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ヴァンズが受け継ぎ表現する、ジェフ・グロッソの真摯なスケート愛。
GROSSO FOREVER COLLECTION.

ヴァンズが受け継ぎ表現する、ジェフ・グロッソの真摯なスケート愛。

〈ヴァンズ(VANS)〉がリリースした「Grosso Forever Collection」。それは、2020年3月31日に、51歳の若さで急逝したスケートボード界のレジェンドであり、〈ヴァンズ〉の中枢を担うファミリーだった、ジェフ・グロッソに敬意を表したカプセルコレクションです。スケーターなら誰もが知るグロッソの、一体どんなところに尊敬の眼差しが向けられていたのか。それを紐解くことで、このコレクションにさらなる深みが増し、スケーターではなくとも彼から学びを得られるはず。そこで、ジェフ・グロッソを知る人と、知らぬ人を交えて、彼に思いを馳せてみます。襟を正したくなる話から、笑える(?)豪快なエピソードまでが飛び交いました。

  • Photo_Shingo Goya
  • Text_Shogo Komatsu
  • Edit_Keisuke Kimura

(写真右から)

PROFILE

梶谷雅文さん
VHSMAG編集長

小中学校をアメリカ・シアトルで過ごし、スケートボードに出会う。1989年に帰国後、国内のスケートシーンを牽引した重要な存在。日本を代表するスケートボード専門のウェブメディア『VHSMAG』で編集長を務める。
Instagram:@vhsmag

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アンさん
モデル

雑誌やブランドのルックブックで活躍。ロックやパンクが好きで、自身もギターを弾き、作詞作曲も手がける。時折、インスタライブで演奏を披露。今はスケートボードをやっていないが、カルチャーに対する理解は深い。
Instagram:@sickjiji

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マッキーさん
HIGHSOX SKATEBOARDS スタッフ

「VANS SHOWDOWN 2020」で、アジアの頂点を勝ち取ったスケートショップ「ハイソックススケートボード」で働く。〈マジカルモッシュミスフィッツ〉のスケートチーム、MxMxM SBに所属。趣味はバス釣り。
Instagram:@mackey_highsox

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島田卓矢さん
VANS JAPAN PR

〈ヴァンズ〉がブランドの背景に持つスケートやミュージックなどのカルチャーから、プロレスをはじめとした格闘技、さらには漫画やアニメ、アイドルなどのサブカルチャーまで、幅広いジャンルのコンテンツを網羅する。

誰よりもスケートボードを愛し、シーンを正しい方向へと導いてくれた。

ー アンさん、ジェフ・グロッソをご存知でしたか?

アン: いいえ、知らなかったです。

梶谷: 80年代に活躍した、バーチカルっていうランプが得意だったスケーターで、〈ヴァンズ〉のライダーなんですよ。

島田: 昨年亡くなってしまって、今回の「Grosso Forever Collection」は彼を追悼するもの。彼にちなんだモデルとアパレルで展開しています。

アン: どんなスケーターだったんですか?

梶谷: 80年代のスケーターって、変人の集まりっていうか、大衆に受け入れられていなかったアウトサイダーの集団でした。今もその流れを汲んでいるスケーターも多いですが、なかでも特に、パンク精神を持って破天荒だったのが、ジェフ・グロッソ。

現在、原宿の店舗では、在りし日のグロッソの写真が飾られている。

島田: 〈ヴァンズ〉は、80年代からの付き合いです。「スケートハイ」や「スケートミッド」を履いてくれていました。今回のコレクションをリリースしたのも、スケートボード界に大きな功績を残したし、なにより愛されていたという理由が大きいです。

前に並ぶのが、本コレクションの「Grosso Forever Collection」。

マッキー: 僕がスケボーを始めたころはストリートばかりだったので、ボウルやランプを滑るジェフ・グロッソのことをあまり見ていなかったんですよ。でも、ハーフパイプをやるようになってからどういうスタイルがかっこいいか分かるようになって、昔の映像を掘り返すとジェフ・グロッソがいて、ものすごくスタイルがあった。あとは、ダサいのはダサいって、はっきり言うのもかっこいい。

