ジャパンツアーの熱と余韻。
- ー今日で最終日だけど、今回のジャパン・ツアーはどうだった?
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ジョシュ:どの会場も想像以上の盛り上がりだったね。
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レイ:みんながブラックトップ・プロジェクトの音楽をすごく楽しんでくれて、それぞれの場所でいい時間を過ごしてくれたと思う。僕たちも、とびきり楽しかった。
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マット:日本は毎回すごく楽しくて、お客さんたちがちゃんと自分たちの音楽を楽しんでいることを知らせてくれるんだ。みんなの応援にものすごく感謝しているよ。
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チャック:いまようやく僕らの音楽が何なのか手応えが掴めてきたところで、あっという間に最終日になっちゃった。名残惜しいね。
GREENROOM FESTIVAL初日、BLKTOP PROJECTは HUMMINGBIRD STAGEに登場。トリを務めた。
- ー今回のツアーで特に印象深かったこと、覚えていることはある?
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トミー:どこも印象深いね。
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レイ:モッシュが起きたのは驚いたな。
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チャック:ああ、神戸ね!
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レイ:あとは前橋。最前列に小学生くらいの女の子がいたんだ。自分のライブに小さい女の子が最前列にいること自体が新鮮だったんだけど、まわりの人たちは盛り上がりながらも彼女にぶつからないように気をつかってて。熱狂と礼儀正しさを両立させていてすごいなと思った。
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チャック:神戸のシェフも印象的だったよね。自分たちのゴハンを作ってくれていたシェフの人が、ステージ前のセキュリティもやってくれてたんだ。
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トミー:そう! いたね! すごいシェフ。
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チャック:シェフもやってバウンサー(※1)もやって、警備員もやってくれてたよね。みんなをこう、最前列で止めてくれて。僕らが想像していた以上にエネルギッシュなライブになったから、急遽やってくれたんだと思うけど。
※1 バウンサー:ライブやナイトクラブの用心棒
- ーそれはすごいね(笑)。今回のツアースケジュールはかなりハードだったんじゃない?
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ジョシュ:疲れた感覚はないかな。短すぎてさみしいくらいだよ。
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レイ:この段階になってやっと本調子がでてきて、やるぞ! っていう感じ。いまようやくはじまったような気分だね。
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トミー:日本に来るときは毎回だいたい着いてすぐは時差ボケなんだけど、いまようやく人間っぽい気分を取り戻している感じだね。
- ーてことはもしや日本に着いて間もなかったグリーンルームフェスではまだふわふわしてた?
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トミー:そうだね、20センチくらいは地面から浮いてたと思う(笑)。
GREENROOM FESTIVALの楽屋で会った、ふわふわしてる時のトミー(笑)。
- ーじゃあ、僕らとグリーンルームフェスで会ったのは覚えてないんじゃない?
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トミー:ああ(笑) 覚えてるよもちろん!
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レイ:挨拶しに来てくれたんだよね。君たちは賢いよ!
- ーブラックトップとして来日するのって久しぶりだよね?
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チャック:7年ぶりくらいじゃない?
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トミー:前回のジャパン・ツアーが2011年だから、約5年ぶりかな。
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レイ:5年も経ったんだね!
- ーこのメンバーでは、日常的にセッションしてるの?
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トミー:全員が集まることは滅多にないけど、メンバー同士がいろんな組み合わせで普段から一緒にライブしてるんだ。例えば先月はトミー・ゲレロ ソロツアーでチャックとマットにサポートしてもらったし、レイともよくライブで共演してるよ。
「ひとりでは行けない場所へ、このチームだといける」
- ーそれぞれソロで活動しているけど、たまに集って、ブラックトップとしてやるのははどんな気持ち? みんなにとって、ブラックトップってどんな存在なんだろう?
