優柔不断だが心優しい吉尾(成田凌)、劇団を主宰する欽一(高良健吾)と役者の明石(若葉竜也)、既婚者となったソース(浜野謙太)、会社員で後輩気質の大成(藤原季節)、唯一地元に残ってネジ工場で働くネジ(目次立樹)、高校時代の帰宅部仲間がアラサーを迎えたいま、久しぶりに友人の結婚式で再会。 満を辞して用意した余興の赤フンダンスはだだスベりに終わり、二次会までは3時間…。苦悶の時間が流れ、だれからともなく学生時代の話に。でも思い出すのは、しょうもないことばかり。「それにしても吉尾、お前ほんとに変わってねーよな。なんでそんなに変わらねーんだ? まいっか、どうでも」。そう、ぼくらは認めなかった、ある日突然、友人が死んだことを──。
PROFILE

1987年11月12日生まれ、熊本県出身。2005年のTVドラマで俳優デビューし、06年『ハリヨの夏』で映画初出演を果たす。その後、数々の映画やTVドラマに出演し、その演技力に高い評価と多くの賞を得る。近年の代表作は、『狼煙が呼ぶ』(19)、『人間失格 太宰治と3人の女たち』(19)、『カツベン!』(19)、『おもいで写眞』(21)、『あのこは貴族』(21)など。現在、NHK大河ドラマ『青天を衝け』にて、主人公・渋沢栄一の従兄、渋沢喜作役として出演している。
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1987年11月12日生まれ、熊本県出身。2005年のTVドラマで俳優デビューし、06年『ハリヨの夏』で映画初出演を果たす。その後、数々の映画やTVドラマに出演し、その演技力に高い評価と多くの賞を得る。近年の代表作は、『狼煙が呼ぶ』(19)、『人間失格 太宰治と3人の女たち』(19)、『カツベン!』(19)、『おもいで写眞』(21)、『あのこは貴族』(21)など。現在、NHK大河ドラマ『青天を衝け』にて、主人公・渋沢栄一の従兄、渋沢喜作役として出演している。
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1985年11月2日生まれ、福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰、全作品の作・演出を担う。2012年、『アフロ田中』で長編映画初監督。その後の代表作に、『スイートプールサイド』(14)、『私たちのハァハァ』(15)、『アズミ・ハルコは行方不明』(16)、『アイスと雨音』(18)、『#ハンド全力』(20)などがある。20年に自身初の小説『またね家族』を上梓。21年1月から放送されたテレビ東京『バイプレイヤーズ』の新シリーズと、公開中の劇場版『バイプレイヤーズズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら』も手がける。
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1985年11月2日生まれ、福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰、全作品の作・演出を担う。2012年、『アフロ田中』で長編映画初監督。その後の代表作に、『スイートプールサイド』(14)、『私たちのハァハァ』(15)、『アズミ・ハルコは行方不明』(16)、『アイスと雨音』(18)、『#ハンド全力』(20)などがある。20年に自身初の小説『またね家族』を上梓。21年1月から放送されたテレビ東京『バイプレイヤーズ』の新シリーズと、公開中の劇場版『バイプレイヤーズズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら』も手がける。
距離を縮める方法は“楽しさ”だけじゃない。

