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藍甕には神が宿る。日本古来の染色技法に込められた職人たちの想い。
SEVEN BY SEVEN × LITMUS

藍甕には神が宿る。日本古来の染色技法に込められた職人たちの想い。

「言うは易く行うは難し」ということわざをご存知でしょうか。この言葉を体現するのが藍染め工房「リトマス(LITMUS)」です。藍で染めるから “藍染め” と呼ぶわけですが、「リトマス」が行う「灰汁発酵建て(あくはっこうだて)」という技法は、自然の発酵に頼る部分が大きく、染料づくりから染めの工程に至るまで一筋縄ではいかないといいます。〈セブン・バイ・セブン(SEVEN BY SEVEN)〉のデザイナー川上淳也さんは、そんな古くから伝わるやり方に魅了されたひとり。数年前にイベントを通じて「リトマス」と交わった彼が今回、古着を使った藍染めのスペシャルなコレクションをつくりました。我々取材班は「実際の仕上がりを見ると、色の持つ凄みが分かるはず」という川上さんの一言に押され、神奈川・本鵠沼にある「リトマス」の工房へ。一見、藍染めとは全く結びつかない古民家でその作業は行われていました。

  • Photo_Syuya Aoki(W)
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Ryo Muramatsu

工程数が半端ない。色の凄みが伝わってくる。

一枚一枚、丁寧に作業を行う「リトマス」の二人。いい藍液を建てたからこそ、それを扱う手仕事をおろそかにするわけにはいきません。実際の染色作業も「リトマス」ならではのこだわりがありました。

今回拝見させてもらったのは、Tシャツの染色。Tシャツを手に取って甕に入れ、生地に含まれる空気を丁寧に抜きながら揉むようにして藍液を馴染ませていきます。

「藍液の表面は青色をしていますが、液体のなかは茶褐色なんです。だから染められた服を引き上げると茶色なんですが、それが空気に触れることで酸化して藍色になります。服を甕に入れる時も、空気が入らないように縦に沈めていきます。縫い合わせの部分にも空気が溜まっているので、甕のなかで手探りで縫製部分を広げて空気を抜きます。そうしないと縫い合わせの部分だけ濃く染まってしまうんです」(吉川)

「Tシャツは比較的作業が少ないかもしれませんが、シャツになるとパーツが多くなる分、縫い合わせも増えるから大変なんですよ。だけど『リトマス』のお二人はそれを丁寧にひとつづつ染めてくれるんです」(川上)

こうした細かな作業をすることで、機械でコントロールされた染色では絶対に出すことができない色に仕上がるといいます。

「結局、藍染めは手じゃないとできないですよ。藍液をきちんと染み込ませて、甕から引き上げた時に、どれだけ均一に空気に触れさせるか。だから厳密にいうと、ひとつとして同じ色は出せないんです。だけど、それをいかにきれいに見せるかがぼくらの仕事なんです」(松井)

一度甕から引き上げたTシャツは、均一に空気に触れるように広げて酸化させます。すると、みるみるうちに茶色の藍が青に変わっていきます。それを一度脱水にかけ、再び甕に入れて染色して色を重ねていきます。

「染め上げたあとは4回ほどお湯ですすぎます。そうすることによって、茶色い成分が溶けだして純粋な藍色に近づいていくんです。それを天日に干して、また熱湯ですすぐ。色の濃淡にもよりますが、Tシャツの場合、濃い色にしたい時は15回から20回ほど染め重ねます。1日にひと甕で染められる量は、Tシャツ4枚を4、5回ほど。なので、仕上がりまで持っていくのに最低でも3日はかかります」(吉川)

藍液を建てることからはじめ、Tシャツ1枚を染め上げるのにも手間がかかることは想像に難くありません。

「工程数が半端ないですよね。Tシャツだからシンプルだけど、シャツやパンツだったらもっと手間がかかりますよ。それを知ってから実際の仕上がりを見ると、本当に色の持つ凄みが伝わってくるんです」(川上)

INFORMATION

SEVEN BY SEVEN × LITMUS

 

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住所:兵庫県神戸市中央区三宮町3-6-1 BAL ANNEX
電話:078-333-1607

LITMUS展

日程:〜6月30日(水)
場所:okeba gallery & shop
時間:11:00〜17:00
住所:神奈川県茅ヶ崎市香川7-10-7
オフィシャルサイト