雪降る土地、長野県白馬村に向けて出発進行!
比較的温暖だったこの冬も、日本中に寒波が押し寄せ、ようやく“らしさ”を取り戻したとある日。空にはまだ月の姿が残る早朝に「Jeep® Renegade(ジープレネゲード)」に乗り込んだのは、プロスケーターであり、自身の名を冠したブランドも絶好調のデザイナー、アレキサンダーリーチャンさんと、東京・渋谷の西原にある人気コーヒー店「パドラーズコーヒー(PADDLERS COFFEE)」の店主である松島大介さん、そして我らがフイナム編集部の名物エディター・中田 潤。
リーさん〈AlexanderLeeChang〉ジャケット¥40,000(チャング)
松島さん〈BOULDER MOUNTAIN STYLE〉コート¥26,500(アリガインターナショナル(株))
中田 〈SIERRA DESIGNS〉ジャケット¥69,800(アリガインターナショナル(株))、〈KELL SPORT〉スウェット¥21,000(メイデン・カンパニー)、〈BOGEN〉ニットキャップ¥7,000(スキーショップボーゲン)
今回彼らが目指すのは長野県白馬村。国内のウィンタースポーツのメッカとして知られる場所で、“雪板”と呼ばれるアクティビティーに挑戦するためです。
「リーさん、松島さん、今日はよろしくお願いします! ところでおふたりは雪板をやったことがありますか?」(中田)
「ぼくは今回がはじめてです。木の板に乗る、ということしかわからなくて、乗り心地とかそういったものはまったく未知ですね」(松島)
「ぼくも松島さんとおなじ。スノーボードとはきっと違うんだろうけど、どんな感じなのかまったくイメージが湧かない(笑)」(リー)
「じつはぼくもそうなんです。足が固定されていないスノーボード、というイメージがあるんですが、とにかく早くチャレンジしてみたいですね!」(中田)
スノボよりもスケートやサーフィンに近い !?「雪板」というアクティビティー。
雪板の話題を中心に軽快なトークを繰り広げているうちに、レネゲードはプロスノーボーダー・松浦 将(たすく)さんの工房に到着。松浦さんはプロとしてスノーボードに没頭する一方で、自作で雪板を制作したり、体験会を開催しながら冬のアクティビティーの魅力を世に広めている人物なのです。
「よろしくお願いします!」と挨拶を済ませたメンバーたちは早速、雪板とはなんなのか? 質問を松浦さんに投げかけます。
「雪板は、プロスノーボーダーであり、ぼくの友人である五明(ごみょう) 淳さんが新しいウィンタースポーツとして生み出したものなんです。つまり日本発祥のアクティビティーということ。英語でも『YUKIITA』という名称で通じます。ぼくがはじめてこれを目の当たりにしたのは7年ほど前のこと。そのときは『マニアックなことをやってるなぁ』と思ったんですけど、その後実際にやってみたらすごく楽しくて、すぐに魅了されてしまったんです(笑)。それで自作の板をつくりながら、冬はスノボと雪板に明け暮れる毎日を過ごしています」(松浦)
スノーボードのカルチャーが成熟し、新感覚のアクティビティーを探求した結果生まれた雪板。スノーボードとのいちばんの違いは足元にあります。
「スノボがビンディングという器具で足元を固定されているのに対して、雪板はそれがありません。つまり、サーフィンやスケートとおなじように足元に自由が利くんです。だから小さな丘があれば、そこを自分の足で登って、雪板に乗って滑って、また丘を登って…、という風に気軽にあそべるのが雪板の魅力。リフトに乗ってゲレンデの上のほうまで行って滑るスノーボードよりも、はるかに軽快なんです。それに板もすごく軽くて、片手でも持てちゃうんですよ」(松浦)
実際に雪板を持ってみると、その軽さに驚きを隠せません。これなら滑った後に丘を登るという動作も苦にならなそうです。
「足が固定されていなくても、しっかり滑れるんですか?」(中田)
「実際にやってみるとわかるんですけど、滑走中は板の先がやや反り上がりながら滑るんです。つまり、しっかりと下からの圧力を感じるから足が外れるという心配はいりません。サーフィンやスノーボードにいろんな形の板があって乗り心地に特徴があるように、雪板もシェイプやソールの形状によって乗り味が変わるんです。安定感のあるもの、スピード重視のもの、ターンしやすいもの、板によってそれぞれ特徴があるので、それを乗り比べながら今日は楽しんでみてください」(松浦)
ちなみに余談ではありますが、松浦さんは「スノースケート」というアクティビティーにも精通していて、板を制作・流通しているんだとか。
