PROFILE
「アジアン・カンフー・ジェネレーション」のボーカル&ギター。音楽活動の傍ら、3.11以降は政治や環境問題への発信を積極的に行い、2012年に坂本龍一らと音楽フェス「NO NUKES」を開催。現在はエッセイなどを執筆する他、これからの未来を考える新聞『THE FUTURE TIMES』の編集長も務めている。また、今年「アジアン・カンフー・ジェネレーション」が結成25周年を迎え、11月から全国6都市をめぐる「25th Anniversary Tour 2021 “Quarter-Century”」の開催も決定している。
Twitter:@gotch_akg
ペットボトルで水も飲むし、頑張ってもゴミは出る。
ー 音楽はもちろん、後藤さんと言えば社会問題に積極的に関わっているイメージが強いです。興味を持ったきっかけは何だったのですか?
後藤: 中学生の頃、科学の本を読んでいた時に、そこに石綿(アスベスト)とか、ダイオキシンとか、ゴルフ場の農薬の問題とかが特集されていて。たぶん、自分の環境問題の源泉はそこですね。
ー 3.11以降、より発信の頻度も高まっているようにも感じます。
後藤: もちろん、震災も大きな経緯ではありました。興味のあることにコミットしなくてはいけないと思ったのも震災以降です。そういうなかで、教授(坂本龍一)から連絡もらったりもして。

ー 坂本さんとは「NO NUKES」などのフェスもやったりしていましたよね。
後藤: そうですね。原発のことに関して言うと、廃棄物の問題から興味を持ったんです。捨てるところないよなと。あと、原発も核廃棄物の処理場も、すべて僻地にあります。米軍の基地とかもそう。で、ある時、そういった施設を巡ったんですよね。青森の六ヶ所村も青森市からめちゃくちゃ遠いし、自分の地元にある浜岡原発もなかなかの僻地。ぼくたちがよりよく暮らすために、必ずどこかに負荷がかかっているんだなと実感して。あと、普段何気なく捨てているゴミも、多くの自治体が最終処分場を持っているわけじゃない。お金を払ってどこかの町に埋めてもらっているんです。だからいまは、いろんなものを経て、「捨てる」ってことに興味を持ってます。「ゴミ、やばくない?」みたいな。
ー 普通生活しているだけでも、ゴミの量はえげつないです。
後藤: 「包装しすぎじゃない?」って思うんですよ。せんべいとかも、1枚1枚包装している意味あります(笑)? せっかく持っていったエコバッグに、1枚1枚包装しているせんべいをいれる矛盾とかも感じます。有料にするところを間違ってるよねって。

ー お肉とかの食品のトレーも、家で捨てる度に申し訳なくなります…。
後藤: あれはもう、スーパーに持って行ってリサイクルするしかないですよ。ぼくも料理をするので、そこは徹底しているかな。
ー 普段、あまり家でゴミって出ないですか?
後藤: いや、出ますよね、どうやっても。
ー ペットボトルで水とか飲まないですか?
後藤: それも正直、結構難しい。だから悩ましいですよね。リユースはもっとしたほうがいいと思うんですよ。とにかく、買い物をするとゴミが出るっていうのは問題。もっと減らしたいけど、減らないなと感じます。抗いようもなく暮らしのなかにあるから。斎藤幸平さん(※注)が言うように「個人で抗えないものがある」ということもあるわけで。バチっと規制しないと減らないものもありますよね。
※注:1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科・経済学部准教授。専門は経済思想、社会思想。近著に『人新世の「資本論」』(集英社新書)がある。