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いま改めて、ビッグヤンクというブランドを再考する。

BIG YANK The Third Edition 2nd Collection CASE 0

いま改めて、ビッグヤンクというブランドを再考する。

様々なクリエーターを招集し、老舗アメリカンワークブランドである〈ビッグヤンク(BIG YANK〉を思い思いにデザインしてもらった『ザ・サードエディション』。そのどれもが、〈ビッグヤンク〉らしいディテールや背景を生かしながら、全く新しい魅力を引き出すことに成功した素晴らしいコレクションでした。『フイナム』でも全9回にわたって、今回参加頂いたデザイナーたちにインタビューを敢行してきましたが、インタビュー中によく出てきた「ガチャポケット」や「山ポケット」、「ストームカフス」といった謎の言葉たち。さて、これ一体何のことでしょう?古着好きならよく知っている、しかし知らない人には全く理解不能な言葉。ポカーンとした人も少なくないはずです。正解は、これら全て〈ビッグヤンク〉が何十年も前に考案したディテールなのです。今回は『その道の識者9名が表現する、新しいビッグヤンクのかたち。』番外編として、改めて〈ビッグヤンク〉というブランドを再考していきます。

  • Photo_Masaki Sato
  • Text&Edit_Yosuke Ishii
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機能美を体現した独自のディテールワークで存在感を示したビッグヤンク

あらゆるワークウエアをカバーする、ビッグヤンクの懐の深さを象徴するAD。作業着に身を包んだ労働者やミリタリーウエアで武装した軍人などがイラストで描かれている。

アメリカはイリノイ州シカゴに拠点を置くリライアンス マニュファクチュアリング カンパニー(以下リライアンス社)が1919年に商標登録したブランドが〈ビッグヤンク(BIG YANK)〉です。創業以来、積極的に新しいアイデアを取り入れて既存のワークウエアにはないディテールを数多く編み出し、高品質かつ独自性の高いプロダクツが話題となり、ワークウエア市場に強い存在感を示してゆきます。それらのプロダクツは次第にアメリカ国内での評価が高まり、第二次世界大戦時にはオフィシャルサプライヤーとして軍納入品を数多く生産するほどにまで成長。これによって確かな信頼を獲得し、ワークウエアブランドとして確固たるポジションを築くことに成功します。

ビッグヤンクの代名詞、山ポケとガチャポケがもたらす存在感

(左)山ポケを配した左胸に注目。(右)チェックのシャツのイラストからも山ポケが確認できる。カコミのキャプションではストームカフスを紹介。

左右非対称になった、通称ガチャポケのシャツを着用。左胸のポケットをよく見ると影が映っており、袋状になっていることがわかる。

数ある〈ビッグヤンク〉のプロダクツのなかでも、代表作として知られるのがワークシャツです。実用性、デザイン性ともに優れたディテールを多数考案し、それらをパテント申請することで他にはないオリジナリティ溢れるプワークシャツを生み出しました。

例えば、山の形を模した五角形のポケット、通称“山ポケ”は、ボタン留めの先端が尖っていることで片手で簡単にボタンの開け閉めが出来るというものだし、両胸のポケットデザインが左右非対称になった“ガチャポケ”の左ポケットはコンビニエンスポケット(袋状)になっているので、タバコを入れても湿気らないように工夫されたもの。ほかにも、機械に挟まったり引っかからないように剣ボロを省略した“ストームカフス”や、肩の可動域を広げるカーブしたショルダーヨーク、中の熱を外に逃がすためのベンチレーションホールなど、他のワークウエアメイカーとは一線を画した革新的なディテールデザインで、唯一無二のワークシャツを作り上げたのです。

時代が巡りめぐり、何十年も前に考案されたこれらのワークシャツが、ヴィンテージブームで再び注目されるようになります。“山ポケ”や“ガチャポケ”のワークシャツたちは古着好きの間で憧れのアイテムとなり、スペシャルピースとして高値で取引され、また一方でそのデザイン性の高さから多くのアパレルメイカーからサンプリングされるほどに。時代を超えて今もなお〈ビッグヤンク〉のワークシャツは名作として多くの人たちに愛され続けています。

BIG YANK HERITAGE LINE

ヴィンテージの〈ビッグヤンク〉の人気が高まるなか、満を持して2011年に待望の実名復刻を果たします。手掛けるのは世界有数のヴィンテージコレクターとして知られる、寺本欣児氏率いる「サーティーファイブサマーズ」。寺本氏が所有するアーカイブコレクションをもとに、ディテールの再現はもちろん、生地、パーツ、縫製に至るまで徹底的にこだわったハイクオリティの復刻品を生み出すことに成功しました。ここでは「HALITAGE LINE」として展開される〈ビッグヤンク〉の代表的なワークシャツを、1920年代~40年代と年代別に紹介します。「サーティーファイブサマーズ」が見事に再現した、ヴィンテージファンも納得のシャツを使って、各年代ごとの特徴やディテールの移り変わりを辿っていきます。

1920’S COLLECTION

BIG YANK FLYER SHIRT ¥24,000+TAX

1920年代当時に作られたモデルを忠実に復刻したワークシャツで、ネームラべルには「フライヤータグ」が配される。首元にはチンストラップを、両脇とショルダーヨークには匊穴のベンチレーションホールが施されたディテールフルな1着。左胸にはタバコを湿気から守るコンビニエンスポケットを採用している。

1930’S COLLECTION

BIG YANK 1935 SHIRT ¥19,000+TAX

1930年代に製造されたモデルを現代に蘇らせた「1935 SHIRT」。左胸には袋状になったコンビニエンスポケットを、右胸にはペン挿しの付いた縦長ポケットをそれぞれ配した“ガチャポケ”仕様。袖口は剣ボロを省略した“ストームカフス”を採用するなど、〈ビッグヤンク〉の真髄が味わえる1枚。

1940’S COLLECTION

BIG YANK 1942 SHIRT ¥19,000+TAX

〈ビッグヤンク〉を象徴するディーテルの1つ、“山ポケ”を左胸にあしらった1940年代のモデル。特徴的なデザインはもちろん、ポケットとしての使い勝手も良好な“山ポケ”は、まさに機能美を体現したディテールといえます。ポケット先端に付いたメタルボタンもよいアクセントに。

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