「これは見ての通り雪の上でやるスケートのようなもの。もう何年もまえにアメリカで開発されたものなんですが、最近になってジワジワと盛り上がってきているんです。難易度はそこまで高くないので、もし興味があれば今度こちらにもチャレンジしてみてください」(松浦)
ハンドメイドした雪板のプロダクトとしての美しさ。
板の形状によってさまざまな乗り味を楽しめるという雪板ですが、そんな雪板の制作過程の一部を見せてくれることに。プロスノーボーダーとして活動をする一方で林業にも携わる松浦さんの工房には、無垢の木の板が何枚も立てかけてあり、まるで彫刻家のようにその板を削りながら雪板を制作するんだとか。
「まずはこの板にテンプレートを使ってアウトラインを引きます。そしてこのラインをベースにして、チェーンソーで荒削りをします」(松浦)
そう言いながら棚からチェーンソーを取り出し、迷いなく木の板をカットしていく松浦さん。メンバーたちはその男らしい姿に圧倒されながら作業を見守ります。
「無垢の板から一枚の雪板を完成させるのにどれくらいの期間がかかるんですか?」(リー)
「荒削りしたあとに本格的なシェイプに入るんですが、ここからが大変で、一枚完成させるのにだいたい2ヶ月はかかります。雪板づくりはゼロからのスタートだったので、この完成度のものをつくるのにやっぱり何年もかかりましたね」(松浦)
雪板をつくっては滑り、実際の乗り味を検証しながら次の制作に活かす。そうしてトライ& エラーを繰り返しながら精度を高めていった、と松浦さんは語ります。
「ぼくのように無垢の木から雪板をつくる人は、実はあまりいないんです(笑)。加工した板を使ってつくったほうがはるかにラクですから」(松浦)
「でもこういった無垢の木からつくった雪板のほうがいいですよね。木をカットしてハンドメイドでつくっているというプロセスに魅力を感じます。単純にひとつのプロダクトとして美しいし、カッコいい」(リー)
リーさんが実際に雪板を眺めながらそう語るように、松浦さんがつくった雪板はどれもアートと呼べるほど美しく、高い完成度を誇ります。
「2ヶ月かけてシェイプを施した板に布を貼り付けて雪板が完成します。これはシーツを染めたものを使っているんですけど、染色も自分でやったりしているんです。こういった布を貼ることによってデザイン性が増しますし、板の強度もグンと上がるんですよ」(松浦)
白銀の世界に映える赤いレネゲードの姿。
雪板の知識を身につけ、未知のアクティビティーに対する好奇心で頭がいっぱいの御一行。はやる気持ちを抑えながら着替えを済ませ、雪板を「ジープ® レネゲード」に積み込んで、アクティビティーを行なう丘へと向かいます。
事前の情報では積雪量が少なかったという白馬も、寒波の影響によって大量の雪が降り、一瞬にして白銀の世界になったんだとか。美しい雪景色のなかを力強く走る赤いレネゲードの姿に、都会で目にするよりも一層頼りがいを感じます
「やっぱりジープは安定感がありますね。こんな雪道でもしっかりと地に足つけた走りをしてくれる」(中田)
雪道はもちろん、砂道、泥道など、走行する道の環境に合わせて4WDの稼働方法を切り替えることができる「ジープ® レネゲード」。今回はスタッドレスタイヤを装備し「スノーモード」で雪道を走りましたが、運転手の中田も臆することなくドライブができた様子。リーさんや松島さんも、どうやらこのクルマを気に入ったようです。
「このクルマいいですね。力強い走破性はもちろんなんですが、都会的なデザインなのに質実剛健なジープのDNAをしっかり受け継いでいる。サイズ感もコンパクトで、これならうちの奥さんもラクに運転できそうだし、小さな子供がいるうちのような家族には最適なクルマかもしれない」(リー)
「ジープらしさ、しっかり感じますよね。学生時代にぼくがポートランドでホームステイをしていたとき、ホストファミリーがジープに乗っていて、なんだか親近感を感じるんです。その家で飼っていた犬も『ジーパー』って名前が付いていて、とにかくジープ大好きファミリーだったなぁ(笑)。そういったこともあってか、ジープのクルマには“アメリカ”と“男らしさ”を感じますね」(松島)
やってみるとやっぱり楽しい! 心地よい雪板の疾走感。
車中で軽快なトークを繰り広げていると、あっという間に目的地へと到着した御一行。丘には見事にパウダースノーが積もり、雪板をするには最適のコンディションに。
「実は雪板って、積雪のコンディションがよくないとできないアクティビティーなんですよ。パウダーの上じゃないと雪板がうまく滑らないんです。圧雪した斜面の上にヒザが埋まるくらいのパウダースノーが積もるのがベストなんですが、今日はまさにそんな感じ。誰も足を踏み入れていないフカフカした雪の上を雪板に乗って滑走するのは最高に気持ちいいですよ。みなさん運がいいですね!」(松浦)
