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ノンネイティブ×カンタベリー  ハーフテンが示す、ファッションとスポーツの垣根の越え方。
nonnative×canterbury

ノンネイティブ×カンタベリー ハーフテンが示す、ファッションとスポーツの垣根の越え方。

通算40回のコレクションと並行して、数々のブランドとのコラボレーションにも取り組んできた〈ノンネイティブ(nonnative)〉。アウトドア、サーフィンなど、異分野とのクリエーションもつねに話題を巻き起こしてきました。いわゆる「ファッションとスポーツの融合」はさまざまなブランドがチャレンジするテーマですが、この度〈ノンネイティブ〉は他と一線を画するプロジェクト〈ハーフテン(halften)〉を発表しました。そのパートナーとは、1904年にニュージーランドで産声をあげた〈カンタベリー(canterbury)〉。ラグビー日本代表のユニフォーム、通称「桜ジャージ」のデザインでお馴染みのラグビーウェアブランドです。

今回は〈ハーフテン〉のプレローンチに合わせて、〈ノンネイティブ〉デザイナーの藤井隆行さんと、ラグビー日本代表のユニフォームを手がける〈カンタベリージャパン〉ブランドディレクター兼デザイナーの石塚正行さんとの対談を企画。デザインと機能、テクノロジーのあれこれ談義、まもなくキックオフです。

  • Photo_Masayuki Nakaya
  • Interview&Text_Shota Kato
  • Edit_Ryo Komuta

すべてはラグビーのイメージアップのために。

ー 〈ノンネイティブ〉と〈カンタベリー〉、藤井さんとラグビーという組み合わせを意外に思う人も多いかもしれないので、まずはプロジェクトの経緯について聞かせてください。

藤井:2019年に日本で開催されたワールドカップが終わってから声をかけていただきました。個人的にはニュージーランドに何度も行っていた時期だったんです。

ー ラグビーはニュージーランドの文化ですし、〈カンタベリー〉の母国でもありますよね。〈ノンネイティブ〉の39回目のコレクションはニュージーランドがモチーフにもなっていますし、コレクションのグラフィックは現地のミュージシャンでもあるロード・エコーが描いています。最近では『THE NEW ORDER MAGAZINE』でニュージーランドのラグビー選手、ダン・カーターを〈ノンネイティブ〉でスタイリングしたビジュアルも印象に残っています。そういう意味では自然な流れなのかなと。

藤井:そうそう。実際に〈カンタベリー〉地方にも行きました。ぼくが今回のプロジェクトをお受けしたのは、〈カンタベリー〉が他のブランドと何もやっていなかったことが大きくて。まだ色が付いていない。ファッションというジャンルではあまり知られていないけど、日本代表のユニフォームとかでブランドのロゴは視覚的に認識されている。最初はコラボレーションという提案だったけど、コラボは一度きりになってしまうことも多いじゃないですか。そうではなくて、2023年に開催されるフランスワールドカップに向けて盛り上げていきたいということで、新しいカテゴリーをつくるという計画に変わっていったんです。

石塚:印象に残っているのは、ラグビーをかっこよくしていこうという話から始まったんですよね。〈カンタベリー〉にはラグビーというバックグラウンドがあって、それを意識しながらブランディングに取り組んでいるんですけど、「ワールドカップ2019」を経てもその領域からなかなか抜け出せていないというか。実際にぼくらのウェアが着られるシーンというのは、ラグビーの試合の観戦やスポーツするときだったりと、ラグビーと紐づいたシーンであって。そういう意味では、ファッションブランドとのコラボレーションによってブレイクスルーしたいと思っていたんです。そこで藤井さんと出会えたという。個人的には〈ノンネイティブ〉を知っていましたし、「ベンダー(vendor)」で買い物もしていたので、それで話が盛り上がれたことも大きかったと思います。

藤井:〈カンタベリー〉のデザイナーはラガーシャツを着ていると思われがちだけど、石塚さんはそうじゃなくて。

石塚:藤井さんから「今日はラガーシャツ来てこないでください」と言われました(笑)。

藤井:着るならば、とことん『スクールウォーズ』みたいな感じに振り切ってもらおうと(笑)。

ー 山下真司的な(笑)。〈ハーフテン〉の立ち上げにあたって、どんなことを意識して進めていったんですか?

藤井:今ある〈カンタベリー〉のプロダクトをエディットし直すという考え方ですね。〈カンタベリー〉とトレーニングラインである〈ラグビープラス〉の間のことをやろうと。ある程度ソリッドなデザインで、観戦やトレーニングのためのウェアでありつつ、街にも着ていけるものをつくろうと。

石塚:ブランドのネーミングとしては、〈カンタベリー〉の領域と新たな領域をコネクトするという意味合いを持たせたいと考えました。たとえば、サッカーにおけるハーフというポジションはゲームをつくる役割じゃないですか。ラグビーでは、背番号9番のスクラムハーフと10番のフライハーフという2つがあるんです。

ー ラグビーのポジションは背番号で決まっていますが、10番ってスタンドオフですよね。フライハーフとも言うんですか?

石塚:むしろ、ヨーロッパではそう呼ぶんですよ。スクラムハーフとフライハーフにはフォワードとバックスをつなぐ役割があって、それをブランドの名前に活かせないかと思いました。

ー 〈カンタベリー〉としては、〈ノンネイティブ〉とのプロジェクトという関係と、ラグビーの領域を超えるというテーマ、そのどちらともリンクするニュアンスがありますね。

石塚:まさにそうなんです。ハーフというポジションと10という数字から着想を得て、〈ハーフテン〉と名付けました。

藤井:ハーフには真ん中というイメージがあるし、俯瞰するというニュアンスもあるから、とてもいいネーミングだなと。

ー ブランド表記としてはhalftenですけど、それをアイコン化したグラフィックデザインも興味深いです。

藤井:このロゴはバータックがモチーフになっていて。〈カンタベリー〉のプロダクトには縫製を補強するために3本のカンヌキが入っているんですよ。ぼくはこのディテールがすごく気になって、ここからロゴをつくれないかなと考えたんです。

石塚:〈カンタベリー〉のクラシックなラグビージャージって襟のディテールがオリジナルの仕様になっているんです。それはブランドが創設された1900年代中期から継承されていて。襟と身頃をつなぐ部分にテープを叩いているんですけど、それを補強するためのディテールとしてスリーバータックのステッチが入っているんですよ。藤井さんはそれがすごくアイコニックだと言ってくれて。

ー なるほど。こうやって3本のラインに落とし込むことによって、コンセプトが伝わりやすくなる印象があります。真ん中が境界線に見えるというか。

藤井:そうそう。〈カンタベリー〉のロゴもニュージーランドのキウイという鳥を3つ並べたものですよね。

石塚:これは3人のニュージーランド人がつくったブランドということから、国鳥のキウイがモチーフになっているんですよ。

藤井:〈ハーフテン〉では、通常は横並びの〈カンタベリー〉のロゴを縦積みにしていて。ブランドネームもあえて外しているんだけど、〈カンタベリー〉のロゴはラグビーの象徴でもあるから、潔くそれだけで伝えていこうと。

INFORMATION

vedor中目黒、名古屋

vendor.co.jp/

ESTNATION六本木店、二子玉川店

estnation.co.jp/men

canterbury WEB STORE

goldwin.co.jp/canterbury/

COVERCHORD

coverchord.com/

canterbury堀江店

※9月17日オープン予定

※8月27日(金)11:00販売スタート

「nonnative × halfTen TRAINER PULLOVER L/S POLY JERSEY Primeflex」は9月17日(金)販売予定

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