FEATURE
ピュアな眼差しを持つ二人が奏でる、これからの音楽。
SPECIAL CROSS TALK
Daichi Yamamoto × STUTS

ピュアな眼差しを持つ二人が奏でる、これからの音楽。

今年待望のセカンドアルバム『WHITECUBE』をリリースし、前作にも増して音楽性の幅広さと作品としてのクオリティの高さを示したDaichi Yamamotoと、関西テレビ系列のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の主題歌プロデュースで一躍脚光を浴びたSTUTSよる対談が実現。同ドラマでの主題歌を筆頭に、これまでさまざまな楽曲で共演してきた二人の見据える未来を、過去の共作における制作秘話なども交えつつ、紐解いていく。

  • Photo_Shiori Ikeno
  • Interview & Text_Yuho Nomura
  • Edit_Soma Takeda

芯はあるけどひとつの場所に固執しない。(STUTS)

ー STUTSさんは先の話にもあった通り、MPCプレイヤーやビートメイカーとしてだけではなく、プロデューサーとしての才能もあり、時にラップもされたり、とにかく多才な印象があって。一方でDaichiくんも自身でビートを制作していたり、互いに音楽を制作する上での表現の幅が広いアーティストとして共通項があるなと感じているのですが、それぞれ影響を受けることも多いですか?

Daichi Yamamoto: 『Cage Birds』も『Breeze』もそうだったんですけど、ラップやボーカル部分の歌い方とかリリックに関してアイデアをもらうとき、STUTSさんが試しにラップしてくれたりするんですけど、その言葉選びが素敵だなってずっと思っていたんですよね。ぼくには思いつかないワードセンスというか。

STUTS: そう言ってもらえると嬉しいですけど、凄く恐縮しちゃいます(笑)。歌い方とか録音方法は多分プロデューサーとしてこれまでいろんな方々のラップや歌を聴いてきて、録音の方法とかを知れたりしたことで、いい影響を受けているのかなって思います。

Daichi Yamamoto: なるほど。

STUTS: Daichiくんとは、芯はあるけどひとつの場所に固執しないって部分で共感できるのかなって勝手に思っていて。一緒に何度も曲をつくってきたからこそ、そうした部分を強く感じるし、だからこそなんでも話せたり、相談できることもあります。

Daichi Yamamoto: プライベートの話もしたりしますしね。STUTSさんは、コミュニケーションを割と密にとっているアーティストの一人だと思います。2019年のAPPI(Jazzy Sportが毎年冬に主催するゲレンデのあるホテルを舞台にした屋内フェスの「APPI JAZZY SPORT」)のときもaru-2くんと同部屋で色々音楽談義もしつつ、仕事と関係のない話もしましたよね。

STUTS: そうだね。あのときはすごく楽しかったです。あとDaichiくんにはイギリスの話もよく聞いたりするよね。少し前だとコージー・ラディカル(イギリス出身の気鋭ラッパー)とか教えてもらったり。

Daichi Yamamoto: 確かに海外の話はよくするかもですね。

ー Daichiくんはロンドンへの留学経験もあって英語も堪能で、STUTSくんも海外へのフェスに出演された経験がありますよね。ビートライブなどであれば言葉の壁もないと思うので、ともに海外への進出も視野にあったりするのでしょうか?

STUTS: そういう機会があれば、ぜひ海外に行ってみたい想いはありますね。

Daichi Yamamoto: 海外で一緒にやってみたいアーティストとかはいます?

STUTS: 明確にはあまりないんだけど、やっぱり好きなアーティストとかよく聴く曲を歌っているひとたちとはやってみたいですね。Daichiくんは『WHITECUBE』の『Kill Me』でミック・ジェンキンス(シカゴを拠点に活動する新世代のラッパー)と一緒にやってたよね。

Daichi Yamamoto: そうですね。あの曲は、「Frank Renaissance」という日米協業のHIPHOPレーベルのプロモーターが架け橋になってくれたのがきっかけだったんですよ。ビートはQUNIMUNEさん(Daichi Yamamotoの代表曲『Let it Be feat. Kid Fresino』でもお馴染みの東京在住のプロデューサー)がつくってくれたんですけど、そのトラックをジェンキンスが気に入ってくれて。確かその時期にSTUTSさんとも話してましたよね。

STUTS: そうそう。あの話を聞いた時はびっくりしたよ。ちなみにDaichiくんは、ラップをする時に日本語と英語を使い分けていると思うけど、その感覚の違いとかはあったりするの?

