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その道の識者9名が表現する、新しいビッグヤンクのかたち。 CASE8_田中知之(FPM)

BIG YANK The Third Edition 2nd Collection

その道の識者9名が表現する、新しいビッグヤンクのかたち。 CASE8_田中知之(FPM)

2016年の春夏よりスタートした〈ビッグヤンク(BIG YANK)〉の『ザ・サードエディション』のセカンドコレクションが発表された。これは2011年に実名復刻を果たした〈ビッグヤンク〉が、様々なジャンルのクリエーターたちとコラボレーションしたコレクションで、洋服のデザイナーはもちろんのこと、ミュージシャン、理容師、古着屋オーナーなど、バラエティに富んでいる。前回は5人であったが、今回は9人にスケールアップ。各々が感じる〈ビッグヤンク〉の魅力を引き出したプロダクトは、インラインのワークウエアにはないものばかりだ。その全貌を参加したクリエーターのインタビューを通して解析していこう。

  • Photo_Takeshi Kimura
  • Text_Shuhei Sato
  • Edit_Yosuke Ishii
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田中

日本を代表するDJのひとりであり、有名ミュージシャンのプロデュースも手掛けるFPMの田中知之さんが、〈ビッグヤンク〉の『ザ・サードエディション』に参戦。実はこの田中さん、FPMとしてメジャーデビューする前は大手アパレルの企画部で働くなど、大の洋服好きとして知られた存在。なかでもヴィンテージウェアに対する知識は相当なもので、数多くのスペシャルピースを所有しています。そんな田中さんが今回作ったものは、古着好きにはたまらないミッキーマウスをプリントしたシャンブレーシャツ。キャッチーなモチーフ使いのなかに秘めた、田中さんの想いやこだわりを伺いました。

古着が好きだからこそ、自然と覚えていたビッグヤンク

ーまず始めに田中さんが〈ビッグヤンク〉を知ったきっかけを教えてください

田中:正確には覚えていませんが、古着が好きであれば、自然と覚えるブランドですよね。山ポケやガチャポケといった個性的なディテールが目立ちますし、ブランド自体は80年代初頭まであるから、ネルシャツやワークシャツがレギュラーの古着にも混ざり込んでいますよね。詳しい背景はわからなくても、目にすることがあるというか。特に2000年代になってから盛り上がった気がします。

ー確かに’90年代の古着ブーム時だと戦前のものは本当に限られた一部の人が知っていたくらいですよね。

田中:その飽くなき探究がデニムから始まり、スウェット、そしてワークウエアに至った感じですよね。日本人の勤勉さの賜物ですよ。チンストラップやメタルボタンなど、戦前のワークシャツのディテールが次々と解明されていって、〈ビッグヤンク〉の価値がより上がった印象があります。

ー実際に田中さんは〈ビッグヤンク〉をお持ちですか?

田中:はい、もちろん持っていますよ。ガチャポケのシャンブレーシャツを自分サイズで。ミントコンディションで今でも気に入っていますね。

こういう企画だからこそできる、大胆なものを作りたかった

BIG YANK × Tomoyuki Tanaka(FPM) MICKEY MOUSE ON 1966 ¥26,000+TAX

ー今回の企画はどのようなコンセプトで作ったのでしょうか?

田中:まずこの話をもらった時に、お祭りのような企画なので、自分がマニアックなことをやっても仕方ないなと。それで今日着ているようなプリントの入ったシャンブレーシャツもおもしろいよな、とおぼろげに考えていたんです。そんな折に、改めて自分の持っているシャンブレーシャツをもう一度見返したら、ミッキープリントが入ったものを見つけたんです。

ープリント入りの古着のシャンブレーシャツってあまり見かけませんよね。いつくらいのものでしょう?

田中:それは70年代頭くらいの〈ケニントン〉製のものでした。50年代以前のシャンブレーももちろん素晴らしいですが、この年代は独特のチープさがあって、良い風合いなんですよね。この『ザ・サードエディション』って〈ビッグヤンク〉の存在を多くの人に知ってもらう機会でもあると思うので、個人的には万人に受ける大ネタをやりたかったんです。マニアックなことは、サーティーファイブサマーズさん(編注:今回のプロジェクトを手掛ける〈ビッグヤンク〉の日本代理店)が今までやっていますから。

ー確かにインラインのモデルには無い、田中さんらしい発想ですよね。

田中:そう言ってもらえると嬉しいですね。ただ、普通にミッキーをプリントするだけではおもしろくないので、ミッキーの柄選びにはこだわりましたよ。

ーそれは具体意的にはどういったことでしょう?

田中:ミッキーって各年代によって微妙に表情が違うんです。今回ベースとなったシャンブレーシャツは1966年モデルなので、プリントしたミッキーもその当時に描かれたものを選んで、シャツデザインとの年代の整合生を図っています。なかなか伝わりづらいこだわりですが、そうすることで、よりリアリティーが生まれると思っています。ミッキーの柄はウォルト・ディズニー・ジャパンまでお邪魔して、自分で選びました。

1960年代当時のミッキーマウス。プリントの下にはオフィシャルライセンスの印である「©Disney」が入る

両胸にボタン付きポケットを配した、1966年モデルのポケットデザイン

多くの人に着てもらいたい、そんな想いから生まれたミッキーマウスのワークシャツ

ーあえて山ポケやガチャポケといったアイコニックなディテールを使っていない、1966年モデルというのもいいですね。

田中:独特の軽さを出したかったんですよ。それと自分が1966年生まれなので、今回セレクトしました。この頃の〈ビッグヤンク〉のワークシャツは、もう山ポケットやガチャポケットではなく、両胸に同じ形状のポケットが2つ付いたデザインになります。

ーまた地の風合いもいいですね。

田中:シャンブレーの生地は後年の雰囲気に合わせてライトなものを選んでいます。デザイン的にもこっちの方が似合うかなと思って。ユーズド加工をしているので、かすれたプリントやステッチ周りなど、着古した風合いが見事に再現されていますね。

ーその他にポイントなどはありますか?

田中:サイズ感は、この手のシャンブレーシャツをオーバーサイズで着るのが今っぽいかと思い、あえて大きめに作ってみました。女の子が着てもかわいいと思いますね。〈ビッグヤンク〉をあまり知らない人にも是非着てもらいたいです。それと個人的にはDJをしているので、このストームカフスは袖が捲りやすいので良いですね。気に入ってます。

カフスのボタンとボタンホールの間隔が開いた、〈ビッグヤンク〉お馴染みのストームカフス

ーミッキーマウスをプリントするという、他の人にはないアプローチで新鮮でした。

田中:また機会があれば、次は40年代のシャンブレーシャツにその頃のミッキーマウスの絵柄をプリントしたいですね。山ポケットのシャツにプリント物なんて当時絶対にないでしょう?もしくはドナルドダックでもいいかもしれませんね(笑)

田中知之(FPM)

1966年生まれ。京都市出身。DJ/プロデューサー。大手アパレルの企画や編集者などを経て、1997年に『The Fantastic Plastic Machine』でデビュー。翌年の2ndアルバム『LUXURY』はヨーロッパやアメリカでも発売され、世界中で注目を集める。DJとして活躍する傍ら、数々の有名アーティストたちのプロデュースやリミックスも手掛ける。プライベートではヴィンテージウェアのコレクターとしても知られ、多くのアーカイブを所有する。

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