PROFILE

2009年に池の上で「ミンナノ」をオープンし、2015年には原宿に「TOXGO」も開店。ファッション、自転車、音楽など、さまざまなカルチャーに精通。国内外のインディペンデントなブランドに注目し、買い付けをおこなっている。2021年春夏よりスタートした「ジェリー コスビーA+C」では、プロデューサーとしてデザインを担当。
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セレクトショップ「ビームス」のメンズカジュアル部門のバイヤー。同ショップのTシャツレーベルである「ビームスT 原宿」の店長を長年務めた後、2017年にバイヤーに就任。「ミンナノ」とも積極的にコラボレートをおこなうなど、中津川さんとの親交も深い。
未開のブランドだからこそ、やる意義を見つけやすい。
ー おふたりはむかしから親交があるんですよね。
中津川:もう10年以上ですかね。
新井:あっという間ですね。最初は「ミンナノ」っていうショップの存在すら知らなかったのに、いまではすっかりゴローさん(中津川さん)の信者のようになっていますね。
ー ゴローさんのどんなところに惹かれるんですか?
新井:絶対に越えられない壁があるんですよ。知識が豊富で、自分が知らないことをたくさん知っていて、なにをやっても追いつけない。とにかくすごいんですよ。
中津川:持ち上げすぎですよ(笑)
新井:いやいやいや、本心ですよ。自転車を組んでいただいたり、お店で買い物をさせてもらったりして、いつもお世話になってます。

ー ゴローさんは新井さんに対してどんな印象をお持ちですか?
中津川:「ミンナノ」をオープンして間もない頃に「ビームスT」さんと一緒にお仕事をさせてもらって。当時、新井さんはまだスタッフのひとりとして働かれていたと思うんですけど、明らかに浮いていたんです(笑)
一同:笑
中津川:全身ポロを着ていたような気がするんですけど、他のスタッフにそんな方がいなくて。それがすごく印象的で、自然と興味が湧いたんですよね。それを起点にその後、新井さんともよく一緒にお仕事をするようになるんですけど。
ー 今回「ジェリー コスビー A+C」がローンチされました。ゴローさんがデザインを担当したということですが、どのような経緯でそうなったのでしょうか?

中津川:ブランドサイドからオファーをいただいたんです。〈コスビー〉の服は中学か高校生のときに同級生が着ていた印象があったんですけど、正直ぼく自身は着ていなくて。でもロゴがすごく印象的だったのは覚えているんです。
新井:ぼくも中学生のときに、ドラムバッグを背負っている人をみかけた覚えがあります。もともとアイスホッケーをルーツにしているというのは、なんとなく頭にありましたね。
中津川:学生時代によく吉祥寺で買い物をしていたんですけど、量販店にあるようなイメージだったんですよ。
新井:たしかにそうですよね。だからゴローさんが〈コスビー〉をやるって聞いたときは、すごく驚いた反面、ワクワクしたというか。「ゴローさんが手がける〈コスビー〉を見たい!」って強烈に思っちゃったんですよね。でも、どうしてオファーを受けようと思ったんですか?

中津川:誰もやっていなかったからですね。たとえば過去にも誰かが〈コスビー〉のプロデュースをしていたとしたら、ぼくは受けていなかったと思います。未開のブランドだからこそ、いい意味で色がないし、やる意義みたいなのを見つけやすいかなと。ブランドサイドも「ぼくしかいない」って仰ってくれて。
新井:本当にぼくもゴローさんしかいないと思いますよ。ぼくはいつも「ゴローさんと一緒になにかやりたい」って考えているんですけど、いまお話していたように「未開のブランド」というのが大事だと思うんです。でも、〈コスビー〉は盲点でしたね。ゴローさんが仰る通り、ぼくもいまこのブランドが新鮮に映るタイミングだと思いますし。
中津川:それと今回は「ミンナノ」とのコラボではなくて、あくまでぼくがデザイナーとして表に立ってプロデュースするというお話でした。ある意味それは挑戦というか、お店のお客さんにダイレクトに届けるものじゃなくなりますよね。見方を変えれば、プロダクトをきちんと評価して買ってもらうチャンスだとも思ったんです。簡単なネームバリュー推しのプロジェクトではなかったし、こういう仕事というのもはじめてだったので、なおさらチャレンジしてみようという気持ちになったというのも大きいです。

新井:この「A+C」というのは、どういう意味なんですか?
中津川:「アーカイブ&クラフト」ですね。ブランドの歴史を尊重しつつ新しいものをつくるという意味が込められています。「◯◯レーベル」みたいなのとか、自分の名前が前面に押し出されるのはちょっと恥ずかしくて(笑)、手に取る人にもフラットに見てもらいたくて、こういう名前にしました。