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ジョシュ:自分は、今回のアルバムから参加させてもらっていて、彼らの仲間に入れてもらえたことがすごく光栄なんだ。一緒にやれることすべてが常にクリエイティブで、新しい経験だね。ライブ中、曲によってパートを入れ替えたりするのも楽しい。
’80年代には伝説的スケート・ロック・バンド「マクラッド」のリーダーを務め、スタジオ/ツアーミュージシャンとしてこれまでに「ザ・ルーツ」「G・ラヴ」「ビリージョエル」など数々のトップアーティストと共演しているチャック・トリース(Dr.)。撮影クルーが持っていたボードを「ちょっといいかな?」と借りて颯爽とクルーズ。
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チャック:今回ブラックトップでリリースしたのは3枚目になるんだけど、最初はお金をほとんどかけずに、何曲か集めてEPにして、次に作ったファースト・アルバムはちゃんとミックスしてつくった。今回のセカンド・アルバムは、ライブで録ったんだ。そうやって、これまでと違ったことや他のグループがあまりやっていない動きを次々にやれるのが大きいかな。
メンバーや観客と顔を見合わせながら、終始恍惚の表情でギターを弾くレイ・バービー(Gt.)。「自分が憧れのミュージシャンのライブに行って、目が合うとすごく嬉しかった。だから僕も、ステージ上からみんなとアイコンタクトをとるよう心がけているよ」
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レイ:僕は、みんなとチームでやれてること自体が楽しいね。それぞれいろんなところで一緒にやるんだけど、たとえば僕のツアーでチャックとジョシュが参加してくれたときは、自分のアイデアを彼らがサポートしてプレイしてくれる。トミーのときに僕がやる場合は、トミーのアイデアに沿ってプレイする。いつもはお互いをサポートし合うことが多いんだけど、ブラックトップだと、全員で決めたプッシュしたいイメージに対して、各々が貢献できるものを出せる。ソロで自分だけの作品をやっていたら、絶対に行けない場所にも、このバンドだと行けるんだ。
リハーサル前、入念に機材をチェックするトミー・ゲレロ。ブラックトップ・プロジェクトの中心的存在で、今回のアルバム制作も彼の声かけによってスタートした。「色が大事だね」。トミーの足元にはホワイトとブルーのエフェクターが並ぶ。
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トミー:ソロ作品は孤独な作業が多い。そうするとすごく肩の荷も重い。たまにこうやってバンドにいて、みんなで同じゴールに向かってやれるチームとしての嬉しさが大きいね。オレが常にど真ん中のフロントにいなくても、ベース持って後ろでこっそり弾いていてもOKなところもいいよね(笑)。
パーカッション、ピアニカ、キーボードと複数の楽器を担当するマット・ロドリゲス。プロスケーターにして〈iPath〉シューズの創始者。スケートシーンで最もゆるいトラックに乗ることで知られるマットはオフ・ステージでも至ってマイペース。
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マット:自分にとって彼らと一緒に音楽をつくったり、スケートをしたりしながら日本やいろんな場所に行けることは、何よりも恵まれていると思う。いつも楽しいし、音楽をやってそのことを成し遂げたいという自分たちの夢も実現できてる。
何十年経っても、一緒に原点へ戻ることができる仲間
- ーそもそもみなさんはどんな関係なんでしょう? 先輩? 後輩? 友達?
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チャック:そうだなあ…。
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トミー:フェラ・クティ(※2)みたいなものだよ。みんなで結婚してるんだ。あ、いやソーリー、いまのはなんでもない(笑)。
※2:フェラ・クティ:伝統的アフリカ音楽にジャズ、レゲエ、ソウルを取り入れ、アフロビートと自ら名づけたジャンルを確立、ボブ・マーリーと並んでその後の音楽シーンに大きな影響を与えてきたミュージシャン。27人の妻と合同結婚式を行ったことも有名。
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チャック:僕とトミーは長年の友人。生きていくなかで、スケートや音楽のつながりがベースにある。歳をとって、やらなきゃいけないことはたくさん増えていくけど、たまにこうして一緒に音楽をやることで同じ原点に戻れるんだ。
前日にライブを行った仙台から移動し、GREENROOM FESTIVALへ駆けつけたメンバー。長距離移動の疲れもありながら、楽屋でも終始和やかなムード。
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レイ:このブラックトップこそが、バンドのあるべき姿だと思う。まず何より大切なのが、僕たちはもともと友達だってこと。いろんなバンドの中には、ステージ以外では顔も合わせないような間柄も多いけど、僕たちは幸運なことに、ものすごく好きな人たちとしか音楽をやっていない。本来こうあるべきだと思うし、この環境にはいつも感謝しているよ。
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チャック:そうだね、そういう仲の悪いバンドもいっぱい見てきたよ。もううんざり。
今作よりBLKTOP PROJECTに参加したジョシュ・リッピー(Gt.&Ba.)。ソロでも新しい音源『Now Open Sundays』をリリースしたばかり。
- ーこの中では、ジョシュがいちばん年下になるのかな? 他のみなさんは? 先輩?