ー 本作のタイトルの“くれなずめ”は、どんな思いを込めて名付けたのでしょう。
松居大悟(以下、松居):この物語は、2017年に舞台で上演していました。演劇って内容が決まってなくて、まだ台本がない段階でタイトルを載せたチラシを作るんですね。そこで思ったのが、いなくなった奴がそばにいて、なんなら生きてる奴より生き生きしている話がいいなって。なんとなく仲のいい仲間たちが結婚式の披露宴と二次会の間でぼんやりうろうろしていて、昼と夜の狭間みたいな状態にいる。それを示す言葉ってなんだろうなって考えていました。そうして思い出したのが、高校の同級生に頼まれてやった披露宴の余興。ぼくらは、ハンドベルを赤フン(赤いフンドシ)で演奏したらおもしろいよねって話してて、やったみたら大スベりで…(笑)。
ー 映画の6人と同じで、あの恐ろしい空気を経験してるんですね。
松居:そうそう。その時の曲が「くれ〜なずむ〜町の〜♪」っていう歌詞ではじまる海援隊の「贈る言葉」だったんですよね。ふと、くれなずむってどういう意味だっけって思ってちゃんと調べたんです。陽が沈みそうで沈まない状態。ただそれは状態だから、沈まないようにいつづけろ!っていう意味を込めて、「くれなずめ」という命令形にして、あとは劇団員に相談してひらがなにしました。
ー その命令形には、実際は難しいけど、友達と変わらない時間を過ごせたら、という想いが込められている気がしました。高良さんがこのタイトルを聞いたときの感想は?
高良健吾(以下、高良):素敵だなと思いました。ここだけの話、撮影の中盤くらいまで「くれなずめ」という言葉が、陽が暮れているときを指す言葉だと思っていて…。
松居:「くれなずめ」=夕焼け、みたいなね。あとから「それって命令形だよ」って言ってね。
高良:気づかずに現場に入っていて…なんだか台本をちゃんと読んでないひとみたいになっちゃって。「くれなずんでんな〜」ってセリフもあるんですけどね(笑)。
松居:あはは。いや、芝居としては全然問題ないから。


ー 二次会までの3時間、吉尾との再会を機に仲間との思い出や友達関係そのものを見つめなおすという物語ですよね。松居監督自身は、どんなことを描きたいと思っていましたか?
松居:もともと、もう会えない友達に向けて描いたもので、シンプルに「俺たちのなかでお前はいるよ」っていう、それだけを大事にしていました。でもそういう話を描くときって、気を抜いたらすぐに寂しい感じになってしまうからそれは避けて、明るく楽しい方向にもっていこうと。特に何かを伝えようとは思ってなかったですね。
ー いろいろなひとに出会い関わっていくなかで、友達と言えるのってどんなひとでしょうか? 条件やルールというと堅苦しいですが、友達と自分を結び付けるものを教えてください。
高良:高校一年からずっと同じクラスで、いっしょに上京して俳優になって、いまは自分の事務所でマネージャーをしていて、結婚もしていて、最近子供ができて…と学生時代からいままで、すごく付き合いの長い奴がいて。彼との関係は不思議だなって思うことがよくあります。
松居:いい関係だ。

高良:はい。それと同じ気持ちをこの映画で、この共演者たちと感じました。おたがいのあいだにあるものをあまりはっきりさせなくていいムードがあるんです。近くにいても、言葉をちゃんと交わすわけではなくて、いい意味でぬるっとしたあいまいな部分を共有できる相手は、いっしょに長くいられる友達かなって思います。全然白黒つけない。
あと、楽しいことや嬉しいことは、賑やかな感情だから共有しやすくてわかりやすいけど、さびしくなるポイントってなかなか共有できない。けど、それがわかるひとが友達なんだと思う。
松居:高良くん、それいい。いい答え、出ましたね。
高良:やった(笑)。ありがとうございます。地元の友達も上京して仲良くなった友達も、常に会ってないとおたがいをたしかめ合えないという感じじゃない。いつだってみんなのことは好きです。

松居:高良くんの話を聞きながら思ったのは、楽しいときの気持ちは置いておいて、悪口が合うとなんか仲良くなる(笑)。「この感じ、無理だわー」の感覚が同じだと仲良くなる。
高良:それ、映画を観たときの感想もそうじゃないですか? 「それいいよね」より…。
松居:たしかに、「あれひどくない?」って言い合えるひとの方が距離感が近くなるというか。なんなら、その作品が、世の中で良しとされていればいるほど、逆に燃料になる。「そんな評価する?」って(笑)。
高良:あはは。
松居:あと一瞬で仲良くなれるのが、下ネタですね(笑)。「くれなずめ」の現場で、下ネタを話していたら昔の友達のようになれた気がした。下ネタパワーは不思議。
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