PROFILE

1982年、秋田生まれ。2009年に独立。時代を捉えながらも独自性のあるスタイリングで、ファッション誌やブランドカタログ、広告をはじめ、俳優やアーティストなどのスタイリングでも活躍。
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1982年、愛知生まれ。 スタイリスト小沢宏氏に師事し、2009年に独立。雑誌やブランドルックから広告まで幅広く活躍し、ミニマルながらも存在感のあるスタイリングが厚く支持される。
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某セレクトショップでバイヤー兼ディレクターを歴任した後、2020年に〈MEN’S BIGI〉のディレクターに就任。今シーズンより、ファッションと機能を融合させた新レーベル〈FUSE〉を展開。
シーンにとらわれない、大人のためのデイリーウェア

ー まずは片貝さんと小松さん、ともに〈フューズ〉の第一印象は?
片貝:いまっぽい空気感と、毎日着られそうな感じ。ぼくは気に入った服をずっと着ていたいタイプなんですよ。スティーブ・ジョブスじゃないけど(笑)。そうした意味では、すごく好印象ですね。
鈴木:実は、デザインしているぼく自身もそうで、気に入った服の色違いばかり着たりします。だから〈フューズ〉は、どんなシーンにも馴染むことや、気持ちよく過ごせることを重視しているんです。
片貝:小松くんはどう思った?
小松:ある種、ジェンダーレスな印象を受けました。ただ、若い世代のトレンドとしてのジェンダーレスではなく、ぼくたち30代以降も着たくなる中性的な感じ。ニュアンスのある素材やフラットなデザイン、繊細な色使い…と、至るところにこだわりを感じましたね。
鈴木:ジェンダーレスは意識していなかったんですが、結果的にはその通りかもしれません。実際、レディースの服を見ながら「メンズにもあったらいいな」と影響を受けることは多い。最近よく見るリブのニットパンツもそうですね。ジャージ気分なのに街でも自然。今季は、そのメンズ版をイメージしてつくったパンツがあります。

小松:なるほど、実際にインスピレーション源になることがあるわけですね。
片貝:確かにカラバリも、ベーシックに加えて綺麗な色が多い。
ー 機能性に優れた素材が多いですよね。
鈴木:生活していると、急に雨が降ってきたり、ラーメンの汁が飛んだりするじゃないですか(笑)。高級な素材も好きではありますが、ずっと服の汚れを気にかけ続けるのはイヤじゃないですか?
片貝:ぼくはそんな服、無理です。着たくないな。。。
鈴木:買ったはいいものの、気遣いがいる服って結果的にあまり着ませんよね。濡れてもすぐ乾く、乾いたら元通りになる、ストレッチが効いていてノーストレス…そんな服があったらいいな、と思っていて。それで〈フューズ〉をつくったんです。

小松:あと〈フューズ〉の服は、天然素材のような優しい風合いですよね。なので、機能的なのにアウトドアやスポーツウェアの印象にならない。ナチュラルでありつつ、上質さも感じられる。素材選びが上手だと思いました。
鈴木:そう言ってもらえるのはうれしいですね。すべて化繊をブレンドしていますが、自然な風合いはとても大切にしている部分なので。
小松:この見た目で簡単に洗濯できるとか、結構うれしいですよ。

片貝:シアサッカーもウールにポリエステル混ですか?
鈴木:そうです。ソロテックスの形態安定素材もいくつかのアイテムに使用しています。ストレッチが効いていながら、伸びても戻る力もあるので型崩れしづらいんですよ。

鈴木:あと、ぼくはもともと、アウトドアブランドが好きなんです。けれど、どれもロゴが入りだから気がつけば全身ロゴになってしまう。あと止水ジップとかハードシェルは日常で必要ないですよね。
片貝:ちょうどいい機能とファッションの融合が〈フューズ〉というわけか。たしかにアウトドアブランドは、スタイリングの印象が固定されますからね。小松くんはモードな服が多いイメージがあるけど、アウトドアに出かけるのも好きだよね。いつも、どうしてるの?

小松:海と街を行き来するにしても、シーンで分けず、通して着られる服がいいですね。脱ぎ着が面倒なので。
鈴木:まさに、〈フューズ〉はそういう方に着てもらいたいですね。
小松:実際、帰りに街で食事に行くこともあるから、動きやすくてデザインのいい服は重宝します。
ー あとコンセプトのひとつに「ユニフォーム」というのもありますよね。
鈴木:はい。なのでセットアップの型数が多いんです。ジャケットに限らずシャツやブルゾンもあって、上下で組み合わせられる共地のアイテムを用意しています。
小松:そういえば片貝さん、今日セットアップじゃないですか!
片貝:はい。セットアップは、スバリ楽なんです。考えなくていいので。
鈴木:そうなんですよね(笑)。毎日の「ユニフォーム」になる。セットアップはブランドの定番としてやっていこうと思っています。素材や色はシーズンによって変えながら。
片貝:ぼく、シアサッカー生地のセットアップが気になりましたね。ダブルのジャケットとスラックスというドレスアイテムだけど、気持ちのいい抜け感があってモダン。
鈴木:型自体はテーラードをベースにつくってますが、芯地を入れず、肩の位置もゆるやかに調節しています。

片貝:パンツもイージー仕様ですしね。大人としての上品さはありつつ、着心地は楽っていうのが、この歳にはありがたい。
小松:ロングシャツもとろみのある素材で気持ち良さそうです。一見、上質なブロード生地みたいなのに、触るとトロトロで驚きます。しかも、シャツと思いきや、プルオーバー?

鈴木:プルオーバーの方が脱ぎ着が簡単ですからね。見た目はシャツですが、イージーに使えるプルオーバーに仕上げています。