PROFILE

1987年生まれ。古着から派生して革靴の魅力に取りつかれ、シューズリペアの世界に足を踏み入れる。いくつかのリペアショップを渡り歩きながら経験を積んだのち、2021年より〈レッド・ウィング〉のアジア プロダクト・メンテナンス・マネージャーに就任。単なる修理に留まらず、持ち主の要望に応えながら、その人の個性を活かすようなリペアを提案している。
助けが必要な人に対して期待以上のことをしてあげたい。
ー 今回リリースされた「OUT OF FASHION」のキャンペーンとは、一体どんなものなのか教えてください。
太田:時代やトレンドに左右されず、自分のスタイルを築き上げている人って、誰から見ても魅力的だと思うんですが、今回のキャンペーンはそうした人にフォーカスした企画です。ぼくたち〈レッド・ウィング〉も、流行を気にせず昔から同じアイテムを作り続けています。つまりそれは、“ファッション”という言葉で括ることができない、真のスタイルを持っているということ。それを「OUT OF FASHION」と銘打って、変わらないスタイルを持つことを称賛しているんです。
ー 〈レッド・ウィング〉は創業1905年。100年以上も続くビッグカンパニーですが、その頃からタイムレスなアイテムを作りつづけていますよね。

太田:ここに並ぶモックトゥのブーツの原型がつくられたのもずっと昔で、それってすごいことだと思うんです。しかも繰り返し修理ができるので、永続的に履くことができる。変わらないスタイルの秘密はそういうところにあると思うし、それは同時にサステナブルなことだと思うんです。
ー 太田さんはもともと靴がお好きなんですか?
太田:ぼくは23歳の頃から靴のリペアの仕事をしています。靴そのものも好きですが、同時にリペアも好きなんです。
もともと古着が好きで、そこから古い革靴やブーツに魅了されるようになりました。ぼくがまだ学生の頃、古着屋で働いていた先輩がくたびれたブーツを手に取りながら、「これを半端じゃなくきれいに蘇らせるやつがいる」って話を聞いたことがあって。靴の修理をしているところなんて見たことないし、ましてやその職人にも会ったことがないのに、なぜか憧れを抱いてしまったんです。その一言がきっかけで修理やリペアの世界に興味を抱きはじめ、いまの自分に至りますね。

ー つくるよりも修理するほうに興味が向いたんですね。
太田:モノをデザインすることにぼくはあまり興味がありません。それよりも、靴が壊れたりして助けが必要な人に対して期待以上のことをしてあげたい。万人受けするよりも、ピンポイントで誰かによろこんで欲しいという気持ちが強いんです。