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うし松とノンネイティブ。飲食店のユニフォームに宿る、新しいコミュニケーションの形。
USHIMATSU × nonnative

うし松とノンネイティブ。
飲食店のユニフォームに宿る、
新しいコミュニケーションの形。

フーディーズが足繁く通う名店がひしめく、東京都港区西麻布。この激戦区に2020年1月にオープンした焼肉屋「うし松」を知っていますか? 最高クオリティの和牛が提供される料理はすぐさま話題を呼び、一躍人気店の仲間入りを果たしました。そんな「うし松」のユニフォームを、フイナムでもおなじみのファッションブランド〈ノンネイティブ(nonnative)〉の藤井隆行さんが手がけたというニュースが入ってきました。「うし松」のディレクターである栗田裕一さんと藤井さんが旧知の仲だったということから始まったプロジェクトですが、そこには新しい飲食店の形を夢見る二人の想いがありました。

  • Photo_Mina Soma
  • Edit_Ryo Komuta

ユニフォームの重要性と可能性。

ー それでどんな流れで、お店の制服を手がけることになったんですか?

藤井: 栗田くんはいつもお店で〈ノンネイティブ〉を着てくれていて、他のスタッフは違う格好をしていたので、最初は差をつけたいのかなって思ってたんです。でも、そういうことではないみたいで、話を聞くとみんな同じユニフォームにしたいという思いがあり、じゃぁやるかと、お話を引き受けた感じですね。

ー 構想約一年と伺っています。

藤井: そんなに難しいことはしてないです。いろいろ作ったなかから、好きなものを選んでもらっただけなので。ただコース料理と一緒で、時間が経つにつれ少し微調整はしていったほうがいいと思います。

ー ちなみに、これまではどんなユニフォームだったんですか?

栗田: 普通のスーツという感じでした。

藤井: それがダメなわけじゃなかったんですが、やっぱり空気がシャキッとしてしまうんです。栗田くんが焼いてくれているときと、ほかのスタッフがいるときでは違うお店みたいになってしまうというか。

藤井: 別にそういうのが嫌なわけではないんだけど。ただ、もうお肉は間違いなく美味しいわけなので、スタッフのなかにはタンクトップのやつがいてもいいのかなって(笑)。

栗田: さっきも藤井くんが言ってくれましたが、僕はお店にいるときはほとんど〈ノンネイティブ〉しか着てないんですけど、お客さんに「その服かっこいいね」というような声をかけてもらうことが結構あって。それでそういう部分でもリーチできるんだな、コミュニケーションが生まれるんだなって思ったんです。

ホールスタッフの足元は〈コンバース〉と〈ノンネイティブ〉の共作「PRO-LEATHER HI」。

ー なるほど。コミュニケーションツールのひとつになりうるわけですね。

栗田: はい。最初、スタッフは業務用のユニフォームを着ていたわけですが、そこはお店の制服ということで、僕もどこか割り切ってたんですよね。ただ、僕は現場の人間じゃないので、僕だけでも好きな服、〈ノンネイティブ〉を着ようと思ってたんですが、実際にお店を始めてみたらユニフォームに敏感なお客様もかなりいらっしゃったので、それなら全員同じにして、他のお店にないような風にしたらいいのかなと。いろいろ気づかせてもらったという感じです。

ー 平久保さん、実際に着て働いてみてどうですか?

平久保: とにかくめちゃくちゃ着やすいですね。正直、飲食店のユニフォームとして着ていた前の業務用のものの方が、機能面では上なのかなって思っていたんです。でも全然こっちの方が動きやすいです。今まで着ていた制服の方が機能重視で作られていたはずなんですけどね。

ー なるほど。実際にどんなところが?

平久保: まず自分で洗えるところがいいですね。飲食店ではやっぱり油がつくので、クリーニングに出さないとダメという常識というか、先入観があるんですよね。でも、ちゃんと汚れも落とせるし、使っているうちに味が出てくるし、自分の体に馴染んでくる感覚があるんです。着心地もすごく良くて、みんな制服が支給されたときはめちゃくちゃテンション上がっていました。

栗田: 僕がやってよかったなって思うのが、とにかくスタッフのテンションが上がったことですね。やっぱり〈ノンネイティブ〉を知っているスタッフも多かったし、そんな服を着て、焼肉屋で働けるんだ、自分が普段着ている服よりいいじゃん、っていう。

藤井: これは前にも言いましたけど、理想は仕事終わってそのまま街に遊びに行くことができる格好なんです。実際に栗田くん自身が朝から着替えてないわけで、僕はそれが一番かっこいいと思うんですよね。アメリカのご飯屋さんで、髭だらけでタトゥーがガッツリ入っているような人が、ものすごく美味しい料理を作ってる、みたいな風景がすごくいいなって思ってて。

ー わかります。そういうスタッフって、仕事終わってそのままの格好でどこかに行ったりしますよね。

藤井: そうそう。そういうお店よりはもう少し「うし松」はキチッとしてますけど、焼肉屋でこんな感じで世界に打って出たら面白いんじゃないかなって思うんです。どの国にも普通にハマりそうな気もしますし。

栗田: まだまだこれからではありますが、いずれは本当の和牛を世界に、というのはテーマではありますね。あと今はこういう状況なので、インバウンドのお客様には一切来ていただけてないのですが、その方々に来ていただけたらうちのお店も、もっと海外の方にも楽しんでもらえるのかなって思っています。

藤井: さっき業務用のユニフォームの話をしましたが、一回ちゃんと調べたんですけど、その手の制服って昔から進化してないんですよね。学ランとかと一緒で。全然変わってない。けど、進化する必要ってやっぱりあるんです。職種によって全然動きも違うわけだし、それこそiPhoneをどこに入れるの?っていう話だと思うんです。業界全体が、これでいいと思ってしまっているんですよね。いずれは制服屋さんで仕入れるものが、「うし松」で着ているようなものになるべきだと思います。

INFORMATION

うし松

住所:東京都港区西麻布3-13-14 LA・RES西麻布 B1F
電話:03-6459-2329
時間:17:00~23:00
ushimatsu.com
Instagram:@yakiniku_ushimatsu

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