教授がエコとか言い出した時は、お金持ちだからできるんだろうなって思ってた。
ー 後藤さんのような著名な方が、環境に対して発言することに難しさは感じますか?
後藤: それはあまり感じないです。環境に関してのバックラッシュは、いまはほとんどないですよね。何とかしたいと思っているひとが増えてるから。原発とかにはありますけど、ああいうのは政治性もあるので。とにかく、こういう問題を次の世代に残すのは不誠実だと思っています。実際ぼくらも環境問題に直面してるじゃないですか。海洋プラスチックの問題も、いまぼくらが捨てたものではないけど、この50年なり100年の積み重ねが、いま答え合わせのように海のなかにあるわけで。
ー ある程度、歳を重ねれば、それらの問題を自分ごと化できるひとも多いですが、若い層へのアプローチが難しいですよね。
後藤: そこは本当にそうです。だってぼくも、教授がエコとか言い出した時、お金持ちだからできるんだろうなって思ってましたしね。本当に失礼だったし、いまではそう思っていた自分を反省しているんですけど。
ー 例えばですけど、ヴィーガンになろうとしてもお金がかかります。
後藤: そうなんです。その矛盾もある。肉がいちばん安いってどういうこと!? みたいな。でも、肉をつくることが、いちばん環境に負荷をかけているわけで。だから話が戻っちゃいますけど、発信する時にその辺の難しさはありますね。金持ちの道楽だと思われるというかさ。お前らみたいなセレブぶってるやつの道楽でしょ、と。
そもそも、富が再分配されていないから、安価で環境負荷の高いものを食べなきゃいけなくなる。だから、環境の問題も社会制度とセットで考えていかないと、本当の意味での解決は難しいですよね。ただ、個人個人の意識の高さだけではカバーできないと思います。政治参加や社会運動がないと。あと、意識の高いひとたちはたくさんいますけど、それぞれの場所で意識高くやっているだけではなくて、集まって動いていかないとムーブメントになっていかない。本当に変えようと思うなら、行きたくない場所にも行かなきゃいけないので。教授はずっとそれをやっているので、本当に尊敬します。
ー そもそも坂本さんとの出会いはなんだったんですか?
後藤: いきなりDMがきましたね、ツイッターで。「最近いろいろ勉強しているらしいね」って。そこからちょいちょい環境のこととか、この本おもしろいとか教えてもらって。そうこうしてたら震災があって「『NO NUKES』ってフェスをやろうと思っているんだけど、一緒にやらない?」みたいな。で、記者会見に呼ばれてね。報道では “ら” って書かれたり放送されたりして。坂本龍一 “等” の “ら”。(笑)
ー (笑)。そう考えると、坂本さんはずっと矢面に立ち続けていますね。
後藤: でも、受け継いでいかなきゃダメじゃないですか、俺たちで。次の世代がいますよって坂本さんにも伝えたいしね。