PROFILE
広島県出身。〈イッティ・ビッティ〉にてパタンナーや生産管理として経験を積み、現在は家業である「宇田被服」に勤める。2018年12月より自身のブランドである〈UDA〉をスタート。
PROFILE
古着屋、セレクトショップでの販売を経て、二つのショップにてバイヤーを務めたのち、PR職へ。2012年に「ウィズム」の立ち上げに参画。現在は同ショップのディレクターとして活躍。
「パンツの穿き方が気になる」とずっと思っていた。
ー 宇田さんは〈UDA〉をスタートする前は何をされていたんですか?
宇田:〈イッティ ビッティ(ITTY-BITTY)〉というブランドでパタンナーや生産管理をしていて、8年くらい在籍していました。もともとうちの実家は、広島県の福山で縫製工場を営んでいるんです。
ー で、いまは家業を継がれていると。
宇田:そうですね。その仕事をしながら〈UDA〉のデザインをしています。
堀家:〈イッティ(・ビッティ)〉にいたときは、あまり絡みがなかったよね? でも広島に戻るっていうタイミングでお店に挨拶に来てくれて、そのとき初めてちゃんと喋ったんです。おとなしい人だなっていう印象があって、なんとなく技術職っぽいなとは思ってたんですけど、家業を継ぐって聞いてもそれが縫製工場だとは知らなかったんです。
でも、そのときに宇田ちゃんのパンツの穿き方がすごく印象に残ってて。シルエットが太くて裾がズルズルで。一見するとだらしないのかもしれないんですけど、なんかとにかく気になる穿き方だな、と。
宇田:そのときは多分“セナパン”を穿いていたと思います。
ー 「ウィズム」が〈イッティ・ビッティ〉に別注したパンツですね。穿き方でなにか意識していることなどあったんですか?
宇田:いやとくにないんです。裾を上げるときに丈は測るんですけど、わりと大雑把かもしれません…(苦笑)。そこまで細かく見ないというか。
ー でも堀家さんから見ると、それがいい感じだったんですね。
堀家:そうなんです。それから時間が経って一昨年の春、〈ダブレット〉の井野さんと一緒に飲んでいるときになぜか宇田ちゃんの話になって。そのときに初めて家業が縫製工場だということを知って。で、俺はずっと「パンツの穿き方が気になる」って一方的に喋ってたんです(笑)。
ー 穿き方、推しますね(笑)。
堀家:それで「ちょっと連絡しよう!」ということになり、井野さんから連絡先を聞いてメールを送ったら、ちょうどその次の週に東京に来る予定があったみたいで、そこで会ったんです。
宇田:ぼくが福山に帰って一年か一年半くらい経った頃でしたね。急に連絡が来て。
堀家:それで「パンツの穿き方が気になるから、パンツつくってみない?」って話をしたんです。
ー (笑)。その話を聞いてどう思いましたか?
宇田:ぼくは目立つタイプじゃなかったので、「まず、なんで自分なの?」と(笑)。最初は「ウィズム」のオリジナルをつくるのかな?って思ってたんですけど、よくよく話してみると「ブランドをやってみなよ」っていうことだったんです。「ブランド名は〈UDA〉とかどう?」って、そこまで考えてくれていて。
堀家:自分のなかでは、すでにストーリーができあがってました。あの穿き方を見て「宇田ちゃんはパンツが得意なんだ」って勝手に思い込んじゃって、彼のパンツを穿いておけば合わせるトップスはなんでもいい、という方程式をつくってしまったんです。というのも、うちの店には唯一無二のブランドや、濃いアイテムがたくさんあって、全身それで合わせると電車に乗れないんですよ(笑)。
一同:笑
堀家:でもやっぱり服が好きだから、そうした濃いアイテムに合わせられるものが欲しかった。ということで、電車に乗りやすいっていうのがひとつのコンセプトなんです(笑)。
ー ブランドとしてやらないかと提案したのはなぜなんでしょう?
堀家:クセがない分、良くも悪くも付加価値が付かないので、オリジナルでやるよりも、ブランドとして打ち出すほうがより魅力が引き立つかなと思ったんです。
ー それで2018年の暮れにリリースされたスラックスで、ブランドとしてデビューをしました。
堀家:相当な数量を仕込んでいたんですけど、2週間で完売しちゃったんです。
宇田:長いスパンをかけて消化するつもりでその数字を提示してくれたと思ったんです。お店の定番として、いつでも置いてあるみたいな立ち位置で。
堀家:俺も正直そのつもりだったんですよ(笑)。けど入荷してインスタに上げたら、その日からすごい反応がよかったんです。デビューしたばかりなんでお客さんも知らないはずなのに「なんで? なんで?」って、お店でもいい意味のザワつきがあって。宇田ちゃんに「やべぇよ! めちゃくちゃ売れてるよ!」って電話したら、「あぁ、ありがとうございます」ってリアクションがすごい薄かったんですよ(笑)。
宇田:「ウィズム」ってすごい影響力のあるお店だから、それがどれくらいすごいことなのかが、イマイチわからなかったんです。でも、本当にうれしかったですよ。名前も知らないブランドのアイテムを手に取ってくれているというのが。