梶谷: そう。恐れずに自分の意見を言う性格。スポンサーの絡みがあるから、言いたいことも言えない中で、「スケートボーディングは、こういうものだ」とスケートボードの暗黙のルールを正してくれた。だから、スケートボード界では、重要な存在でした。〈ヴァンズ〉のYouTubeで10年間続けていた『Loveletters To Skateboarding』という番組では、スケートボードの歴史や文化を伝えていて、レガシーとして残っています。

島田: このコレクションのリリースでは、「歴史家」という肩書きで紹介しています。スケートの歴史を教えてくれた人だから、スケートボードシーン全体に対する影響は大きいです。

マッキー: 『Loveletters To Skateboarding』を観ていたら、フロントサイドエアーって技で、「膝をたため、タックニーしろ」って言ってて。グラブするときに、ちゃんと膝を入れろってことなんですけど、「それができないなら、もうやるな」って言葉がかっこよかった。

梶谷: 例えば、インディエアって技があるんですけど、グラブのやり方を間違えている人が多いんです。そういう部分も、正してくれた。これはかっこいい、これはかっこ悪いって、彼の主観だけど共感できるし。そのおかげで文化が薄まらないと思います。

アン: まったく知らなかったけど、引き込まれますね。素敵な人。尊敬できる方だと思いました。こういう人ってほかにもいらっしゃるんですか?

島田: いえ、そうそういないですね。音楽やファッションなら、何かを伝えたり、正しい姿を提示したり、ズバズバ言う人がいるけど、スケートはいろんなスタイルがあるから、一概には言えない部分もあるんです。でも、グロッソは愛が深くて、ちゃんと正しい道でスケートが続いて欲しいって思っていたと感じています。

梶谷: 偏愛ですよね。偏っているけど、間違っていない。

アン: すごい人なんですね。自分を持っている方なんだな、と。

島田: でも、おもしろくないですか? 左に写っているのがスティーブ・ヴァン・ドーレンっていう、〈ヴァンズ〉の創業者一族でありアイコン的存在で、右がグロッソ(笑)。ふざけている。

右の写真に写るのがスティーブ・ヴァン・ドーレン(左)とグロッソ(右)。

アン: 本当だ(笑)。写真を見ると、表情がおちゃらけていますね。気取っていない。

マッキー: 大会中、変なプッシュをしたり、ふざけていたりするのもよかった。

梶谷: 情熱があって、誰よりもスケート愛が強い。それでユーモアがあって、シニカルで。

島田: かっこいいですよね。パンクの精神を持っている。

アン: 私もパンクが好きで、思ったことをはっきり言っちゃう。人と違うこともやりたい。ジェフ・グロッソのこと、少しわかってきました。

梶谷: 賑やかなイメージでしたけど、すごく繊細なんですよ。

島田: 梶谷さんは会ってますもんね。『Loveletters To Skateboarding』で日本のスケートボードの歴史を紐解くために、ジェフ・グロッソが取材で来日したんですよ。2019年10月のことです。

梶谷: アテンドと通訳をお願いされて、その時に初めてきちんと会いました。10日間の取材でしたが、始めの2日くらいはあまり話さなかったんですよ。僕が緊張していたということもあるけど、彼も繊細な性格で、お互いに探り合っていて。でも、一緒にお酒を飲んで、いろんな人を取材して回っていくうちに距離が縮まりました。取材を通して感じたのは、スケートボードに人生を捧げている、ということ。子どものころから亡くなるまで、ずっとスケートボードのことしか考えていなかったように思えて、歴史や文化の大切さを再確認できました。他にもいろいろと気づかせてくれたし、メディアの仕事は大切で、間違っていないと感じさせてくれました。すごく貴重な時間でした。

INFORMATION

VANS JAPAN

電話:03-3476-5624
vansjapan.com

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