MAISON SPECIAL × LUCKY TAPES高橋海
音色をブレンドしたセットアップ。

高橋： 友達が〈メゾンスペシャル 〉のプリントTを着ていて、「それどこの？」と聞いたのがきっかけでした。その場で調べたら、どれもすごく好きな雰囲気の服ばかりで個人的に購入しようとお気に入りに保存もしていました。

高橋： 特にセットアップが気になったのですが、セットアップであまり見ないような色味や形に惹かれました。LUCKY TAPESの最新アルバムのジャケットもそうですが、服に限らず、中間色だったり淡い色味を好む傾向があるので、これはチェックしないといけないなと。

〈メゾンスペシャル〉を知ったちょうど2日後に、今回のお話をいただいたので、タイミングの良さに驚きを隠せず、二つ返事でやってみたいとお願いしたのを覚えています（笑）。

高橋： ライブでも着れて、普段づかいもできるものがつくれたらと思いました。なので、重たい色味ではなく、気楽に着られるような色合いにしています。「こんな色のセットアップがあったらいいのに」と思った3色です。生地を選んでいる段階では数センチの小さな端切れだったので、実際の仕上がりは想像つかなくて。だけど出来上がりを見て安心しました。この色にして正解でした。

高橋： 今回オーバーサイズを選んだので、動きやすいなと思いました。ライブでも全然いけそうです。それでいて大きすぎない理想のシルエットで、生地感も高級感があって最高です。

高橋： とても興味深かったです。普段着ている洋服もこういう風にしてデザインされているのかということも知れたし、もしまた機会があるなら、もっともっと細部まで作り込んだものにも挑戦してみたいという想いも生まれました。

高橋： はい。自分はウエストが細いので、パンツの幅やシルエットとのバランスでしっくりくるパンツがあまりなく、毎回探すのに苦労するんです。今回はそういった部分にも拘ったので、理想の形に限りなく近いパンツが完成しました。

高橋： なります。バンドとは別に、個人で色々なアーティストのプロデュースをする機会も多いのですが、そのときにまず聞くのが、色なんです。どんな雰囲気にしたいか、どんなテンポにしたいかというのはもちろん聞くんですけど、そのうえで何色のイメージかをできる限り聞くようにしています。自分の楽曲に対しても色や風景といった音楽が持たない要素である視覚的なイメージは大切にしていますね。

高橋： あります。最初は無色でも、楽曲を構築していくうちに徐々に色が見えてきて、またそこに別の要素や構成を足すことによって新しい色のイメージが浮かんできて、それらが次々に混ざり合っていくような感覚でつくり進めていきます。

高橋： スタジオに入ると、アレンジをつくるにしろ、構成を練るにしろ、ひとつのパートに集中しなければならない時間がどうしても生じてしまいます。その間は、ほかのプレイヤーには待って貰わなくてはならないし、時間配分も難しかったりして。それが今回、個々の自宅での自由な時間配分の中で進められたのが、このバンドには合っているなと感じました。

高橋： 映像制作は想像していたより遥かに難しかったです。カメラにも殆ど触れたことがなかったので、そういった機材や映像編集ソフトの使い方から覚えなくてはならなくて。

音楽であればこれまでに培ってきた技術や知識があるので、イメージに寄せたり、新たな提案や様々な手段で出来ることはたくさんあります。頭の中で完成図をイメージするところまでは出来ていたのですが、それを具現化するのはそう簡単ではありませんでした。

だけれど、今までは自己表現が音楽だけだったので、映像という新たな手法を知った喜びや面白さは正直ありましたし、今後作り続けていくかどうかは今の時点ではわかりませんが、もし機会があるならば、どうすればより良い表現ができるかを探求していけたらと思います。

高橋： つくり始めた段階ではあまり意識していないのですが、進めていく中でそういった流れを意図的につくることは楽曲に限らず、作品全体を通してやライブのセットリストでも意識するようにしています。

自分たちの表現するような音楽ジャンルは“オシャレ”だったり“チル”と言われがちで、さらっと聴ける反面、残りづらいBGMになってしまう危険性もあると思っていて。

どうすれば心に何かを残せたり印象づけられるのかを考えたときに、歌詞の言葉の選び方や音使いと同様、物語性を持たすこともひとつの要素だと思ったんです。最近は単曲で聴かれることが多い時代だと思うので、アルバムとして聴いた時に、一曲一曲がチャプターのような役割で淀みなく流れていくような仕掛けは今回も入れ込んであります。

高橋： もちろん。あくまで自己表現の軸は変わらず音楽ですが、音だけで表現することに拘る必要もないのかなと思ったりしていて。今回の服づくりだったり、映像制作だったり、今後も新しいことに積極的に挑戦して表現の幅を広げていけたらと思っています。