松浦さんのその言葉に、さらに期待に胸を膨らます3人。リーシュコードを腰に巻き、まずは丘の中腹を目指してハイク! そこに辿り着き、簡単な注意事項を確認して、いざ滑走です! まずは手本となる松浦さんの滑りを見届けます。
華麗な身のこなしで雪の上を颯爽と駆け抜ける松浦さん。達人の滑りを目の当たりした3人も松浦さんに負けじと身に力を入れ、雪板に足を乗せて丘をくだります。
普段からスケートをするリーさんと松島さんは初体験の雪板ながら、安定感のある滑走を見せてくれます。一方で中田のほうは、滑走をスタートするやいなや早速転んでしまった様子…。
「いやぁ、想像以上に難しいですね~(苦笑)。悔しい! もっと上手に滑るにはどうしたらいいですか?」(笑)(中田)
「中田さん、力みすぎですよ(笑)。力を入れすぎると板が余計に沈んでしまうのでうまく滑れません。まずは水の上を滑るような感覚で、流れに身を任せてみてください」(松浦)
雪板を手に、再び丘を登る御一行。次のライディングを頭のなかでイメージしながら一歩ずつ雪の坂道を登るのも楽しく、そして気持ちがいい。「水の上を滑る」という松浦さんのアドバイスを頭のなかで繰り返しながら、つぎは丘の頂上から麓を目指して滑走します。
一周目に比べると、格段と滑りのクオリティーをあげてきた3人。松浦さんのアドバイスが効いたようです。
「頭で考えずに流れに身を任す。みなさん、“Don’t think,just feel”をだいぶ体現できてきましたね」(松浦)
その後も何度も滑るうちにリーさんや松島さんはコツを掴み、松浦さんのようにスムーズなライディングができるように。はじめは転倒することが多かった中田も、最後に立派な滑走を見せてくれました。
アクティビティーのあとコーヒーを飲みながら一日を振り返る。
思う存分アクティビティーを楽しんだあとは、雪の上でのコーヒータイム! コーヒーカルチャーを牽引するひとりである松島さんにおいしいコーヒーを淹れてもらいます。
ゆっくりと丁寧に豆を挽き、適度な時間をかけながら慣れた手つきでドリッパーにお湯を注ぐ松島さん。冷たく凛とした空気を暖かく豊かなコーヒーの香りで包みます。淹れたてのコーヒーが入ったカップを手に、ホッと一息つく御一行。雪の上で飲むコーヒーは、普段飲むものとはまた違った味わいがあります。
大自然のなかで贅沢な時間を過ごしながら、朝早くに起きて東京から白馬まできた甲斐があったと話し合うメンバーたちに「雪板どうでした?」と、松浦さんから質問が。
「想像以上に楽しかったです! 乗り味的には、スケートよりもサーフィンに近いような気がしますね。丘の上り下りがラクにできるのはいいです。スノボやスキーだと足が固定されているぶん、滑ったあとの動きにわずらわしさがあるけど、雪板にはそれがない。気軽に楽しめるところに魅力を感じました」(リー)
「思っている以上にスピードが出て、心地よい疾走感が味わえますね。それにコンクリートの上でやるスケートとは違って雪の上だから転んでも平気なのがいい。恐怖心が動きを制限することがないから、次のライディングではもっと思いきり滑ってみようっていう気持ちになりますよね」(松島)
「ぼくもちょうど慣れてきたところなのに、そろそろ東京に帰らなきゃいけないというのが名残惜しい…。もっと滑りたかったなぁ~。松浦さん、また今度あそびに来させてください。今日はありがとうございました!」(中田)
「こちらこそ、どうもありがとうございました! みなさん楽しんでもらえた様子でよかった。つぎはきっともっとうまく滑れるはずです。また是非あそびに来てください!」(松浦)
アレキサンダーリーチャンさん〈THE NORTH FACE〉パンツ¥18,000(ザ・ノース・フェイス原宿店 03-5466-9278)〈SOREL〉ブーツ¥17,000(コロンビアスポーツウェアジャパン)
松島さん〈THE NORTH FACE〉ジャケット¥28,000、パンツ¥18,000(ザ・ノース・フェイス原宿店)、〈SOREL〉ブーツ¥18,000(コロンビアスポーツウェアジャパン)
中田〈THE NORTH FACE〉ジャケット¥46,000、パンツ¥18,000(ザ・ノース・フェイス原宿店)、〈BOGEN〉ニットキャップ¥7,000(スキーショップボーゲン)、〈SOREL〉ブーツ¥20,000(コロンビアスポーツウェアジャパン)
雪板に没頭していると気付けば夕暮れどきが近づいてきました。みんな口を揃えて楽しかったと話す雪板。帰りの車中では、雪板談義に花を咲かせていた様子。残り2回となった冬のアクティビティー篇では、どんなことに挑戦するのか。ぜひお楽しみに!