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トミー:俺たちはもう年寄りの部類(笑)。
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レイ:ジョシュはまだチャイルドだから20:30にはゴートゥスリープしてるんだよね(笑)。
- ーいわば、バンドのなかではフレッシュマンみたいな立ち位置?
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ジョシュ:そうだね、僕はフレッシュマンだから、こう……。
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チャック:何かあったときのためにも若者がいないとね(笑)。
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トミー:そうそう。もう年寄りだらけだから、常にちゃんと呼吸してるかどうかを確認する若者がひとりは必要なんだ(笑)。
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チャック:僕とジョシュは20歳近く離れてるんじゃないかな。
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トミー:チャックが33歳で、ジョシュが13歳だっけ?
- ーああなるほどね! んなわけない(笑)
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ジョシュ:みんなお互いのことが大好きだし、友達同士で好きな音楽をやっている。バンドによっては一緒にツアーしてもお互いエゴの問題があったり、ホテルから出たくない、みたいな人もいるけど、僕らは自由時間でもやりたいことが似てる。朝早く起きてみんなでクルーズしたり、街をフラフラして、食べ物や自然を楽しんだり。僕にとっては、最高のバケーションを過ごしている気分。ライブも、あ~またやんなきゃってなる人もいると思うけど、僕は毎回ライブがすごく楽しみだし、2時間プレイして、あと1時間やってって言われても全然できる。それくらい毎回楽しい。
ツアーファイナル当日の朝、メンバー全員でホテルから徒歩15秒のところにあるラーメン屋さん「うさぎ」へ。みんなここのラーメンが大のお気に入り。
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トミー:でももう、他のメンバーがおじさんだから(笑)。
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ジョシュ:うん、まぁそうなんだけど(笑)。
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レイ:こんな感じでメンバーの関係性やエネルギーはすべて音楽に表れていると思うよ。
- ー最後に、ブラックトップ・プロジェクトの次の展望を教えてもらえるかな?
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チャック:次のツアーはクラフトワークみたいにさ、みんなでラップトップ持ってやるのはどう?
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レイ:はは! いいね! ラップトップ・プロジェクト(笑)!
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トミー:というわけで、いま決まったことなんだけど、今度は「ブラックトップ・プロジェクト」じゃなくて「ラップトッププロジェクト」で来るよ!
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マット:全員家からスカイプでやれる!
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レイ:ステージ上にラップトップを並べて、各自の顔だけ写してね!
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トミー:俺はパジャマ着てベッドからやるよ!
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レイ:息子とキャッチボールしながらやるか! 近所の公園から。
- ーOK! 次回は「ラップトップ・プロジェクト」で決定(笑)!
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トミー:実際、みんなソロのプロジェクトもあるし、音楽にしてもスケートにしても、それぞれの人生があって予定もたくさんあるから。確実なことは言えないけどね。
- ー次はもうちょっと長い期間で日本ツアーをやってほしいです。
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一同:もちろん! 僕たちもぜひそうしたいよ。
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ジョシュ:次のツアーのときは、お宅に泊めてもらってもいいかな?
- ーえ(笑)! いいよもちろん!
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ジョシュ:え! うん、あ、いいの!? やった! よろしくね!