2016年にブランド110周年を迎えたニューバランスが、創業時から大切に守り続けているMADE IN U.S.A.さらにMADE IN U.K.のクラフトマンシップをブランドのコアと捉えて、新しく「made.」と称し、イメージを刷新。そして今年、ブランドにとって非常に改進的な出来事が起きた1978年を由来とし、ソールに至るまですべてをアメリカで製造したモデル「1978」をリリースする。その誕生に至る背景とボストン工場を体感するツアーに参加したミタスニーカーズの国井栄之氏に、魅力を訊いた。
かつてはアジアで製造していたソールも、「1978」ではアメリカにて製造。完全なるMADE IN U.S.A.を実現します。
ヴィブラム(Vibram)社と共同開発したソールを製造する機械。
国井:最初、展示会で見たときは、自分は懐古主義ではないですけど…、頑なに王道を守り続けていくのがMADE IN U.S.A.のニューバランスのイメージだったので意外ですし、正直「どうなんだろう…?」って思ったんですが、今回のツアーを体験し、プロダクト担当者の思いや製造の過程を目の当たりにすることによって、捉え方を柔軟にして貰えた気がします。100%アメリカ製のスニーカーを作るという部分において、いろいろなチャレンジも含めて、「1978」の必要性や役割を実感しましたし、シューズの見方が180度変わりました。
国井:今回から「made.」という言葉がキーワードになって、この言葉にも色々な意味が含まれるとは思うんですけど、まずは長年の愛用者を置き去りにしないことを前提に更なる追求を魅せたプロダクトであるということが重要ですよね。ニューバランスがアメリカ製を続けていく上で、伝統を守り続けるにしても進化していくことは絶対に必須ですから、今回のようなイノヴェイティブなチャレンジにも取り組んでいただきたいです。実際ここ数年続くニューバランスの破竹の勢いがある反面、MADE IN U.S.A.のヘリテイジモデルの価値が少し擦り減っている部分もある気がしまして…。そんな中で、”新しいMADE IN U.S.A.のカタチ”というものにチャレンジしていかなくてはいけないんだなっていうのが「1978」というモデルからも感じ取れました。
ー逆にこうなって欲しくない部分は?
国井:よく、MADE IN U.S.A.を語りたいばかりの商材っていうのが少し世に溢れている中で、ニューバランスはちゃんとクラフトマンシップという部分において1ランクも2ランクもステージを上げようとしている気概は感じたので、そこは大切にしていただきたいです。あと、今回いろいろな方々のお話を聞く中で「フューチャークラシック」とか「モダンクラフトマンシップ」とかという言葉を耳にして、今までニューバランスが提唱してきたフィロソフィーというものをエレベートさせようという意識は強く感じたので、ネガティブな印象はありませんでした。
ー「名より実を」というか、MADE IN U.S.A.である意味の本質を伝えていって欲しいですね。
国井:ミタスニーカーズとして今まで幾度となくコラボレートさせていただき、「580」をリリースする際も、ニューバランスファンにはMADE IN U.S.A.、MADE IN U.K.の信者が多く、その価値観を少しでも拡げようと労力を使ってきました。今後も「ニューバランスのMADE IN U.S.A.、MADE IN U.K.は、こうあるべき」という概念をどう変えていくべきかというのを、ニューバランスの方々だけでなく、商品を取り扱わせて頂く僕たちもちゃんとした魅力とか、「意味・意義があってこういうことをやっているんだよ」というのをきちんと伝えていくべきミッションが与えられたのは、良い勉強にも強いプレッシャーにもなりましたね。
「1978」を履いて登場したジム・デービス会長と記念撮影。
ーありがとうございました。
今回、ニューバランスが誇る名作「990」を現代の新しいテクノロジーと工法を組み合わせて再構築させてリリースする「1978」。ヴィブラム(Vibram)社と手を組み、高次元の軽量性と耐久性、そしてクッション性を実現するワンピースインジェクションソールユニットを「1978」の為にアメリカ・ボストンのブライトン工場で開発・製造するなど、すべてをMADE IN U.S.A.にこだわって制作。クラフトマンシップとイノヴェイティブを融合させた逸足を、ぜひ皆さんも体感してみてください。