日本でいちばんのカバン生産量を誇る兵庫県豊岡市。

兵庫県豊岡市。ここはバッグの生産量日本一を誇り、市内にはたくさんの工場を有するカバンづくりのメッカとして知られる場所。もともとは柳行李(やなぎごおり)という柳や竹で編まれた箱型の入れ物の産地として1200年ほど前から栄え、時代の移り変わりと共にカバンをつくるようになっていきました。

〈豊岡鞄〉は、そんな長い歴史の中で培ってきた技術が注ぎ込まれる豊岡市の地域ブランド。今回〈ベルーフバゲージ〉がコラボレートしたのもこのブランドです。組合の認定を受けた工場でしかつくることができず、審査には厳しい基準が設けられています。生産を手がけているのは市内でも有数の工場である「木和田正昭商店」。〈ベルーフバゲージ〉のインラインのアイテムもこの工場でつくられています。デザイナーの佐野賢太さんは、この工場のどんなところに惚れ込んだのか? その理由を4つのキーワードを基に紐解いていきましょう。

1980年生まれ、埼玉県出身。2006年に自身がデザイナーを務める〈ベルーフバゲージ〉を立ち上げる。ライフスタイルの中心に自転車があることから、はじめはメッセンジャーバッグからスタートするも、現在は“自転車由来”という当初の背景は崩さずにさまざまなバッグをデザインしている。
KEYWORD 01:Integrated Production
“一貫生産”における圧倒的な
クオリティの高さ。

木和田正昭商店は、豊岡にある他の工場に比べると、圧倒的な広い敷地を有します。そこではさまざまな種類の機材が所狭しと配置され、それを操る職人たちが数多く存在しています。佐野さん曰くその理由は、「カバンづくりの主流は分業制なのに対して、ここでは一から十まで一貫生産を貫いているから」なのだそう。

「生地の裁断、パーツの加工、縫製、検品に至るまで、すべてをひとつの工場で完結させることによってクオリティに圧倒的な差が出ます。各工程をそれぞれ専門の工場に預けると、どうしても品質にムラが出てしまう。それに納期の面でも管理が難しくなります。職人のみなさんは“いいカバンをつくりたい”という共通認識を持ってますから、ひとつの工場内でそれを柔軟に分かち合うことで、安定した品質が生まれるんです」