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レッド・ウィングが提唱するサステナブルなブーツの魅力。
WE ARE OUT OF FASHION

レッド・ウィングが提唱するサステナブルなブーツの魅力。

流行にとらわれずに自身のスタイルを貫く人は、長年に渡っておなじアイテムを使い続け、一つひとつのアイテムを大事にしています。〈レッド・ウィング(RED WING)〉が放つグローバル・キャンペーン「OUT OF FASIHON」では、そんな確立したスタイルを持つ人々にスポットライトを当てながら、ひとつのアイテムを大事にすること、すなわちサステナブルな姿勢を啓蒙。履き潰したら買い換えるのではなく、リペアを繰り返しながら長年履き続けられるこのブランドのワークブーツはまさに持続可能なアイテムである、というわけです。ということで、今回は同社の修理・リペアを担当する太田恭二郎さんに、〈レッド・ウィング〉のブーツのどんなところがサステナブルなのか、その秘密を教えてもらいましょう。

スタイルを曲げずに悩みを解消したいという人にできる限り応えたい

ー 〈レッド・ウィング〉の靴はソールの張り替えができることも有名です。その構造はどうなっているのか教えてください。

太田:足を入れた際に触れる部分がインソールで、その下にコルク材が敷かれています。このコルクが〈レッド・ウィング〉のシューズのクッション性の要ですね。弾性のあるコルク材を使用していて、履き込むことでそれが足の形になじんでいきます。

ー いわゆる“練りコルク”と呼ばれるものですね。

太田:こうした弾性のあるコルク材って世界的に見ても珍しいんですよ。だから、町の修理屋さんでも同じものを詰めるのが難しい。

ー そのコルク材の下にミッドソールを縫い合わせるわけですね。

太田:そうです。ウェルトの部分に合わせて縫い付けます。これがいわゆるグッドイヤーウェルト製法と呼ばれるものですね。

ー そしてミッドソールの下にアウトソールを貼り付けると。ここは接着ですか?

太田:接着になります。大きめのアウトソールを貼り付けるので、余分なところは削って完成です。

ー 接着の場合は剥がすときにパーツの一部が破損してしまう可能性がある、とお話しされていました。ソール修理の際はやはり、この工程を慎重にされるんですか?

太田:〈レッド・ウィング〉のソールって、すごく剥がれずらいんです。それは製造工程で接着剤をミッドソールとアウトソールの両側に塗るからです。塗ってすぐに貼り合わせるんじゃなくて、一度完全に乾かしてから各パーツに定着させます。その後、特殊な機械で一度暖め直して接着剤を再活性させてから最後に貼り合わせているんです。それをすることによってしっかり接着されるのと、剥がすときも一度温め直すことで剥がしやすくなります。

古いものだと接着剤が劣化して綺麗に剥がれない場合があるので、その場合はアウトソールをすべて削り落とします。

ー なるほど。ミッドソールの耐久性は高いんですか?

太田:結構高いんですよ。たとえば30年前の〈レッド・ウィング〉のブーツをお持ちの方でも、アウトソール交換だけでいけますね。合成ゴムでつくられているので、加水分解などの劣化で使用できなくなることが少ないんです。ぼくの修理経験のなかでも、ミッドソールが劣化しているケースはあまりなかったです。

ー でも、アウトソールの交換を繰り返すことでミッドソールが劣化していきますよね。ひとつのミッドソールで、アウトソール交換は何回くらいまで耐えられますか?

太田:最大で4、5回やったことはありますが、ほとんどのケースは2、3回やればほぼ一生履けますよね。ただ怖いのは、やはりアウトソールを剥がす際にミッドソールが破損するケース、もしくは削り落としたときにミッドソールも一緒に削ってしまったり、ウェルトに縫い付けている糸まで傷つけてしまう場合です。なので、アウトソールを如何にきれいに剥がすか、もしくは削るかが重要で、職人の技術が問われますね。

ー オールソール交換が必要な場合はどんなケースなんですか?

太田:カカトやつま先の部分が擦り減りすぎて、ミッドソールまで達しているときですね。その場合はオールソール交換を提案します。まだ全然ミッドソールが使えるのに、気分的に全部取り替えたいという要望もよくあります。アウトソール交換が1万5,400円で、オールソール交換が1万7,600円で金額的にも大した差がないということもあるんですが、オールソール交換の場合はウェルトのステッチも縫い直さないといけないんですよ。すると、経年変化した味のあるアッパーと、真新しいステッチのコントラストが生まれます。

ー 違和感が出てしまうと。

太田:ぼく個人としてはやっぱり味のあるワークブーツがかっこいいと思っているので、気持ち的にはアウトソール交換だけで済む場合は、ミッドソールまでやる必要はないかなと考えています。でもそれを良しとするかどうかはお客さま次第なので、そうした違和感が生まれることも踏まえてご説明していますね。

ー たとえばなんですが、おなじみの「トラクショントレッド・ソール」がついているブーツに、「ヴィブラム・ラグ・ソール」をつけることも可能なんですか?

太田:それも可能です。〈レッド・ウィング〉ではさまざまな純正パーツを用いているんですが、ご要望に合わせてアウトソールを交換することは可能です。ただ、ブーツとソールの相性の問題もあるので、なんでもかんでもOKというわけにはいきません。たとえば、ヒール付きのソールには必ず、シャンクという金具をブーツ本体に取り付ける必要があります。そのため履き心地が大きく変わるのでカスタムをお勧めしない場合があります。〈レッド・ウィング〉では、アメリカでさまざまな耐久テストをおこなっていますし、きちんとクオリティを担保したい。そのブーツにの特性に合わないカスタムをすることによって履き心地や耐久性に悪影響が出ることで、いままで培ってきた信頼を壊したくないんです。

ー あまりに極端なカスタムは、品質をキープできない場合もあると。

太田:そうですね。ただ、「歩き方のクセによってソールがすぐに擦り減ってしまうから、強度のあるビブラムソールや、ヒール付きのソールに交換したい」といったように、ご自身のスタイルを曲げずに悩みを解消したいという修理内容にはできる限り応えたいと思っています。それはずっと履いてきた〈レッド・ウィング〉のブーツに愛着があるという証でもありますし、それこそ「OUT OF FASION」なスタイルの持ち主であると思うんですよ。

INFORMATION

レッド・ウィング・ジャパン

電話:03-5791-3280
Instagram:@redwingheritage_jp
redwingheritage.jp

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