Daichi Yamamoto: 最近思ったのは、日本語でも英語っぽく発音できる言葉ってあるんですよね。よく使うワードだと「足りない」と「Tell Me Why」みたいに、どっちにも振れる言葉でフロウするのが気持ちいいんです。

STUTS: なるほど。あと英語って言っても、イギリスとアメリカでまたイントネーションも違うだろうし、Daichiくんの発音はなんとなくイギリス的な感じがするよね。

Daichi Yamamoto: ほんまですか、でも確かにイギリスの方が少し打楽器っぽいんですよね。

STUTS: それこそ全曲英語の曲とかをつくったりはしないの?

Daichi Yamamoto: もう消しちゃいましたけど、昔YouTubeにあげてましたね。『93 ‘Til Infinity』のトラックをまんま使いした曲だったんですが、なんか自分のラップださいなって思っちゃって(笑)。でもまたいつかチャレンジしたいし、海外でもレコーディングやライブはしたいですね。

STUTS: ぼくも4年近く前にLAで開催された「Low End Theory」っていうフェスに呼んでいただいて、初めて海外でちゃんとライブをさせてもらったんですけど、そのときのオーディエンスの反応や、現地の空気感がすごく良くて。日本とは違って、アーティストからの反応もめちゃくちゃスピーディで、滞在中に何本もライブの依頼をもらえて、凄く刺激的な数日間を過ごせたんです。手応えってほどでもないんですけど、海外でのライブはコロナが落ち着いたらいつかやってみたいなって気持ちはありますね。

Daichi Yamamoto: それこそイギリスとかで一緒にライブとかできたら最高ですよね。

STUTS: いつかやろうよ! Daichiくんとなら絶対に楽しいし、日本でもまたバンドセットとかでやりたいね。楽しみです。

Daichi Yamamoto: ぼくも楽しみです! 今日はSTUTSさんと久々にゆっくり話せてよかったです。ありがとうございました!

INFORMATION

<Daichi Yamamoto>

Daichi Yamamoto 2ndアルバム『WHITECUBE』
絶賛リリース中

01. Greetings Produced by Phennel Koliander
02. Love+ Produced by DJ DISK
03. Simple feat. 釈迦坊主 Produced by Lapistar
04. Cage Birds feat. STUTS Produced by STUTS
05. Daichi Yamamoto / Ego feat. JJJ Produced by C Dot
06. Wanna Ride(The Breeze) Produced by grooveman Spot & Kzyboost
07. People Produced by Daichi Yamamoto
08. Kill Me feat. Mick Jenkins Produced by QUNIMUNE
09. Pray feat. 吉田沙良(モノンクル) Produced by RNSOM
10. Chaos Produced by No Beer Team
11. Paradise Remix feat. mabanua, ISSUGI Produced by mabanua
12. maybe Produced by Aru-2
13. Testin' Produced by KM

Daichi Yamamoto Live at WHITECUBE Tokyo
2021 年 8 月 29 日 ( 日 ) 京都 METRO
Open 16:00 / Start17:00
LIVE:Daichi Yamamoto / Phennel Koliander / Kzyboost
Ticket(e +): eplus.jp/sf/detail/

*東京 WWW X、大阪 BIGCATでの公演はすでに終了しております。

<STUTS>

STUTS & 松たか子 with 3exes アルバム『Presence』
絶賛リリース中

01. Presence I (feat. KID FRESINO)
02. Presence II (feat. BIM, 岡田将生)
03. Presence III (feat. NENE, 角田晃広)
04. Best Party of My Life
05. Presence IV (feat. Daichi Yamamoto, 松田龍平)
06. Presence V (feat. T-Pablow)
07. Presence Remix (feat. T-Pablow, Daichi Yamamoto, NENE, BIM, KID FRESINO)
08. Shapes
09. Presence Reprise (feat. butaji)
10. Presence (instrumental)

STUTS “90 Degrees” LIVE at USEN STUDIO COAST
2021.10.27 OPEN 18:00 / START 19:00