いまはお店と交渉して「このアイテムを、このファブリックで作って」というような発想がありますよね。昔と同じことをしているんだけど、今でしかできないものを作ることができる、それがいまのバイイングですよね。


金子さんの思い出の一品。その3

金子:今日もしてますけど、トゥアレグ族のものです。尾崎くんも買ったよね。

尾崎:壊れちゃいましたけどね。。

金子:私物じゃなくて、商品だけど結構集めてて。

尾崎:おぉ、かっこいいっすねえ。

金子:地名ものをちょこちょこ集めてるんです。尾崎くんのスーベニアTのような感じですね。で、今はランにはまってるんで、ブルックリンでこういうの買ったりとか。こういうお土産物はお店でもいろいろやっていきたいなと思っています。

金子:「ベイクルーズ」をやめたあと、〈エブリウェア(EveryWare)〉というブランドをやってたんです。

尾崎:そのとき僕は〈フィルメランジェ〉にいて。

金子:そう。なので、Tシャツを作るときに尾崎くんに相談したんです。これがそのTシャツです。

尾崎:バッグは〈バッグジャック(bagjack)〉で作ってましたよね。懐かしいですね。

金子:まだ新品のがあるよ。自転車とファッションというのが、〈エブリウェア〉のコンセプトでした。Tシャツのポケットも、自転車の六角形のネジをモチーフにしたりしてます。

前編はここまで。後編は舞台を尾崎さんの事務所にスイッチして、金子さんが尾崎さんに質問をぶつけます。



THE GENTLEMAN’ S CLUB
昨年開催した「THE GENTLEMANS CLUB」が帰ってきました! 希少価値の極めて高いヴィンテージから時計、タイ、テーラードなど。ジャンルを飛び越えた最高のミックスファッションをお届けいたします!

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期間:12月16日(金)〜12月25日(日)
場所:レショップ3F
住所:東京都港区南青山3-17-3 3F
電話:03-5413-4714
www.instagram.com/lechoppe.jp/

出品者・ブランド
Vintage(Clothes,Watch,Dress shoes)
SUN/kakke(Tailored)
BEGG(150colors Muffler Trunk show)
ACCALMIE(Leather goods Trunk show)国内初
SAMUEL GASSMANN(Tie)国内初
MWR Collection(Leather bag) 国内初
on the sunnyside of the street(Accessory)
FIMY(Bag) 国内初



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